表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔水晶は星の輝き  作者: 月野槐樹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/4

第2話 リリアナの秘密

リリアナは、エルマリアン王国の貴族ではない。隣国、ヴェルディア王国の侯爵令嬢である。国外追放などと言われても、単に故国へ帰るだけのこと。むしろ、望むところなのだ。


『もう、この国に来なくて良いって言われても、喜びしかないわ! 学園の魔道具に関する書籍は読み終えたし!』


彼女の家系は、大きな商会を経営しており、特に魔水晶の輸出で知られていた。魔水晶は、魔道具の原料として欠かせない希少資源。エルマリアン王国は魔道具の開発技術に優れ、ヴェルディア王国へ完成品を輸出すしていた。一方、ヴェルディアは魔水晶を供給する。両国は、互いに持ちつ持たれつの関係を築いていたのだ。


リリアナ自身は、魔道具に深い興味を持っていた。幼い頃から、魔水晶の輝きに魅了され、魔道具作りを学びたいと思っていた。

自国ヴェルディア王国より魔道具の技術が進んでいると言われているエルマリアン王国の貴族学園には、最新の研究室があり、授業で実践的な魔道具製作を学べる。図書室には、貴重な古文書や設計図が揃っていた。しかし、学園は基本的にエルマリアン国民しか入学できないのだ。


リリアナの侯爵家が国を通して交渉を試みたところ、エルマリアン王国の王家から打診があった


「第三王子との婚約を条件に、入学を許可しましょう。」


エルマリアン王家としては、魔水晶の安定供給源とのパイプを強化したかったのだ。ヴェルディア王国のアドラー家の商会は、利益の源泉だ。


しかし、アドラー侯爵家は「婚約まで必要か?」と粘り強く交渉を重ねた。リリアナが留学している間、安定した魔水晶の供給を約束することでもエルマリアン王国は十分利益を得られるはずなのだ。


エルマリアン王国では、第三王子と婚約をすることで「仮の親戚」という扱いで、学園の入学許可を出せると、説明をしたが、アドラー侯爵家はなかなか折れなかった。


どうしても婚約をしろというなら、留学は諦めるというと、エルマリアン王国側は、魔水晶輸入の利益が惜しくなったのか、一旦「婚約者候補」として扱い、正式な婚約は学園卒業後にするという妥協案になった。


つまり、リリアナとアルフレッド王子は、正式に婚約していなかったのだ。


アルフレッド王子は、そんな詳細を理解していなかった。紹介された際、説明されたはずだが、彼は耳を貸さなかった。リリアナの黒髪が好みではなく、最初から反発心を抱いていたのだ。


「侯爵令嬢? ふん、そんなの関係ない。黒髪なんて、地味で嫌いだ。向こうは僕が好きで結婚したいんだろうけど……」


と、心の中で毒づいていた。

「隣国の」侯爵令嬢であるということも、ちゃんと聞いていなかった。せめて自国の貴族家を把握していれば、自国の貴族ではないと認識していたのだろうが、アルフレッド王子は、貴族年鑑には毎年目をとおすようにと教師に何度も言われても、重要視していなかった。


入学後、王子はすぐに男爵令嬢のエマと親しくなった。エマの金髪と明るい性格に惹かれ、リリアナを蔑ろにした。リリアナはそれで構わなかった。


彼女は学園で魔道具の勉強に没頭し、王子のことなど気にも留めていなかった。

むしろ。定期的なお茶会などで時間を割かれる方が嫌だった。

エマとは、遠くから見かけたことはあったが、話したことも挨拶したこともない。ましてや、嫉妬して嫌がらせなど、した覚えは一切なかった。あれは完全に冤罪だ。傲慢で自己中心的なアルフレッド王子の思い込みに過ぎなかったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