俺とアイツの10年は…
なろうラジオ大賞5 用に書いたのですが、時間間に合わず…。
ほぼ初めての小説なので、まとまりないですが、時間できたら続きも書いてみたい。
ピッピッ、定期的な機会音と共に、目の前には幼なじみの陽が眠っている。
「陽ごめん…」と話しかけるが、返ってくるのは機会音だけ。
俺と陽は幼なじみ、名前の通り、表裏なく明るいやつ、天才肌というのか、昔からある程度のとこは何でもやってのける。
かたや俺は、努力型の秀才というところだろうか、人には弱さを見せたくなく、自分でこじらせ今に至る。ただ、俺の装うのが通じないのが陽、ガキの頃から付き合い長く、何でも見抜かれる。
「ねぇごめんってどういうこと?ねぇ秀君?」と陽の彼女の由紀の声で、はっとする。由紀も同じ中学だから俺も知っている。
「陽ちゃんのこと、あの日何があったか知ってるの?」と追及を受ける。陽は俺らの出身中学校で体育教師なって3年目、その中学校の屋上から転落して今この状態である。
「陽ちゃんは自殺しようとはしないはず。何があったか教えて!」と追及は強まる。
俺は大学卒業後、東京の商社で働いている。大学まではある程度秀才で通っていたが、働き出すとそうはいかないのが現実。社会人3年目、自分より優秀な人も沢山いて、自己主張が簡単に通る世界ではない。現実に打ちのめされて、思い立って田舎に久しぶりに帰ってきたのだった。誰にも言わず実家にいくつもりだったが、小さい町では無理な話し。あの日俺は陽に学校に呼び出され、久しぶりに会う。
夜の学校の屋上、空には三日月が俺ら2人を見ていた。
俺がなんで急に戻ってきた理由を陽は何も聞かなかった。
「なぁ、覚えてるか?中3の文化祭の終わった夜のこと。あと日もさこんな三日月だったよなー。あの日はスゲー楽しかったよな。青春ってやつかぁ」など言って笑っていた。
「俺もあの日…、陽が…、屋上から落ちた時…、あの場所にいたんだ。由紀ごめん。」と謝り、あの日のことを話し始める。
すると、今まで5日眠り続けているアイツが反応した。慌てて由紀と2人で陽を呼ぶ。涙が自然と出ていた。
「なんだよーうるさいなぁ、はぁ?病院?何で?」と陽は今の状況を理解できてない様子。
そして、「なぁ秀、由紀、なんかお前ら老けた?大人じゃん」と陽が言う。「なんかおかしい、え?俺もなんか大人じゃん」と陽が自分の姿と俺らの姿をみて、驚いている。
「俺ら中3だろ?」陽の発言に今度は俺らが驚かされる。目が覚めた陽の記憶は10年前の中3に戻っていたのだった。