第10章:影の帝国の帆上げ(アフリカ・資源戦争)
30:国家操縦術の習得と野心
プリコジンは、プーチンという最高の師の下で、ロシア式の「国家操縦術」を間近で見てきました。それは、情報、経済、そして武力をシームレスに融合させ、「民主主義」という建前を破壊し尽くす冷徹な統治術でした。
プリコジンが理解したこと:
資源と忠誠: 権力は、イデオロギーではなく、資源(金)と「個人的な忠誠心」によって維持される。
情報の武器化: メディアやインターネットは、敵を倒すための最も強力な武器であり、武力よりも安価で効果的である。
責任の回避: 「影の組織」を使うことで、国家は公式な責任を一切負うことなく、非道な工作を行うことができる。
これらの知識と、彼自身の巨大な野心が融合し、プリコジンはワグネルを単なる裏社会の掃除人ではなく、「国家を超える存在」へと変えようとしていました。
31:プーチンの指令と「お互いにとって良い話」
場所:ニュー・アイランド VIPルーム
プーチンは、いつものように冷静沈着な様子で、プリコジンと秘密裏に会食していました。国内のオリガルヒは粛清され、権力は安定。プーチンの次の目は、国外の資源と影響力に向けられていました。
プーチン(ワインを傾けながら、静かに): 「ジェーニャ。我々は、これらの国々を『西側からの解放』という名のもとに、手に入れる必要がある。奴らは、これらの国の資源を盗み続けてきた。そして、それらの国には、我々にとって十分な資源がある。金、ダイヤモンド、ウラン…」
プーチンは地図上の中央アフリカ、マリ、スーダンなどの地域を指さしました。
プーチン:「彼らの独裁者は、西側諸国の偽善的な『民主主義』にうんざりしている。我々は、彼らに『安定』と『安全』を提供できる。そして、我々は資源という『代償』を受け取る。お互いにとって、良い話だろう?」
それは、国家資源と、軍事サービスという「毒の取引」の提案でした。
32:驚くべき実行力と資源の掌握
プリコジンは、この指令に「影の国家運営パッケージ」の全てを投入しました。
軍事介入の完璧な遂行: ワグネルは、正規軍では不可能なスピードと残虐性をもって、現地の反政府勢力やテロ組織を制圧。短期間で現地の独裁政権の命を救いました。
情報ドメインの制圧: トロール工場は、現地語やフランス語で情報工作を仕掛け、「西側諸国は偽善者であり、ロシアこそが真の解放者である」という世論を形成。現地の政府がワグネルを受け入れる「大衆的な正当性」を作り上げました。
資源の回収: プリコジンは、軍事サービスの対価として、現地の金鉱山やダイヤモンド鉱山の採掘権を、自身のダミー企業を通じて次々と掌握していきました。
プリコジンが示した驚くべき詳細な計画と実行力は、プーチンが求めるものを遥かに超えていました。ワグネルは、ロシアの外交・軍事戦略に組み込まれながらも、プリコジン個人の巨大な「資金源と権力基盤」として、自立的な「影の帝国」へと成長していったのです。




