第11話 硬すぎる敵
迷宮の奥。
通路を塞ぐように、それはいた。
巨大な甲殻。
黒い鎧のような体。
そして赤い目。
迷宮アーマームカデ Lv22
「……」
俺は一言だけ言った。
「硬そう」
リラが小さく頷く。
「かなり硬いです」
レンが矢を構える。
「試す」
シュッ。
矢が飛ぶ。
カン!
火花が散る。
「やっぱり」
レンが言う。
「硬い」
「完全に鎧だな」
俺はムカデを見る。
正面から戦うのはかなり厳しい。
その時だった。
ムカデが動いた。
ガガガガガ!
床を削りながら突進してくる。
「速い!」
俺は慌てて横に飛ぶ。
ムカデが通路の壁にぶつかった。
ドン!!
石が砕ける。
「威力高い!」
リラが魔法を放つ。
「ライトボルト!」
光が当たる。
だが。
あまり効いていない。
「魔法も通りにくいです!」
レンが言う。
「弱点を探す」
俺は考える。
その時。
頭の中でスキルが反応した。
ピロン。
──分体網
「そうだ」
俺は手を前に出す。
「分体網!」
光の網が広がる。
さっき捕まえた虫の分体が現れる。
黒蝕虫(分体)
Lv1
「偵察頼む」
虫がムカデの周りを飛ぶ。
ぐるぐる回る。
すると。
俺の視界に情報が浮かんだ。
首の付け根。
そこだけ甲殻が少し薄い。
「弱点ある」
レンが聞く。
「どこ」
「首の後ろ」
「了解」
レンが矢を構える。
ムカデがまた突進してきた。
ガガガガ!
「また来た!」
俺はスキルを使う。
「転生網!」
光の網が広がる。
バサッ!
ムカデの体を一瞬止める。
完全には捕まえられない。
でも。
一瞬止まれば十分。
レンの矢が飛ぶ。
シュッ!
首の後ろに刺さる。
ムカデが暴れる。
リラが魔法を撃つ。
「ライト!」
光が直撃。
ムカデの動きが鈍る。
「効いてる!」
俺はもう一度スキルを発動する。
「分体網!」
虫が顔の前を飛び回る。
視界を邪魔する。
ムカデが怒る。
その瞬間。
レンが矢を放つ。
シュッ!
首の後ろ。
弱点に刺さった。
ムカデが大きく揺れる。
今だ。
「転生網!」
光の網が広がる。
ムカデを包む。
ギシギシ!
暴れる。
だが。
弱っている。
俺は力を込める。
「捕まれ!」
網が締まる。
ギュッ。
そして。
パンッ!
光が弾けた。
巨大なムカデが消えた。
ピロン。
Lv19になりました
「……」
しばらく誰も喋らなかった。
そして。
俺が言う。
「勝った?」
リラが笑う。
「勝ちました」
レンも頷く。
「強かった」
俺は床に座る。
「迷宮ってこんなに危険なの?」
リラが答える。
「この迷宮だけです」
「やっぱり」
その時。
ムカデがいた場所に。
黒い箱が現れた。
「宝箱?」
俺は言う。
レンが慎重に近づく。
「罠なし」
箱を開ける。
中にあったのは。
小さな水晶だった。
青い光を放っている。
その瞬間。
俺のスキルが反応した。
ピロン。
──転生網が共鳴しています
「まただ」
俺は水晶を見る。
すると。
迷宮の壁がゆっくり動いた。
ゴゴゴ……
「え?」
壁の向こうに。
新しい通路が現れる。
リラが驚く。
「隠し通路です!」
レンが言う。
「奥がある」
俺は思わず笑った。
「この迷宮」
「終わらないな」
迷宮の秘密は。
まだまだ深そうだった。




