9. 普通そこはピンチなはず?
ふーんあの子、不思議な子ね。
異世界からの召還者……暇潰しくらいにはなるかしら?
ちょっとあんた!そこで何してるの!
あらあら、少し見てるだけよ。
朝ごはんを食べ終えゆっくりしているとフウナさんが声をかけてきた。
「タツキ、この後はどうするのですか?」
う~ん、正直考えてなかったんだよな……
「とりあえずクウが回復したらイルドランへ向かおうかと。漆黒の槍の皆さんにも生きていることを伝えなければなりませんし」
そう、早いこと安否を伝えないとグランさん達に迷惑をかけることになってしまう。それは避けなければいけないだろう。
「そう……」
フウナさんは少し残念そうに言った………
「なら、私達は貴方についていくことにするわ♪」
「………はぁ?」
いやいやなに言ってるんだ
「いや、でもクウもいることですし…難しいのでは?」
「ふふ、それなら問題ないわよ。……クウ、そろそろ起きなさい」
「………?」
ムクッと起き上がると大きなあくびをして、何故か俺の鞄の中に入ってきた。
「???」
「そこが気に入ったようね。さぁタツキ私の背に乗りなさい。」
「……………はぁ。今からここを出るんですね。わかりました。わかりましたから頭をハムッとするのはやめろぉ!」
「ムフフ」
あーもう、髪がぐじょぐじょだよ。
……スン…
「臭い」
「それじゃ出発するわよ。クウ、タツキしっかり捕まっているのよ。」
「う~ん、この世界に来てから話進みすぎじゃない?もうちょっとゆっくりでも………」
「舌噛まないようにね…」
「?」
「………ァァァァァァアアア!!!」
森が……消え……景色……平げん……
「風が気持ちいいわ♪」
「アオン♪」
「速……死ぬ……」
現状フウナさん爆走中
数分で森を走り抜け今は平原を走っていた。
「あら……あれは」
ズザッ
「はぁはぁ……どう……したんですか?」
乗ってただけなのに、死にそうである。
「いい獲物を見つけたわ。」
フウナさんの視線の先にはデカイ鶏がいた。
「鶏?にしてはデカイ……て言うかあれコカトリスじゃないか!」
よく見たら体の後ろに蛇の尻尾が生えてるじゃねぇか!
「いや……あれは止めときましょ。イルドランにも行かなきゃ」
「クケェェェ!!」
「終わりよ」
「············」
「ふふ、コカトリスの肉は美味しいのよ」
「…………はい」
瞬殺、
(まぁそりゃそうか)
俺は鞄の中のクウを撫でながらとりあえずどうするか考えていた。
「?……クゥ…」
この子も大きくなったらあんな感じになるのだろうか……
ついに、異世界旅が始まろうとしています。
皆さん準備はいいですか?
楽しく、美味しく、騒がしい異世界旅の始まり~