第13章:ドンバスの炎と異色の共謀
39:クリミア撤退とギルキンとの接触
場所:クリミア半島からロシア本土への連絡線付近
クリミア併合の成功後、プリコジンはウクライナ東部、ドンバス地方への次なる工作の準備を進めていました。そこで彼は、イーゴリ・ギルキン(ストレルコフ)と出会います。
ギルキンは、元FSBの将校で、ロシアの「大義」に狂信的なまでに傾倒する超国家主義者であり、クリミアでの工作にも深く関与していました。
ギルキン(プリコジンに、冷たい目で):「我々は『祖国』のために、血を流し続ける。しかし、あなた方は『金』のために動く。私には理解できん。」
ギルキンは、プリコジンの「ビジネスライクな戦争」を軽蔑していましたが、彼の組織の資金力と非正規戦の実行力を認めていました。
プリコジン(皮肉交じりに): 「ギルキン、あなたの『愛国心』だけでは、兵士は飢え、弾薬は尽きる。私の『金』と、あなたの『信念』が合わさったとき、初めてプーチン大統領が望む『結果』が出るのだ。これが、新しいロシアの『戦争のレシピ』だ。」
プリコジンは、ギルキンの「熱狂的な実行力」を認め、彼をドンバス工作の「表の顔」として利用することを決意します。
40:秘密の役割分担と工作の開始
二人は密かに組み、ドンバス地方への工作の役割を分担しました。
組織、リーダー役割
ギルキン派/イーゴリ・ギルキン:
武力闘争の開始: 現地での軍事蜂起の「指導者」として振る舞い、戦闘を激化させる。「大義と愛国心」を掲げ、現地の志願兵を扇動する。
プリコジン派(ワグネル/トロール)/プリコジン:
影の支援と情報戦: ギルキン派への武器・資金の秘密裏の供給、ウクライナ軍・情報機関へのハッキングと情報漏洩、トロール工場による「現地住民の蜂起」の演出。
この共謀により、ドンバス地方は急速に内戦状態へと陥りました。
41:ウクライナは「草刈り場」へ
ワグネルにとって、ドンバス戦争は「草刈り場」となりました。
武力ドクトリンの訓練: アフリカやシリアで培ったワグネルの戦闘スキルを、西側の軍事支援を受けたウクライナ軍を相手に磨き上げる「実戦訓練場」となりました。
資源の獲得: 紛争の混乱に乗じて、プリコジンは東部の石炭や工業資源に関する不透明な取引を拡大し、ワグネルの資金源をさらに肥大化させました。
国際社会からの非難は相次ぎましたが、ロシアは「内戦への関与はない」と否定し続け、西側諸国も実質的な介入に踏み切ることはありませんでした。
プリコジン(プーチンへの報告書に): 「ウラジーミル。ドンバスの『料理』は、見事に調理されています。『大義』と『金』、両方の味が最高に引き出されています。」
プーチンは、正規軍の損失を抑えつつ、ウクライナ東部に「くさび」を打ち込むという結果に満足していました。プリコジンとギルキンが始めたドンバスの炎は、プーチンの「偉大なロシア復権」という野望を、さらに一歩前進させたのでした。




