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帝国月面基地の崩壊

警告・New Age Beginningの続編であるために先にオリジナルを刮目せよ。そして本編に突入くれたし。

車は夏の日差しが強い雲ひとつない青空のなか田舎道を走っていた。その周りではうるさいくらいの蝉の鳴き声がより暑さを増している。

「お姉ちゃん、これから何処に行くの?」

聡子が後部座席から低い声で聞いてきた。

「何今ごろ言っているの、温泉旅行よ」

助手席に座った望恵が低い声で答えた。

「あの・・、道端の地蔵・・。今さっきもあったわ・・」

ハンドルを握る良子が何回も目にする地蔵に気を掛けた。

「しかし!うるっさいわね!この蝉」

望恵が耳を塞いだ。窓は閉めているがどこかしら鳴き声が漏れてくる。

「トンネルが出てきたわ。これを抜けると温泉街よ」

良子が軽快にタイヤを回転させた。

「温泉なんて何処にもない・・」

聡子が悲しい目で見つめた。


その三人は偶然出来上がった三つ子でした。しかし周りから気味悪がれ“不良品の墓場”と言われる処理工場へ廃棄処分される事になりました。処理工場へは不良品自らが自分の分解しに場所へと向かいます。しかし自ら何をしに行くのかは分かっておりません。この例だと温泉旅行でしょう。そしてその場所まで迷わず蝉の鳴き声に似せた電子信号が誘導してくれます。何かの目印が出てくればもう間もなく不良品達の処刑場です。この例だと地蔵です。“不良品の墓場”には超音波が発生されておりそれが脳内に組み込まれたマイクロチップに影響を与え破壊します。

プログラム信号を受け止められなくなった不良品はすぐさま体の動きは停止して後は風化の道を辿るだけなのです。その時に体から出るガスが病院の独特な匂いを感じさせます。しかし、まれに間違いが生じる時がございます。つまり誤作動です。それが今回の事の始まりでした。さぁ、今日はここまででお終いよ。もう、おやすみしなさい・・。



「このごろ毎日繰り返し見る夢だわ。同じ場面の繰り返しよ」

幼顔の女は遠くを見つめ思いに耽った。



"ばらばらになって逃げるのよ!”



「あの瞬間とき、お姉ちゃんからそう言われたが私は逃げなかった。そうじゃない逃げれなかったのよ」

幼顔の女は焦点の合わない目で独り言のように言っている。

「あの森の奥深くから出てきたのは四足歩行で歩くで毛むくじゃらの生き物だったわ。それが私にすり寄って来て愛らしく思えたの」

幼顔の女は動物というものを知らない世界で育った。

「朝になるとお姉ちゃん達が心配になり、その毛むくじゃら達と一緒に出掛けたの」

幼顔の女は目に見えないお姉ちゃんと話している様だ。

「崖の下には乗っていた車が大破していたわ。だけど、良子お姉ちゃん、望恵お姉ちゃんは見つからなかったの。そして怖いお兄さん達に見つかり連れて行かれた」

幼顔の女は壊れたかのように独りで喋り続けている。それを虫唾を走らっせながら聞いていた鮎子がひとつ思い出した。“鉄十字教団”の代表の事だ。彼女も同じ顔で低い声だった。しかしこれは心のなかで留めておこう。もう彼女は自ら命を絶ったのだから・・。しかし、あと一人は何処に行ったのだろう?

「そして私は"/”(スラッシュ)の殺し屋としてお膳立てされ教育されたわ。気が付けば指導者を暗殺して世界を闇で席巻するトップに就いていたのよ」

幼顔の女は誰に履歴を語っているのだろうと鮎子は思った。

「だけど、そんな思い出ばなし。どうぉでもいいのよ。あの地球ほしと一緒に消えてしまうわ」

幼顔の女は遠くを見つめていた死んだ魚の様な目から、爬虫類の威嚇する様な冷たい目に変わりいつものせせら笑う笑みを浮かべ鮎子へと振り向いた。

「私は火星へ行ってくるわ。今度は向こうのマンションに移り住むのよ。あなたは此処でお留守番していなさい。その水槽の棺桶の中で今の美貌のまま永遠の眠りにつくのよ。羨ましいわぁ~」

幼顔の女はどこからかキャリーバッグを持ち出し勝ち誇った様に水槽の中の鮎子に吐き掛けた。するといきなり大量の泡が水槽の底から湧き上がり鮎子の姿を包み消した。

「何が起こったというの・・」

幼顔の女の目の前のスーパーコンピューターが誰かに操作されている様に勝手に動き出し容赦なく違う別のプログラムを起動させている。そして大量に溢れ出した水槽の泡が消えた時、鮎子の姿も消えて無くなっていた。

「急に何が起こっているの!早く調べなさい!聞こえているのっ!」

幼顔の女の呼びかけた声の返答が返って来ない。スーパーコンピューターからは煙が吹き上がり火を噴いた。

「かぐや姫様・・、あなたの月のお城も崩壊ね」

何処からともなく鮎子の声が部屋中に広がった。幼顔の女の周りに勢いの強い炎が取り囲んだ時、一機の火星ロケットが豪炎を吐き離陸していった。

「分からず屋さんは火星行きの予約時間に間に合わなかったみたいね。お気の毒さま」

鮎子の声が部屋中に響いている。そして幼顔の女の周りでは爆発が響いている。高く飛び立つ火星ロケットを幼顔の女が窓から眺めながらニヤリと微笑んだ。

「冥途へのお土産を忘れずにね・・」

そして帝国の月面基地は炎に包まれ勢いよく破裂した。


・・つづく。

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