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魔水晶は星の輝き  作者: 月野槐樹


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第1話 星降る夜の宣告

エルマリアン王国の貴族学園、卒業パーティーの夜。舞踏室は満天の星を映すようなシャンデリアの光に包まれ、甘い弦楽の調べが恋人たちの心を溶かしていた。リリアナ・フォン・アドラー侯爵令嬢は、黒髪を月光のように優雅に流し、静かにワイングラスを傾けていた。彼女の瞳には、遠い故郷の魔水晶の輝きが宿っていた。


ふと、天井のシャンデリアに目を向ける。シャンデリアには魔水晶が使用されていて、まるで星が降るようにキラキラ輝いていた。美しいその輝きに、リリアナの口元に微笑みが浮かぶ。


彼女の隣にパートナーは立っていなかった。なんなら会場には一人で登場した。従兄弟のリカルドがエスコートしようかと申し出ていたが、周囲の反応を考えて、遠慮しておいた。


令嬢がエスコート無しにパーティに出席するのはあまり外聞が良くないことはリリアナも承知していた。しかし、学園の卒業パーティであって、本格的な社交の場とは、少し異なる。もちろん、今後、社交界に出ていくのだから学生であっても、きちんとするべきという考えは、リリアナも理解できる。


だが、学園内であれば、多少のことは多めに見られるし、あれこれ画策しても裏目に出ることもある。それを考慮してリリアナはあえて一人で参加することにしたのだ。


緩やかな音楽を演奏家達が奏でる。中央のステージに、第三王子のアルフレッドが現れた。第三王子に配慮してか、曲も新しいものに変わった。煌めくような優雅な曲だ。


アルフレッドは金色の髪を風に揺らし、腕には男爵令嬢エマ・べセットが寄り添う。華やかなフリルや宝石がふんだんに散りばめられたドレスを身に纏ったエマは、その華奢な腕を王子の腕に絡め、身を預けるようにしていた。エマの金髪は蜜のように甘く、王子の視線は彼女にのみ注がれていた。


曲が一区切りした時、アルフレッド王子はスゥッと大きく息を吸い込み、周囲を見回した。リリアナの姿を見つけて、キリッとした表情を浮かべる。


「リリアナ・フォン・アドラー!」


アルフレッドの声が、氷のように響く。


「君との婚約を、ここに破棄する! 君は私の愛、エマに嫉妬し、陰湿な嫌がらせを繰り返した。それゆえの罰として、国外追放を命じる!」


会場が凍りついた。貴族たちの囁きが、波のように広がる。


リリアナは目を瞬かせて、手にしていたグラスを置いて、王子達の方に向き直った。さっと扇を取り出して口元を隠す。心の中でつぶやいた。


『ええ? よろしいんですの?』


内心、胸の奥で熱い喜びが爆発していた。表情を見せないようにしているが、扇の下の口元は緩んでしまう。目元も微笑んでしまうが、貴族の嗜みの範囲だろうと開き直る。


『なんて素晴らしい、卒業式でしょう! ようやく……この鎖から解き放たれるのね!』


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