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85. 隠された神器

前書き

「.........見つけた!!」

「本当に!?タツキ君何処にいたの?」

「絶海の覇塔......厄介な所にいるわね。」

「また厄介な......!でも見つけられたなら手は打てるわね。」




「うぉぉぉぁぁぁあ!!頭...かすったぁぁあ!」

嫌な予感がしたため上体を下げると、地竜の噛みつきが頭を掠める。

「う...く、くらいやがれぇ!!」

ぽいっと放った閃光手榴弾が炸裂。地竜の目を焼いた。唸り声を上げながら足を止める地竜

(はぁはぁ...何とか...時間は稼げてるか...)

ちらりとメアを見ると既に魔術を行使し始めていた。どのくらいかかるかはわからないが、今は任せるしかない。

(さて......何処かに逃げてくれれば一番良かったんだけど、甘かったかな?)

ブンブンと頭を降りながら、視力が戻った地竜は再び樹生をロックオンする。

「クガァァァァァァァァォ!!」

「こい!ファフニールから逃げ延びた男を舐めるなよ!!」


一方メアはと言うと...

(タツキ、結構粘ってるにゃね。)

樹生を尻目に巨大なゴリラに走る。

(やっぱりにゃ...こいつ寝てるだけにゃね。好都合にゃけど。)

ピョンと頭に飛び乗ると、メアは詠唱を始める。ユラユラと影がうごめき始め、巨大なゴリラを覆い始めた。

(ざっと3分ってところにゃね。耐えるにゃよ......タツキ。

ちらりと見ると、樹生は地竜と正面から向き合い剣を構えていた。



「うぉぉぉぉぉぉ!!」

逃げ回っていたばかりの樹生が地竜の股ぐらに滑り込む。

「これでも食らえ!」

狙うは足の腱。この手の生き物は機動力さえ奪ってしまえば、後はどうにでもなる。

しかし、そう甘い敵ではなかった。樹生の筋力の問題か、それとも地竜の皮膚が硬かったからか、傷は浅く腱を傷つけることは出来なかった。

(浅いか!!)

地竜から距離を取るとそのまま樹生は森の中へ逃げるように走っていった。

「ガァァァァァァァ!!」

そんな樹生を地竜は咆哮をあげながら追いかけていく。

(頼むぞ......レオガー!)

樹生が握りしめている剣。名を幻刀レオガー。かつて大陸を支配したと言われる伝説の獅子レオガーの素材をつかって作られた刀である。死してもその威光は残り、敵に対し強い恐怖心を与える。だからゴブリン達はこの刀を持った樹生から逃げ出したのだ。

(まぁ...地竜レベルになると、ちょっと警戒させるぐらいなんだけどね。)

だがそれで充分だった。事実地竜は追ってきてはいるが一定の距離を保っていた。

(とにかくあの場から引き離そう。メア...頼んだぞ。)

どんどん地竜は門から離れていた。しかし樹生の思いとは裏腹に地竜はある一定の場所でピタリと止まった。

(なんだ?...良くわからないけど好機だな!)

一気に距離を開けようと速度を上げようとした瞬間、何かが、突っかかり樹生は転んでしまった。

「いっっ...な、何が...」

後ろを振り替えるが特に転びそうな物は無い。じゃあ何に突っかかたのか...

「ガァァァァァァァ!!」

今までじっと立ち止まったままだった地竜がいきなり突撃してきた。

「く、くそっ!」

レオガーを構えるが地竜は止まらない。ゆっくりと地竜のアギトが近づいてくる。びっしりと生え揃った牙が樹生を引き裂かんと近づいてくる。


(終わったな......皆...ごめん...)

もはや諦め目を閉じた樹生。



だが......やはり彼は運がいい。樹生の持つさまざまな武器防具。その中で唯一の神器…...宝珠アイギス、それが埋め込まれていたのが幻刀レオガーであったのだ。


「全く......先輩の心配性には困らされてばかりですよ。まぁ...おかげで"特異点"を救う事が出来ましたが。」

「ガ、ガ、...」


レオガーが巨大な盾に変形しており、地竜の牙から樹生を守っていたのだ。


「宝珠アイギス...転じて神盾アイギス!これよりマスターを守護します。まずは......」

ふわりと地竜から離れると...


ズガァァン!!

「アイギスバッシュ!!」

「ギィィ!!」

地竜の顔面に超高速で突撃し、吹き飛ばす。

「次は......貴様だ!」

アイギスはそう叫ぶと地面に向かって突撃!陥没した地面のしたから苦しそうに木の根がうねうねと延び出す。


「な、なんだコイツら!」

「アルラウネの触手です。ここら辺一帯はアルラウネの縄張りなのでしょう。地竜も警戒していたようですが......貴方が罠に掛かったことで痺れを切らしたのでしょう。」


「グルルルルル...」

アイギスに吹き飛ばされたことで地竜は狼狽えながらも、樹生を睨み付けていた。

「不快です。トカゲごときが...私を傷つけられるとも?さあ!マスター!私を構えなさい!!......マスター?」

アイギスが樹生に向き直ると

「............助けてもらってもいいですか?」

「いただきまーーす!!」

既に接近していたアルラウネに捕まり今まさにぱくりと行かれる所だった。

「.........マスターァァァ!!!!」

物凄い勢いですっ飛んできたアイギスがアルラウネの触手を切り裂き樹生を救い出した。

樹生はドサッと地面に情けなく落ちてしまった。さっきまでの勇ましい姿は何処に行ったのだろうか?

「この!...この...!この野郎!!よくも......!!マスターをぉぉ!!!」

ズカンズカンとアルラウネを滅多打ちにしているアイギスが目に入る。最初はアルラウネも笑いながら対抗していたが、徐々に押されその顔には恐怖がうかがえる。

「や、やめ.........」

「死ねぇぇぇぇ!」

グチャッ!と緑色の体液が飛び散りアルラウネは霧散した。

「う、おぇぇぇ...」

「マスター!大丈夫ですか!?まさかアルラウネの体液が口に入りましたか?おのれ......汚ならしい魔物風情が...」

オロロロと虹色を吐き出す樹生。違うんです、スプラッタがこよなく苦手なんです...

緑色の体液にまみれ死臭を放ちながら近づいてくるアイギス。サーっと顔色が悪くなる樹生を見てさらに怒りを増幅させていた。

「おのれ......マスターを傷つけようとしただけでなく、こんな辱しめを受けさせるなど......許さんぞ!!クソトカゲ―!!」

「ガァァァァァァァ!!」

ズカンドカンと滅多打ち。下手に殺されるよりよっぽど辛いだろうなぁ...

暫く後...全面モザイク入りが確定した地竜だった何か。


「ふぅ...スッキリしました!あっ、マスター?ご無事ですか?」

「あ、ああ...大丈夫だよ?」

「そうですか。それでは行きましょう。"向こう"も決着がついたようですし。」

スッと樹生の背中に乗るアイギス。

「さぁ...早く脱出しましょうか。」



その後メアと合流し扉の前に集まるのだった。


「.........まぁ、いいでしょう。」

「お嬢様?不服そうですが、彼...相当頑張ったと思いますよ?」

「.........そうね」

「.........異世界人君、頑張ってね。」


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