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告白  作者: WAIai
2/3

【2】

「ー馬鹿じゃないの、あんた」

エアコンが効いた涼しい中、親友の阿部美紗子が呆れたように言う。ツインテールで色白の彼女は高貴な猫のような姿だった。もちろん、彼氏がいるのだった。一緒に歩いていると、必ず、美紗子に皆、注目するのだった。

「だって、嘘かもしれないし…」

めいは手をモジモジさせながら、素直に言う。席は一番前だった。今は別の休み時間で、クラスメイト達はグループを作って遊んでいる。若い分、怖いものがないらしく、賑やかだった。美紗子がため息をつく。

「あのね、告白するのも勇気がいるのよ。わざわざ呼び出すわけがないでしょ」

「あの…、その…」

「可哀想、啓君」

髪を後ろにはらうと、美紗子はすこしキツめに言ってくる。

「付き合うってどういうことだか、分かる?」

「…分かりません」

「…はあ、全く。残酷なやつ」

美紗子は顔を近づけると、こそりと言う。

「あんたと一緒になって、キスしたり、…そのセックスしたいっていう意味なのよ」

「…え?」

「この鈍感」

めいの額を指で弾くと、美紗子はさらに耳に口を寄せてくる。

「子どもが欲しいってこと。分かる?」

「子ども…、ええ!!」

ものすごく大きな声がでてしまった。一瞬教室が静まりかえる。

「馬鹿!! 大声出さないの!!」

「だって…」

首まで真っ赤にし、めいは口をぱくつかせる。何と言っていいか、分からなかった。美紗子はポケットに手を入れると財布を取り出す。黄色小さなものだった。中を開き、めいに見せてくる。

「これ何だか分かる?」

四角い小さなものに見覚えがなく、めいは首を振る。まだ顔が真っ赤だった。美紗子にも移ったのか、少し恥ずかしいように言ってくる。

「ーコンドームよ、コンドーム」

「コン…!!」

「しー!!」

口を押さえられ、めいはパニックに陥った。何が何だか分からなくなってきた。美紗子は素早く周りを観察し、注目されていないことに気づくと、言ってくる。

「いざという時のために持っているのよ。分かる?」

「…分かりません」

「馬鹿」

美紗子はそそくさと財布をしまうと、机に両手をのせ、言ってくる。

「もう子どもじゃないんだから、知らない」

「…その、ちょっと待って」

「何?」

「あの…セックスってどうなの? 痛いとかあの…」

めいが興味本位で聞くと、美紗子が大人びた顔で言ってくる。

「痛いけど、我慢するのよ。それが女の役目」

「…はあ」

イマイチピンとこなかったが、美紗子のほうが経験値が上なのは分かった。これ以上、恥ずかしくて聞けそうになかった。ちょうどチャイムが鳴ったので、そこで話は終了だった。


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