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便利すぎる時代

警告・New Age Beginningの続編であるために先にオリジナルを刮目せよ。そして本編に突入くれたし。

人類は時の流れに連れ次第に脳の構造が変化していった。それはごく普通にまた自然に思考能力が変わっていった。心地よい音楽に体の芯まで満たされ催眠術を掛けられたのごとく見えない糸で踊らされた。そして常識的、当り前の様に皆が賛同し自ら同調していった。何故あの時、疑いに気付かなかったのだろう。それも仕方が無い・・。あの時はもう既に群集心理に従い自ずから舞い踊っていたのだから・・




あの時・・。我々は陰の指導者を葬った。確かに我々の前で死んで逝った筈だった・・。

そして狼煙を立てた。我々の旗に夕日が翳していた。我々の合言葉を“New Age Beginning"と決め、“次の世代までに良き未来が築ける様に軌道修正をかける”という誓いを胸に託した。

しかし、現実はそう甘くは無かった・・。


「さぁ!新時代の幕開けです。皆さんの脳内に埋め込まれたマイクロチップに周波数の電波が受け取られ、いつどんなときでも最新で好きな情報が更新され直接頭の中で読み取ることが出来ます。何かの機械の道具を使うという事など過去の話です。待ち望んだ“理想郷”へようこそ!」



「便利だわぁ最新のニュースも分かるし天気も困る事ないわ」

「頭の中で直接分かるっていうのがいいよね」

「待ち時間もバーチャルゲームで時間潰しも出来て退屈なしさ」

「待ち合わせも共有できて遅れる事も場所を間違えるって事も無くなるし」

「まさにこの事を人間コンピューターっていうのね」


高々と民衆の声がそこらじゅうから騒ぎ立てた。誰しもがその夢の機能性に押し合いへし合い捲し立ててきた。最新情報が出るたびにまるで何も放ったらかしで詰め掛けては分け目もなしに国民全員が夢中になった。我々(レジスタンス)が戦い抜いたかいもなく時代は流れ薄っぺらい考えの新人類ミュータントが世に蔓延る世界と化していった。


長年の間、世界中のレジスタンスは誰にも気付かれず日夜活動を続けている。

そして世界中のレジスタンスの仲間に情報を共有するため監視の目を逃れ、あらゆる手段で連絡を取り合っている。そこから“理想郷”妥当の妨害工作を編み出しそれぞれの手法で活動を続けている。その中で気に掛かる同じ一つの情報が国を問わず集まっていた。それは世界地図には載っていない国があり、そこで“宇宙人”と共謀して未知の科学技術を使いより一層新たな“理想郷”建設を企んでいるという事を。その場所が“11”という数字に含まれているらしい。


「いったいどういうことでしょう。皆が挙って“11”という数字に拘っている」

鮎子は暗号文面の至るところに出ている様々な“11”の謎の数字に目をやった。

「予測は付く。その“地図に無い国”の場所のことを言っているんだろう。だが、それがどういった意味か分析が進んでいないんだろう」

有沢が鮎子の顔の横から覗き込んだ。

「今まで収集した情報と合わせあらゆる方法で組み合わせています。時間は掛かりますが僕に任せて下さい!」

プログラム技師の青年は威勢の良い事を言っている。

「ほんと大丈夫かぁ~。世界中が躍起になって探しているのに分からないものが、お前が出来るっていうのかぁ?」

特攻隊長がプログラム技師の青年に決めつけのていで問い掛けた。

「あぁ~、隊長。僕を見くびってますねぇ~。今に見ててくださいよ」

プログラム技師の青年は目を見開き大きな口を開けて言った。

現代いまの人類は三種類に分けられる。一つは我々のような無添加の化石人類。二つ目は赤ん坊の頃から脳内にマイクロチップを埋め込まれた進化人類。そして最後は人工で造られた新人類ミュータントだ。脳の中枢に的確にマイクロチップを埋め込む手術や、パソコンひとつで意図も簡単に人類を造ることなどまだまだ人間の手では到底不可能な事だ。しかし“宇宙人”の技術を使えば有り得るかもしれん。その“地図に無い国”が“裏政府”と繋がり“宇宙人”と共同している秘密基地になっている可能性も一利ある」

有沢が次の目標を定めた。

「俺たちが化石人類。世も末だねぇ」

特攻隊長が皮肉めて言った。

「とにかく場所が分からない限りは話にならないわ。先生、分析を急いでね」

鮎子がプログラム技師の青年の肩を叩いた。

「お任せあれ!」

プログラム技師の青年の頬が赤らいだ。


その日の夜、皆が寝静まったなかプログラム技師の青年は“11”という数字の謎を解き明かすため狭く暗い一室で独り悪戦苦闘していた。

「あれだけ鷹を括って大口を叩いた割にはちっとも捗らないや・・。困ったなぁ・・。隊長のそれ見た事か!の顔が思い浮かぶ・・」

あらゆる手を尽くしたが年代物のコンピューターの分析力が時間が掛かりなかなか追いついてこない。プログラム技師の青年は苛立ちと焦りを感じ始めた。

「コンピューターの所為にしてはいけないわ。あなたの数学の頭が追いついていないのよ」

突然、プログラム技師の青年が座る椅子の真後ろから少女の声がした。驚き咄嗟に振り返るとそこには思春期を迎えるくらいの少女が立っていた。

「誰だ君は!何処から入ってきた!」

プログラム技師の青年は震えた声で叫んだ。

「私は何時でもあなた達と共に一緒にずっと此処にいるわ。それより数学の知識を集中しなさい」

少女は表情を変えず冷静な眼差しで言った。

「答えになってないよ!なぜ僕に指図する!」

プログラム技師の青年は机の引き出しに隠してある銃を取り出そうとした。

「そんな事やめなさい。意味ないわ。私はあなた達のリーダーに助けられた。だから一緒にいるの。分析しなくちゃいけないんでしょ。さぁ世界中の数学の頭脳を集めて答えを導き出すのよ」

プログラム技師の青年は何歳も年下の少女にけしかけられてキーボードを叩いた。

「微分積分二次方程式、円周率にフレミングの法則、因数分解にピタゴラスの定理。そしてあなたの知らない計算式まで全てコンピューターに掛けて紐解いてゆくのよ。あと二進数もね」

少女が横から割り込んできて目も眩む早いスピードでキーボードを叩いた。

「君はいったい何者なんだい。どうしてリーダーに助けられた?」

プログラム技師の青年は少女の手慣れた早業に唖然となりながら聞いた。

「私は・・、私は反抗期が理由で“不良品の墓場”という所に捨てられた・・」

少女のキーボードを叩く手が止まり暗い顔になった。

「“不良品の墓場”・・」

プログラム技師の青年は口をふさぎ悪い事を聞いてしまった罪悪感にかいなまれた。

「あと、ひとつ隠し味を投じましょう。数字にも花言葉と同じで色々な意味が隠されているのよ。“11”という数は慈悲、奉仕、信頼、革新、直観力。何がどれに当てはまるかは分からないけど試す必要はあるわね」

少女は表情を変え本題に返った。すると今までモニター画面にエラー表示ばかり出ていたのが的を得たのか急に数字の羅列が無数にはじき出され計算を始めだした。

「ここまできたら後はコンピューターにお任せね。あなたも少し休みなさい」

少女の無表情だった顔が少し微笑んだ様な気がした。プログラム技師の青年は少しの時間の圧倒感に疲れを覚え気を失うかの様に眠り込んだ。そして深い眠りから冷めた時、モニター画面にはひとつの答えが照らし出されていた。


・・つづく。

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