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魔水晶は星の輝き  作者: 月野槐樹


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第4話 令嬢は真実の自由を手に入れる

魔水晶の供給が止まり、エルマリアン王国の魔道具産業に影響が出るまでにはそう時間はかからなかった。道具の原料がなければ、生産できない。

輸出も止まってしまう。


さらに、魔道具で強化された魔導馬車も動かなくなり、街灯や室内灯は輝きを止め、夜は闇に包まれた。


経済は急速に悪化した。学園の研究室には、閑散とし、貴族たちは不満を募らせた。


アルフレッド王子は、夜に部屋が真っ暗になり、様々な魔道具が使えなくなってきて、何やら様子がおかしいぞと思った。侍従達に原因を聞いても、はっきりとは教えてもらえなかった。


侍従としては面と向かって「お前のせいだ」とは言えないものである。

しかしアルフレッド王子にはっきりと言い出すものも現れた。弟のサミュエル王子である。


「兄上のせいですよ」


弟王子に言われて、アルフレッド王子はようやく自分の過ちに気づいた。


リリアナが隣国の重要人物で、正式な婚約者ではなかったこと。エマへの嫌がらせなど、根拠のない妄想だったこと。すべてが明らかになったが、時すでに遅しであった。

王家はヴェルディアに謝罪使節を送ったが、リカルドは冷たく突き返した。


「第三王子の愚行の代償だ。反省せよ。」


リリアナにも謝罪の手紙を送ったが突き返されてしまった。


そもそも、魔水晶の供給が滞ってからやっと謝罪の使節を送ったのだ。卒業パーティの時点で、王子のやらかしをちゃんと把握していなかったことになる。


エルマリアン王国の王家では、アルフレッド王子が卒業パーティで何かをやらかしたこと自体は把握していた。隣国の侯爵令嬢リリアナに婚約破棄を宣言したことも耳に入っていた。しかし、アルフレッド王子の言い分は聞いたが、アルフレッド王子がリリアナの事を正式な婚約者であると勘違いをしていたと言うことが王子の過失だったと解釈していた。

アルフレッド王子がリリアナと結婚をする気がなかったのなら、正式に婚約をしていなくて良かったと考えた。王子のやらかしをあまり重要視していなかったのである。


だから、アルフレッド王子に、過ちを諭すという対応も、ヴェルディア王国に謝罪をするという対応も、遅かったのだ。


エルマリアン王国は、衰退の危機に直面した。魔道具の技術だけでは、原料なしに成り立たない。民衆の生活は苦しくなり、王家の威信は地に落ちた。


一方、リリアナはヴェルディアに戻り、実家の商会を拡大に貢献をした。

艶やかな黒髪を揺らし、新たな工房を構えた。魔水晶を手に炎と水を操る。新たな魔道具を開発し、国を繁栄させたのだ。


彼女の黒髪は、ヴェルディアの象徴として輝き、リカルド王子は彼女を支え続けた。

リカルドは毎夜、リリアナの工房を訪れた。


「リリアナ、君の瞳は、魔水晶より美しい」

「まあ、リカルド。ありがとう。でも、今の私の心は魔道具でいっぱいよ」

それでも、リカルドの支えは、リリアナの心を確実に温めていた。


エルマリアン王国は、第三王子の傲慢が招いた悲劇に沈んだ。一方、ヴェルディア王国は、リリアナの夢とリカルドの愛で、繁栄が約束された。


星降る夜、黒髪の令嬢は、偽りの鎖を断ち切り。真実の自由を手に入れた。

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