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86. B級サメとの遭遇

「もうちょっとで......ああ!もう!」

「大丈夫?」

「くそ!転移に干渉されて上手く出来ない!」

「ウェンディ、落ち着いてちょうだい。焦ってもしょうがないわ......確実に進めましょう。」

「......そうね。アイギスの覚醒も間に合ったわけだし。それにしても......戦女神ちゃんいつの間に神器を送ってたのかしら。」



「タツキ!!無事だったかにゃあ!!」

「メア―!」

一人と一匹は生きて再会出来たことに喜び抱き合う。

「もうダメかと思ったにゃ―!タツキ、無理しすぎだにゃ!!」

ポロポロと涙を流しながらメアがタツキをペシペシと叩く。

「......いやぁ、ははは。無理しすぎだよなぁ...」

「マスターはもう少し、鍛えたほうが良いかと。私を完璧に扱えるほどには。」

アイギスが浮きながらタツキにそう言う。

「にゃにゃ!盾が喋ってるにゃ。キシーちゃんを思い出すにゃね。......タツキ、神器何個目にゃ?」

「1、2、3...かな?」

樹生の何てこともないような言いようにメアは呆れていた。

「......タツキらしいにゃね。」

「やはり......そのマフラーは神器でしたか。」

「ああ...リヴィエ様から貰ったものなんだ。詳しい効果は分からないけど、とりあえず状態異常無効はあると思うよ。」

「......それ以外にも色々付いてそうですけどね。」

アイギスがどこか遠い目をしていた。...目、付いてないんだけどね。

「とにかく皆ありがとう...。お陰で助かったよ。」

「にゃふふ...僕にかかればこのくらい楽勝にゃ!!」

「ええ、マスターの命...このアイギスが守り抜いて見せましょう!!」

新たな仲間を連れ樹生は門を潜るのだった。そして門を潜った先は......


「雲一つ無い真っ青な空!!エメラルドに輝く海!!そして......ヤシの木が1本しかないちっちぇ島ぁぁ!!」

なんと門を潜ると、海に囲まれた小さな...本当に小さい島?にいた。小さな浜辺と反対側には3~4m程の崖があった。どんなもんか...イメージするなら、幼稚園児がお絵かきで表現する南の島...そんな感じである。

