第14話 ギルドの鑑定
冒険者ギルドの奥。
俺たちは応接室のような部屋に案内された。
テーブルと椅子。
外の騒がしさが少し遠く感じる。
「では改めて」
受付の女性――ミリアが、真剣な表情で言った。
「迷宮で何があったのか教えてください」
俺は少し考えてから話し始めた。
「まず、普通に探索してました」
「虫とか、ゴブリンとか」
リラが補足する。
「途中までは通常の浅層でした」
ミリアがメモを取る。
「ですが途中から」
俺は続ける。
「変な光る石があって」
「それに近づいたら、スキルが反応した」
「反応?」
「うん」
「なんか、頭に声みたいなのが出て」
「共鳴って出た」
ミリアの手が止まる。
「共鳴……」
俺はさらに話す。
「そのあと、隠し通路が出てきて」
「奥に進んだら」
「強い魔物が出てきた」
レンが短く言う。
「オーガ」
ミリアの目が見開かれる。
「浅層でオーガ……」
リラが頷く。
「通常ではありえません」
俺は肩をすくめる。
「だよね」
さらに続ける。
「そのあと、水晶みたいなのを見つけた」
「触ってないけど」
「見ただけでまたスキルが反応した」
「何かが反応した感じ」
ミリアは静かに言った。
「迷宮核の欠片……」
「たぶんそれです」
部屋の空気が少し重くなる。
俺は正直に言った。
「でも」
「正直よく分からない」
「何かしたって言われても」
「分からない」
リラが小さく頷く。
「ただ、ユウトのスキルが関係しているのは確かです」
レンも言う。
「反応していた」
ミリアはしばらく考えたあと、ゆっくり言った。
「……分かりました」
「とても重要な情報です」
「ギルドとしても記録します」
そんなに重要なのか。
俺は少し不安になる。
「で」
「俺、問題とかない?」
ミリアはすぐに首を振った。
「ありません」
「むしろ――」
「正式に登録していただきたいです」
「え?」
「登録?」
リラが言う。
「ユウトさん、まだ未登録です」
「あ」
そうだった。
俺、冒険者じゃなかった。
レンが言う。
「遅い」
「いや今気づいたんだよ」
ミリアが微笑む。
「ではこのまま登録を行いましょう」
机の上に書類が置かれる。
「名前」
「年齢」
「簡単な自己申告で構いません」
俺は書く。
「ユウト……」
年齢も書く。
なんか役所みたいだ。
書き終えると、ミリアが確認する。
「問題ありません」
次に、小さなプレートが出てきた。
「これが冒険者証です」
「これに触れてください」
俺はプレートに触れる。
少しだけ光った。
「登録完了です」
「おお」
ついに冒険者になった。
なんかちょっと嬉しい。
リラが笑う。
「これで正式に仲間ですね」
「よろしく」
レンも短く言う。
「問題ない」
「それどういう意味?」
その時だった。
ミリアが思い出したように言う。
「では次に」
「スキルの簡易鑑定を行います」
さっきの水晶が出てくる。
「やっぱりやるんだ」
俺は手を置いた。
光が広がる。
スキル
分体網
転生系スキル
「やはり……」
ミリアが驚く。
「転生系……初めて見ました」
「そんなレア?」
「はい」
「記録にもほとんどありません」
リラも少し驚いていた。
「珍しいですね」
レンが言う。
「強い」
「まだ分からないけどね」
その時だった。
外から声が響いた。
「おい!!」
「ギルド!!」
騒がしい。
ただ事じゃない。
ミリアが窓の方を見る。
「……」
「どうしました?」
俺が聞く。
ミリアが少し緊張した声で言った。
「迷宮から魔物が出たそうです」
「え?」
レンが立ち上がる。
「外」
リラも弓を手に取る。
「行きましょう」
俺は思わず言った。
「登録した直後にイベント発生って」
「タイミング良すぎない?」
誰も否定しなかった。
どうやら――
本当に戦うことになるらしい。




