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料理人プリコジンのワグネル戦記  作者: バッシー0822


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24/26

第24章:ロストフの静寂(裏切りのチェスボード)

78:無血の占領と奇妙な静寂

場所:ロストフ・ナ・ドヌ 南部軍管区司令部


2023年6月24日早朝、ワグネルの戦車隊がロストフの市街地になだれ込みました。しかし、予想されていた正規軍との激しい戦闘は起こりませんでした。


正規軍の沈黙: 若い兵士たちは、バフムートの英雄であるワグネルに銃口を向けることを躊躇し、多くは中立を保ちました。


市民の反応: 街は混乱するどころか、プリコジンと写真を撮り、ワグネルの兵士に食べ物を差し出す市民さえ現れるという、奇妙な「歓迎」ムードが漂いました。


79:孤独な期待と現実の齟齬

プリコジンは司令部の中庭に座り、拘束した正規軍の幹部たち(エフクロフ国防次官ら)と対峙しました。彼の心の中には、ある「期待」がありました。自分が動けば、ショイグに不満を持つ軍内部の将校たちが次々と同調し、巨大な雪崩となってモスクワへ向かうはずだ、と。


プリコジン(エフクロフに、苛立ちながら): 「俺たちは正義のために来た。ショイグとゲラシモフをここに連れてこい。奴らがいる限り、ロシアに未来はない。……あんたたちも分かっているはずだ!」


しかし、彼の期待に反して、軍の中枢は沈黙を守りました。スロビキンら「理解者」たちも、表舞台ではプーチンへの忠誠を誓う動画を公開せざるを得なくなっていました。「組織としての国防省」の足並みは、プリコジンの想像以上に冷徹に保たれていたのです。


80:見えない包囲網(情報戦の激化)

物理的な抵抗はありませんでしたが、目に見えない情報ドメインでは、クレムリンによる猛烈な反撃が始まっていました。


プリコジンの狙い

「正義の行進」としての正当化、そして国防省幹部の引き渡し要求。これらは民衆の支持を背景にした交渉でした。


クレムリンのカウンター

「武装反乱」としての犯罪者化と「背後からの一突き(裏切り者)」のレッテル。そしてSNSの遮断とワグネル関連施設の家宅捜索で彼らに勝機がないことを示しました。


81:背後からの一突き(戻れぬ道)

ついに、プーチンがテレビ演説を行いました。かつての「親友」が選んだ言葉は、和解ではなく、「裏切り」に対する徹底的な弾圧でした。


プーチン(演説): 「過大な野心と個人的な利益が、反逆へと繋がった。……我々の背後から突き刺された刃だ。この反乱を組織した者は、必ずや処罰される。」


この瞬間、プリコジンにかけられた「武装反乱罪」の疑いは、国家による死刑宣告に等しい重みを持ちました。


プリコジン(演説を聞き、部下たちに): 「……大統領は深い間違いを犯した。我々は裏切り者ではない。祖国を救おうとする愛国者だ。だが、もう引き返す道はない。我々はモスクワへ行く。」


プリコジンは、自分を「裏切り者」と呼んだかつての主人に対し、最後の賭けに出ます。彼を乗せた車列は、ロストフを後にし、モスクワへと続くM4幹線道路を猛烈な勢いで北上し始めるのでした。




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