第11章:英雄との共闘(スロビキンとの出会い)
33:シリアの戦場と二人の異端者
場所:シリア戦線 2010年代半ば
ワグネルがシリア内戦に投入され、ロシア正規軍が支援するアサド政権の地上戦を担っていた頃、プリコジンは、正規軍の司令官の一人、セルゲイ・スロビキンと出会います。スロビキンは、チェチェン紛争での冷徹で強硬な指揮ぶりから「アルマゲドン将軍」の異名を持ち、正規軍内でも異端視されていました。
プーチンの意図: プーチンは、硬直した正規軍にプリコジンの「実行力」を注入するために、二人の共闘を黙認していました。
二人の共通点:
実戦主義: スロビキンは、腐敗した正規軍の官僚主義を嫌い、「机上の空論」よりも「戦場での結果」を重視するプリコジンに、強い共感を感じました。
アウトサイダー: プリコジンは正規軍出身でない「影の料理人」であり、スロビキンは軍部エリートから疎まれる「冷酷な現場主義者」という点で、正規軍の主流から外れたアウトサイダー同士でした。
34:「ジェーニャ」と「将軍」の絆
最初の出会いは、激しい戦闘の最中、物資の配給を巡って正規軍とワグネルが対立した場面でした。
正規軍の将校がワグネル兵を罵倒する中、スロビキンが現れました。彼は、正規軍の将校を一瞥すると、怒鳴りつけました。
スロビキン:「騒ぐな!プリゴジンの兵士の動きは、お前らの何倍も速い!彼らがいなければ、この戦線は崩壊していた。結果を出した者に、物資を与えるのは当然だ!」
プリコジンは、その公平さと実力主義に驚きました。彼は、スロビキンに最も上質なウォッカと、ニュー・アイランドで培った最高の自家製燻製肉を贈りました。
プリコジン(スロビキンに):「将軍。あなたのような『本物』の軍人と組むのは、光栄だ。」 スロビキン(ウォッカを飲み干し):「ジェーニャ。お前の『料理』は、戦場での士気を高める。我々には、お前の『速さ』と『手段を選ばない力』が必要だ。ショイグやゲラシモフのような臆病者とは違う。」
こうして、「ジェーニャ」と「将軍」という、それぞれ最も親密な愛称で呼び合う二人の間に、戦場を介した異色の絆が生まれました。
35:正規軍の腐敗と共感
二人は、定期的に戦場で秘密の会合を持ちました。彼らの会話は、正規軍の腐敗、官僚主義、そしてショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長の「無能さ」についての激しい不満で満たされていました。
プリコジンは、スロビキンを通じて正規軍の闇を知り、ワグネルがロシアの「真の希望」であるという確信を強めました。
スロビキンは、プリコジンを通じて、正規軍では得られない資金と情報の流れ、そしてプーチンとの絶対的な近さを知り、彼への信頼を深めました。




