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家族の再会

警告・New Age Beginningの続編であるために先にオリジナルを刮目せよ。そして本編に突入くれたし。

鮎子は何も無い真っ白な場所に立っていた。その場所は心地よく安らぎを感じる穏やかな不思議な空間だった。まるで宙に浮いている様で地に足を着けている感触がしない。眠りを誘うような白い世界をぼんやりと眺め、ゆっくりと深呼吸をして歩き出した。感覚は前に進んでいる実感が全くしない。頭の中では何も考える事は出来なかった。ただ、自然とその空間に癒されていた。すると前から自分の方向へ歩いてくる小さな影があった。鮎子はその野球帽を被った男の子の目線を合わす様に体をしゃがませた。その男の子は鮎子の頭の中に直接喋りかけてきた。

「ずっと会いたかったんだよ」

「私に・・・」

鮎子はその男の子の頬を撫でながら頭の中から返事をした。

「ずっと、ずぅーっとこの瞬間ときが来るのを待ってたんだ」

男の子の眼が潤んだ。

「もしかして・・、私の息子・・・」

鮎子はその男の子の顔をじっと見つめた。

「そうだよ。ずっと待ち望んでいたんだ。それからね、おねぇさんもいるよ」

男の子は感極まったのか泣きじゃくった。

「おねぇさん?・・」

鮎子は意味が分からず、なだめる様に男の子の頭を撫ぜた。

「おねぇさんって誰なの?・・。それに此処は何処?・・」

鮎子は男の子の涙を拭いながら聞いた。

「これは今まで見た夢の世界ではないよ。本当に傍にいるんだよ・・、お母さん」

「お母さん・・・」

その瞬間、靄が掛かるようにその癒しの空間は掻き消されていった。


鮎子はいま火星ロケットの冷凍カプセルの中にいた。火星到着までの長い時間、強制的に体温を低温保存して低下させたうえで新陳代謝を遅らせ無事に火星に到着した時点で元の体に回復される、いわばベッドの上で安らかに寝ている様な感じだ。

「待って!行かないで!」

冷凍カプセルは火星到着までの一定の時間タイマーで管理されその間、搭乗員は死んだ様に眠るのだが、火星ロケットが月の周回軌道を離れ火星の方向へと向きを変えたころ鮎子はその認識を打ち破り、はっと深い眠りから覚めた。

「お母さん、僕は隣りにいるよ」

鮎子の目の前にある小さなモニターに野球帽の男の子の顔があった。

「あなたは私の息子なの?」

突然の事で鮎子の頭の思考能力が回転していない。

「私もいるわお祖母ちゃん」

モニターに映る野球帽の男の子の横から光が顔を出した。

「あなたは誰なの?」

まだ鮎子の虚ろな頭の中がまだ回転していない。

「おねぇさんだよ」

野球帽の男の子は無邪気に笑いながら答えた。

「私はお父さんの娘です」

光は野球帽の男の子を抱き上げ答えた。

「お父さんの娘・・?」

鮎子の頭の中が混乱を極め迷走し始めた。

「私もよく分からないけど、お父さんだと心が感じるの」

光は思いのまま言った。

「こころ・・。あなたは人間ひとなの?ところで・・、私いままでどうしていたのかしら・・」

鮎子の頭の中は考えるのをやめた。

「お母さんに会いたいが一心で力一杯で念じたんだ。そしたら此処にいたんだよ。あとはおねぇさんが難しい機械を弄って、今はおねぇさんと一緒にベッドにいるよ。あと、おねぇさんもお母さんを探しているんだ」

野球帽の男の子は一生懸命話したが、子供のいう事はもひとつ理解できない。

「お祖母ちゃんは悪い人に捕まっていたの。それをお父さんが不思議なパワーで救け出したの。そして私がなんとか逃げ出す事を考えていたらこの火星行きのロケットの中にいたの。そして今はそのカプセルベッドの中にいるの」

光が説明の補足をしたが今ひとつ分からない。

「夫は・・、高仁は何処にいるの」

鮎子の頭の中に有沢の顔が浮かんだ。

「お祖父ちゃんは分からない・・」

光の頭の中に海底洞窟の有沢のミイラの姿が思い浮かんだ。

「あのひとならきっと何処かでうまくやっているわ。なんせ私が見込んだひとなんですから!」

強がってはみたが鮎子の顔は不安が入り混じっていた。

その時、三人が会話していた眼の前のモニターが乱れ全く別の画像が映し出された。

「私の名はマザー。地球人はこれより先には行かせぬわ」

画面に割り込んで入ってきたのは幼顔の声の低い女だった。

「あなたまだいたの!」

鮎子の顔が急に険しくなった。

「地球人の汚れたDNAは根絶させる。"約束の地”には行かせない。醜い地球など攻撃せよ。火星は超新人類だけが住む惑星ほしだ」

そのとき鮎子は咄嗟に思った。三つ子の新人類ミュータントだった幼顔の女のもうひとりの姉。この女がそうだ。

「お母さん・・」

鮎子の耳にスピーカーから光の声が聞こえてきた。

「お母さん・・?この女が私の息子のお嫁さん!?」

鮎子は気が動転した。モニターに映った幼顔の女はまだ何かと喋っていたが、鮎子の耳には入ってはこず、ただこの女を睨みつけるだけだった。・・その時、またスピーカーから別の低い声が入ってきた。

「残念でしたぁ~。時間切れでぇ~す」

同じ低い声でもトーンが違い別のものと分かる。聞き覚えがある悪寒が走るあのイントネーション。そして何の音沙汰もなく火星ロケットに仕掛けられた帝国の冥途へのお土産という爆弾が炸裂した。


・・つづく。

次回はいよいよ衝撃の最終回!

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