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93. ワダツミ討伐作戦2

「アレスよ1つ聞いてもよいかのぉ?お主…小僧に何をした?」

「戦女神の加護、その一部を授けました。もちろんアイギスを通してですが。」

「加護の一部......効果は?」

「騎乗と戦術に少しばかり効果を発揮する程度です。他はあのクソ勇者達に授けてしまいましたから。......本当は彼のような人物にこそ授けたかったですよ。」


「タッツー、本当にこれで行くの?」

「マスター!!これではお守りすることが出来ません!!」

リルの背中に固定された巨大なバリスタ。それはアイギスが変身したものだった。

「いいや、アイギスこれでいいんだ。今俺たちに必要な物は防御力じゃなくて攻撃力だ。」

「それは重々承知しています!しかし、これではマスターを誰が守るのですか!?それに......打ち出す矢はどうするのです?」

真っ当な疑問だった。

「それに関しては問題無いよ。まず矢だけど打ち出すのは矢じゃない。これだよ!」

保管庫を開け中から様々な武器を取り出す。それらは樹生がこれまで集めてきた武器のすべて。魔剣や魔槍、戦斧に宝剣、果ては邪剣や天剣まで......

「すっっごぉぉい!!えっえっ?タッツーこんなヤバい物いっぱい持ってたの!?」

「ああ、いつまでも保管庫の中に眠らせておくのも可哀想だしな。」

「うぐぐ......攻撃手段については理解しました。しかし、マスターを誰が守るんですか?」

アイギスの言葉に樹生は暫く沈黙する。


「......俺とメアが囮になる。」

瞬間、アイギスはバリスタから盾に戻る。

「何を言っているのですか!!マスター......止めてください!......そ、そうです!今から別の方法を探しましょう!リル!貴方なら何か知っているでしょう!?」

アイギスはリルに詰め寄るが...

「ごめんなさい......。知らないわ。」

リルの言葉にアイギスは呆然としていた。

「それでは......最初の島の謎解きは何だったのですか!」

「それは、最終的なワダツミの弱点を知るための物なの。全部で5ヵ所島を渡ってワダツミの弱点を知ってから挑むのよ。」

「その弱点とは?」

「これにゃね。」

メアがペシペシと何かを叩いていた。そこには三又の槍があった。

「絶海ヲ制スル三又ノ槍...これをワダツミの脳天にぶちこむのよ。それでしかアイツは倒せないのよ。」

リルの言葉を聞いてアイギスは愕然としていた。

「メア......貴方はこの作戦で納得しているのですか?」

アイギスはメアに向き直り聞いた。

「納得してると思うかにゃ?僕だってこんな自殺作戦認めてないにゃ。タツキの命をかけた作戦なんて僕だって嫌にゃ。けどにゃね......それがタツキの覚悟だにゃ!アイギス!お前も覚悟決めるにゃ!!お前の主人はとっくに腹くくってるにゃ!」

メアの言葉にアイギスはついに、沈黙した。


「.........マスター」

ユラユラと樹生の胸にアイギスはすり寄る。

「アイギス......!頼む!」

「...............」

バッと頭を下げる。


「.........嫌です。納得行きません!!」

それでもアイギスは反対し続ける。

「私はマスターを失いたく無いのです!そんな特攻作戦......絶対に認めません!」

行かせるものかと、樹生の胸にすがり付く。アイギスの言っていることは正しい。むしろ他がおかしいとも言えるだろう。だが......アイギスは1つ間違っている。


「アイギス、いつ俺が"死ぬ"何て言った?」

「えっ?」

「俺はこの世界を皆で旅をすると決めたんだ。フウナさんにクウ、シルエルにアーサー、キシー......此処には居ないけど大切な仲間達なんだ。皆に再開出来ずに死ぬなんて、神様達が決めても俺が絶対に許さないよ。だから......俺の事を信じて欲しい。」

樹生の真っ直ぐな眼を見てアイギスはゆっくりと離れる。

「.....................約束です。絶対に死なないで下さい。」

アイギスはそう言うとリルの上でバリスタになる。


「ありがとう!絶対に全員で帰るぞ!と言うことで......」



「盛大な朝御飯にしよう!腹が減っては戦は出来ぬ!だからね笑」

「にゃにゃにゃ!!魚、魚が良いにゃ!」

「私は肉が食べたいわー!牛肉って言うのかしら?アレが良いわ!」

「よっしゃ!待ってな!アイギス!」

「............最高級オイルを所望します。ピカピカにして下さい。」

樹生は嬉しそうにオイルとタオルを持つ。

「当たり前だ。光沢でワダツミのビーム弾き返せるくらい綺麗にしてやる!」


一行はきたる激戦に備えて英気を養うのだった。ボスであるワダツミは逃げもしないし、遠くに移動することもない。その日はゆっくり休み作戦遂行は明日になった。ただ1つ疑問と言うか不安要素がある。それは......"タツキはいったいどうやって囮になるのか"と言う事であった。



「..................はぁぁ」

星空の下、樹生はため息をついていた。

「最近妙にテンションがおかしい気がするんだよなぁ。」

コロコロとミルク飴を舐めながら考える。魔獣は怖いし、殺し殺されの世界には一向に慣れない。肉とか内臓とか血とか…正直見たくないし、もっと緩やかなファンタジーを望んでいた。なのに...

「少しずつ順応してるのかね。こんな特攻作戦思い付く位には覚悟決まり始めてるのかな?」

はははと何処か自嘲気味に笑う。


ガリガリっと噛み砕き飲み込む。

「.........俺は何のためにこの世界に呼ばれたんだろうな。」

所詮はおまけ。今こうしている間も他の人たちは俺TUEEEEE!をしているのだろうか?だとするならば...


「絶対に此処を出ないとな。神様達が言っていた事の真偽も確かめないとだし......何より...」

折れた包丁を眺めながら、当初の目的を思い出す。



「新しい包丁ゲットして皆にもっと美味しいご飯食べさせてあげないとな!」



「サロメ......どうかしら?」

「バッチリかと!もう少し塩があればグッジョブですよ。」

「.........おっ!以外と上手い。」

「メフィス!つまみ食いしてないで、掃除してなさい!」


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