「暑いにゃ......」

「こ、これは...なかなか...マスター...」

メアもアイギスもドン引きである。

「何が雲一つ無い青空じゃ!このままじゃ干物になるわ!」

「にゃにゃにゃ...タツキがキャラを忘れて語尾にじゃとかつけ始めたにゃ...」

「マ、マスター!!落ち着いてください!!」

メアは呆れ、アイギスは必死にタツキを落ち着かせようとするが溜まりにたまったタツキのストレスが遂に爆発した。

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「マスタァァー!!」

「なにやってるにゃぁぁ!」

何とそのまま崖から飛び下り海に飛び込んでしまった。

ばっしゃぁぁんっと盛大な水しぶきを上げる。アイギスとメアは恐る恐る覗き見ると暫く上がってこなかったが、少しするとスッキリした顔をした樹生があらわれる。

「あー...スッキリしたぁ。メアも来たらどう?」

「遠慮しとくにゃ。それよりもどうやって戻って来るつもりにゃ?」

「泳いでいくよ。これでも......泳ぎは得意だからね!」

バシャバシャと見事なクロールで浜辺に泳いでいく樹生。

「アイギス?あれ......もしかしてにゃ...」

「そうですね。助けに行きますよ。」

ソレはゆっくりと樹生に近づいている。地味に疲れてきた樹生は気づくことが出来ない。

「タツキー。全力で泳ぐにゃよー!」

「うん?何言って......」

「シャアアアアアア!!」

「ぎゃあああああ!!サメェェ!!...おぁ...足吊った...」

驚き勢い良く足を動かした結果足が吊ってしまった。

「ボゴッ...た、たすけ...」

じたばたと暴れるがどんどん沈んでいく。そして遂に巨大な鮫が樹生を飲み込もうとした瞬間

「せいっ!」

バゴッ!と鈍い音がしたと思うと巨大な鮫が空に向かって吹き飛ぶ。 

「なんだにゃあの鮫...尻尾が触手になってるにゃ...」

遥か彼方上空まで吹き飛ぶ鮫を見ながら、メアが呟く。

暫くすると、大きな水柱を上げてサメは水面に叩きつけられた。腹を上にしてプカプカと浮かんでいる。

「マスター......つかまってください。」

「アイギス......ごめんね。」

ビート版のようにプカプカと浮くアイギスを掴み

すいーっと浜辺に移動していく。

「しかし...変な鮫でしたね。蛸鮫ですかね?」

「さぁ......なんか見たことあるビジュアルしてたなぁ。」

あんなB級な鮫...なかなかお目にかかれないだろうさ。

一応、保管庫に突っ込んでおいた。

「マスター...精神的に参ってるならば言ってください。飛び込んだ先がマーマンの巣だったらどうするつもりだったのですか?」

「本当にゃ...。僕は泳げにゃいから、溺れても助けられないにゃよ?」

「すみませんでした......」

無事に浜辺に戻り暫く説教を受けた樹生だった。


「さてと、今日の昼ご飯はこいつを使うか。」

樹生の目の前には、巨大なB級サメ...もとい蛸鮫がいた。

「尻尾の部分が蛸になってるのかな?......食べてみるか。」

小皿に醤油を垂らして、頂く。

「うん、うん......コリコリしてて、上手いな!」

噛めば噛む程、蛸の旨味が広がる。かなりの歯応えだ。

「蛸の部分は良いとして...問題はこっちだな。」

既に内臓は掻き出しており、頭も落としてある。

「アンモニア臭は...しないな。」

とりあえず3枚に卸す。かなりの大きさだったため、かなり手間取った。

「よし、何とか卸せたな...うん?」

立ち上がり、額の汗を拭った瞬間右手に持つ包丁に違和感を感じた。

「うわ!?まじか...折れちゃってるよ。」

根元からポッキリ折れた包丁は足元に転がっていた。

「無理させ過ぎたな...ありがとう。」

樹生は包丁を保管庫には入れずにサイドバックに入れておいた。

「とりあえず、別のやつを買おうか。」

ホワイトマーケットで包丁を購入し、鮫を卸していく。

暫くして、柵取りされた鮫が並んでいた。

「よし、臭いは......大丈夫だな。」

樹生は油を用意し火にかける。蛸の部分は一口大に切り、醤油、酒、生姜、ニンニク、顆粒和風だしに漬け込んでおく。

鮫肉も同様に漬け込んでおく。次は野菜の準備。パプリカ、ピーマン、ナス、玉ねぎを油でさっと火を通す。


「よし......後は蛸と鮫肉のフライを作って」

油に入れるとジュワ~っと心地よい音が響く。

ふと目をやると、メアがフライを凝視しながらたらたらと涎を流していた。

「もうちょっと待っててね。」

「にゃにゃ...」

フウナさん達もこんな感じだったよな。そんなことを考えながら、仕上げにはいる。揚がったフライと野菜を中華鍋に入れる。

「合わせ黒酢ダレを入れて軽く煮詰める。最後に水溶き片栗粉でとろみをつければ...」

ドンッと食卓に料理が置かれる。

「黒酢酢鮫の完成!召し上がれ。」


「にゃにゃ......熱そうにゃね......ハグッ...ハフハフ...」

メアは熱そうにハフハフさせながらもゴクッと飲み込んだ。

「美味しいにゃ!酸味が効いてて、そこまでくどくないにゃね。それに...この触手はコリコリしてて美味しいにゃし、魚も臭くなくてふわふわしてるにゃ!!」

パクパクと食べるメア。その横ではアイギスが不満そうに見ていた。

「私には...口がありませんから、正直羨ましいです。」

ムスッとしている。

「アイギス、ちょっと来て。」

「?分かりました。」

すいーっと来たアイギスを抱き抱える。海に入ったお陰で、多少は臭いが取れてるがまだ体液臭い。それに海水に浸かったのだから、塩も落としてあげないとな。

「なっ!マ、マスター!そこは...」

「うん?くすぐったかったら言ってな...」

「あっ...ちょ...ふふ.........くふぅ...」

優しく拭いてあげてると、プルプルと震えていた。

「おかわりにゃ!!」

そうこうしていると、メアがお皿をズイッと出してきた。

「了解。ちょっと待っててな。」

「マ、マスター...は、激し......うんっ//」

そんなアイギスに気づかず、メアのおかわりを用意する樹生であった。


「あの鮫......ここら辺で買えるかしら?」

「お嬢様、まさかと思いますが...」

「サロメ、色々と用意しておいて頂戴。」

「.........仰せのままに。」



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