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料理人プリコジンのワグネル戦記  作者: バッシー0822


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第21章:奪われた栄光(将軍の忠告)

65:戦煙の中の再会

場所:バフムート近郊 ワグネル最前線指揮所


瓦礫と硝煙に包まれたバフムート。ついにワグネルの手によってこの都市が完全に制圧されようとしていたその時、一台の軍用車両が砂塵を巻き上げて到着しました。降り立ったのは、「アルマゲドン将軍」ことスロビキンでした。


かつてシリアで共に戦い、実力を認め合った仲であるスロビキンの姿に、苛立っていたプリコジンの表情が一瞬だけ和らぎました。しかし、将軍の瞳にはいつもの覇気はなく、深い哀愁が漂っていました。


66:最後の理解者の言葉

二人は、砲声が遠くに響く廃墟の陰で言葉を交わしました。


スロビキン(静かに、しかし重みのある声で): 「ジェーニャ。ワグネルはよく戦った。誰も成し遂げられなかった勝利を、お前は手に入れたのだ。……だが、もう十分だとは思わんかね。」


その言葉は、旧友としての忠告であると同時に、プーチン大統領からの「これ以上の越権は許さない」という最終通告であることを、プリコジンは瞬時に理解しました。


プリコジン(自嘲気味に笑い、スロビキンを見つめて): 「……将軍。本当の戦いが分かっているのは、もうあなただけしか残っていないようだ。あとの連中は、モスクワのふかふかの椅子の上で、俺たちが流した血の量を計算しているだけだ。」


67:プーチンの沈黙と決別

プリコジンは、スロビキンの背後にいるプーチンの冷徹な視線を感じていました。プーチンは、かつて自分が育てた「料理人」が、正規軍を脅かすほどの権力を持ったことを、もはや「安定」への脅威とみなし始めていたのです。


「勝利」という最高の皿を提供したはずが、主人はそれをゴミ箱へ捨てようとしている。 プリコジンにとって、それは個人的な侮辱以上の、魂の否定でした。


68:苦々しき勝利と去りゆく背中

プリコジンは納得がいきませんでした。多大な犠牲を払い、数万の囚人兵と部下の命を積み上げてようやく手に入れたバフムート。その手柄を、自分たちが散々「無能」と罵ったショイグやゲラシモフが、あたかも自分たちの手柄であるかのように横取りしていく。


プリコジン(独白): 「俺たちが耕し、種をまき、血という肥料を与えた。……それを収穫するのは、一度も泥に触れたことのない奴らなのか。」


彼はスロビキンに対し、敬意を込めた最後の敬礼を送りました。しかし、その胸の内では、「正義」を求める怒りがもはや抑えられないレベルまで膨れ上がっていました。


「勝利を奪われるくらいなら、この腐った構造そのものを叩き潰してやる」——。


バフムートからの撤退を開始したワグネル。しかし、彼らの進む先はロシア本土ではなく、運命の地「ロストフ・ナ・ドヌ」でした。



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