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95. 暴走

「むっ!まずいぞ!!」

「これは......」

「何をしているのじゃアレス!!本当にあの小僧死んでしまうぞ!」

「.........アイギス」


「ア、アイちゃん!?ちょっと大丈夫!!」

「あ、あ、ああ、あ、ああ、ああ、ああああ」

カタカタと震えながらアイギスは宝珠の姿に戻る。しかしどこか様子がおかしい。

「アイちゃん!しっかり......熱ツ!!な、なに!?」

驚いたリルはアイギスを振り落としてしまう。アイギスが居た場所には火傷跡が出来ていた。

「ああああああああああああああああああああああああああああああ」

水に落ちない......と言うよりはアイギスの周りの水が蒸発し始めていた。



「..................殺す。」

「えっ?アイちゃん?」

アイギスははっきりとリルを見ていた。



「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」


どす黒い気配を撒き散らしながら、アイギスは呟き始めていた。リルも潜在的に恐怖......と言うよりは死を直感する。


(まずい!!)

ドボンッと潜航し一瞬で深海のさらに下まで潜っていく。

(ここまで来れば......なっ!)



リルの目の前には既にアイギスが居た。


「殺す」


(くっ!)

アイギスから放たれる極太のビームを間一髪避ける…...

(痛ったた...)

尾びれをかすっただけで、魂まで響く激痛にリルは苦しむがそれでも攻撃しない。


(タッツー......)

リルは樹生が居たであろう場所を見る。ぐちゃぐちゃに吹き飛んだワダツミの死体と木っ端微塵になった水上バイク......

(いた!)

メアを抱きかかえながら、意識を失っている樹生を見つける。

(一か八か!!タッツーはやらせないよ!!)

ズバンッと一瞬にしてトップスピードで樹生のもとまで到達。


(ごめんね...)


そのままメアと樹生を飲み込んだのだった。そして......






(楽しかったよ!!)

首と胴体が吹き飛びバラバラになった。



「マスター......誰?マスター......愛して?マスター......どこ?マスター......どこ?」

リルを殺したアイギスはフラフラと次なる獲物を探しながら虐殺を始めた。





???

「ここは…いったい?」

周りを見渡す。古めかしい洋館といった風貌の屋敷であった。しかし......なんだろうか?この違和感は...

「似てるな......もしかして神夢界か?」

真っ白の世界を黒く塗り潰した上に立体的な絵を描いたみたいな......一度でもあの世界にいった者ならわかる感じ......

「君は神様ですか?」

「............」

銀髪に紫色の瞳。頭にはヤギの角が渦を巻いており、背中からコウモリの羽らしきものが生えていた。

スッと少女は目を閉じ、うつむいてしまう。

「どうかしましたか?気にさわってしまったらすみません。」

「.........う」

「う?」



「うへぇ~......やっぱり無理だよ~!サロメ―!」

「はいはい。頑張りましたね。お嬢様。」

メイド服を来た狼男ならぬ狼女が現れた。


「おぅふ......」

「なに見惚れてるにゃ......ああ言うのが好みなのかにゃ?」


「異世界人タツキ様、及びナイトメアキャットのメア様......ようこそ冥夢界へ。お嬢様に変わりメイド長サロメが挨拶をさせていただきます。」

「ど、どうも......九条樹生です。」

「メアにゃよー。始めましてにゃね!このクソ娘!!」


シャーっと少女を本気で威嚇するメア。なにやら確執があるようだが...... 

「こら!失礼だろ。すみません...」

「いえ、謝罪すべきはお嬢様ですから。ほら......謝罪してください。」

「..................」

「............はぁ、お嬢様?いつまでそうやって恥ずかしがっているのですか?タツキ様の前でこれ以上醜態をさらすつもりですか?そもそも、お嬢様が勝手な事をしなければ、タツキ様も危険な目には...」

「ま、待ってサロメ!!わかった...わかったから...」

一息つくと少女はメアと樹生を見る。

「ごめんなさい......。私の身勝手で危険に晒してしまい...」

暫くの間沈黙が流れる。

「はぁ......許すにゃよ。」

なんと最初に沈黙を破ったのはメアであった。

「確かに最初は君の事を恨んだにゃよ。何回死にかけたか分からにゃいからね。でもにゃ、君のお陰でタツキ達に会えたのも事実にゃ。そこは......感謝してるにゃよ。」

ふいっとそっぽを向くメアはどこか恥ずかしがっている様子だった。

「............タツキ、なに見てるにゃ?その顔やめるにゃ。やめるにゃ!!」

ニマニマしてるとメアに怒られる。そんなことをしている内に頭が冷えてきた。

「メア、ありがとう。また君に助けてもらったね。」

「大丈夫にゃよ。それよりも、アイギスとリルが心配にゃね。」

「確かに......まぁアイツ等なら...」


「悠長な事は......言ってられません。地上はだいぶ酷い事になってますよ?」

暗闇からこれまた獣人......まさに狼男が現れる。

「お初に御目にかかります。私、メフィスと申します。リリアお嬢様のお世話係を......んむ?」

「すげぇ~......狼男、ライカンだ~!!」

「ふむ......なかなか豪胆な方だ。」

目を輝かせる樹生を見て若干引いていた。

「なるほどにゃ...タツキの趣味がわかった気がするにゃ。」

「ゴホン!......それよりもタツキ様、地上の様子をお話しても?」

メフィスからの提案に樹生とメアは頷く。



「まず、残念ですが......リル様が...お亡くなりになりました。」



「「は?」」




樹生もメアも情けない声が出ただけだった。


「ほらほら!繋げて繋げて!!」

「やってるわよ!!良かったわ彼女が居てくれて!!」

「無駄口を叩いている場合ですか!?魔獣だろうがなんだろうが、私の患者ならば決して死なせはしません!!リーブルカイザー......正念場ですよ。」



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