009 奴隷のスタートラインにも立っちゃいねえ!
初日は複数話投稿いたします。
何が始まるのかと思っていたら待つこと少し。一人の中年の女が現れて、端から奴隷たちを睨みつけて「C、B、C、A」などとアルファベットを言い出したのだ。
これは奴隷のランク分けに違いない。
何ランクまであるのかは知らないが、おそらくAランクが一番高くて、Cランクが一番低いのだろう。Cランクと言われた人数は多く、女たちはほとんどがCランクだった。
そして俺の番が来た。
「お前、童貞なのにスキルを3つも持ってるじゃないか。……せん、た、く? 良く読めないねぇ。二つ目のスキルなんて全く読めやしない。でもどうせ童貞の男が取得するスキルなんてレアなもんじゃないさね。その証拠に3つ目のスキルは【バナナの皮で確実に滑らせる能力】 だ。お前はCだ」
そう言うとすぐに隣の奴隷に目を向けてしまった。
俺のCランクが決定した瞬間だった。
ランク分けされた俺たちはランクごとの男女ごとに分けられて、そしてそのまま独房のような部屋へと押し込まれた。
何もない、あるのは用を足すためと思われる大きな壺が部屋の隅に一つ。布団もベッドも無い。人が住むのに適しているとは全く思えない環境。
これが奴隷。この世界の奴隷。
Cランク男子勢は俺を含めて9人。狭いこの部屋に9人だ。かろうじて雑魚寝が出来るくらいのスペースしかない。もちろんプライバシーも無く、話す内容も筒抜けだ。
お互いの自己紹介を始めた所、監守と思われる男がやってきて、
「おめえらうるせーぞ! 静かにしてろ。しゃべっていいのは客が来た時だけだ! そんな幸運が訪れる事を黙って祈ってな!」
と怒鳴りつけられた。
俺達をランク付けした中年女いわく、俺達に与えられた期限は5日。その期限内に買い取られなければ鉱山奴隷か戦場に送られる。
奴隷初心者の俺としては5日という期間が長いのか短いのかは分からない。この世界の奴隷売買が盛んであれば売れるのかもしれない。
なんにせよ情報が必要だ。俺はこの世界がどんな世界なのかまだ詳しくしらない。分かっているのは女が強くて男が弱い世界、というくらいだ。
情報は力になる。生き延びるためにも必須だ。
ひそひそ話なら監守には聞こえなさそうなので、部屋の隅でこっそりと情報交換を始めた。
「ボクはナーナン。よろしくね」
俺より年下の男の子。今まで見た男達と同じく、小さくてひょろい。顔は男らしく掘りの深い顔。それがCランクの判断となったのだろう。
ナーナンは童貞らしい。その話を聞いて、おれは何故か勝った! と思った。
お読みいただきありがとうございます。
実は下書き当時はBランク奴隷生活展開も書いてたとか。どうとか。