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料理人プリコジンのワグネル戦記  作者: バッシー0822


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第19章:泥と血の英雄(バフムートのカリスマ)

58:索敵としての「肉の餌」

プリコジンの戦術は、かつての高級レストランでの「客の観察」と同じくらい冷徹で精密でした。彼は、数人の囚人歩兵をあえて無防備に突撃させ、それを「餌」として使いました。


死のフィードバック: ウクライナ軍がその少数の歩兵を仕留めようと発砲した瞬間、隠されていた陣地の位置が露呈します。


徹底的な破砕: 位置が判明するやいなや、プリコジンは温存していた重火器と精鋭のワグネル砲兵隊に命じ、その地点を地図から消し去るほどの火力で徹底的に破壊しました。


この「数人の命を捧げて陣地を一つ潰す」というサイクルを、彼は24時間休みなく繰り返しました。瓦礫の山を一つずつ乗り越え、ワグネルは亀の歩みながらも、確実にバフムートの深部へと食い込んでいったのです。


59:前線の「シェフ」と囚人たちの熱狂

プリコジンは、モスクワの冷房の効いた執務室にこもる将軍たちとは対照的に、常に前線に姿を現しました。防弾チョッキをまとい、砲火の音が響く中で、彼は泥にまみれた兵士や囚人たちの肩を抱きました。


プリコジン(カメラの前で、背後の爆発音を無視して): 「見ろ、これが『仕事』をしている男たちの顔だ。ショイグ、お前の部下たちがマニキュアを塗っている間に、俺のジェーニャ(囚人兵たち)はここで喉を焼かれながら戦っている!」


彼には、元ごろつき特有の「本能的な大衆掌握術」がありました。


自費のボーナス: 略奪品や自らの利権から得た金を、手柄を立てた兵士にその場で手渡す。


死者への敬意: 遺体袋の前で静かに頭を下げる姿を見せ、「俺はお前たちを見捨てない」という強いメッセージを発信し続けました。


これにより、死を待つだけだった囚人兵たちは、プリコジンのためなら「もう一度地獄へ行ける」と信じ込む狂信的な集団へと変貌していったのです。


60:ロシアが求めた「真の勝利」

当時、ロシア正規軍は各所で撤退を余儀なくされ、国民の間には敗北の予感が漂っていました。そんな中、SNSを通じて毎日発信されるプリコジンの「過激な勝利」は、飢えた国民にとって唯一の輝きに見えました。


「正規軍は負けても、ワグネルは勝つ」


この神話はロシア全土に広まり、プリコジンは単なる軍事会社の経営者から、汚職まみれの官僚機構に立ち向かう「真の愛国者」として、熱狂的な支持を集めるようになりました。


しかし、その輝きが強まれば強まるほど、クレムリンの影ではショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の怒りと恐怖が臨界点に達しようとしていました。彼らにとって、プリコジンはもはや「便利な駒」ではなく、自分たちの椅子を脅かす「怪物」となっていたのです。



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