8.朝の定番
グスッ……スッ……ずびっ……
よがっだよぉぉ……
…………(彼女、何んで泣いてるのかしら?)
「う~ん……………」
腹の上に謎の重量を感じ目が覚めると……
「……はは、よく寝てるな」
エンシェントウルフの子供が腹の上ですやすやと眠っていた。
「目が覚めたのね」
「ええ、おかげさまでよく眠れました。」
エンシェントウルフが寄り添いながらそう言った。
「重くはない?」
「はい。軽すぎるくらいですよ」
何とか急場はしのいだが、まだまだガリガリである。
「………今って夜ですか?」
「そうね……もう少しで夜明けって所かしら」
朝か
「朝ごはん作りますよ」
俺がそう言うとエンシェントウルフは目をパチパチとさせた。
「あらあら……それじゃお願いしようかしら」
「わかりました。それじゃエンシェントウルフさんは……」
俺が名前を呼ぶとエンシェントウルフはあることを提案した。
「その言い方、何か嫌ねぇ……そうだわ、私達に名前をつけてくださらない?」
「ええ!俺がですか……」
まさか伝説と呼ばれる存在に名前をつけることになるとは……
(そもそもこの見た目だと九尾なんだよな……)
「フウナさん………とクウちゃんでどうでしょうか?」
落ち着いた女の人のイメージと空のように大きく育ってほしいという願いをこめて空=クウ
「……フウナ…フウナ…」
クウは寝てるが、フウナさんは名前を何度も呟いていた。
「いい名前ね。落ち着いた雰囲気が気に入ったわ!」
そっとフウナさんは寄り添って顔をペロッと舐められた。
「くすぐったいですよ」
「うふふ、いいじゃない♪」
………しばらく上機嫌のフウナさんに離して貰えなかった。
「クァー……」
「あら、お目覚めからしら……クウ」
「?」
コテンッと首をかしげるクウ。まだ言葉の意味がわからないのだろう。
だが、鼻をくすぐるいい匂いには強い反応を見せた。
「うん?…あ!クウ!起きたのか。おはよう」
頭を軽く撫でてやると気持ち良さそうに目を細めていた。
「待ってろよ。もうすぐ出来るからな」
俺はそう言うと、パン粥と軽い食事の仕上げを始めた。
パン粥は暖めながら、塩胡椒で味を整える。
俺たちの分は厚めにカットしたパンにベーコンと目玉焼き
(ベーコンと卵はホワイトマーケットで購入したもの)
「朝ごはんはベーコンエッグに限るな」
ベーコンの香ばしい香りがフワッと広がる。
焼き上がったベーコンと半熟の卵を焼きたてのパンに乗せ
仕上げに砕いた黒胡椒を散らせば………
「ベーコンエッグパンの完成!!」
「あらあら私の分は大きいわね」
フウナさんはベーコンエッグパンを見つめながらそう言う。それもそうで俺の五倍はある量があった。
「フウナさんは体が大きいですし、なんだかんだ痩せてますよね」
そう、クウがかなり酷いため目がいきやすいがフウナさんもだいぶ痩せていた。
「娘が心配だったのよ……。喉にご飯なんて通らないわよ」
フウナさんはそう言うとスンスンと料理の匂いを嗅ぎ出した。
「鼻をつく匂いがするわね……」
おそらく黒胡椒のことだろう。
「それは黒胡椒ですね。まぁ食べて見てください」
俺はそう言うとベーコンエッグパンにかぶりつく。
「う~ん……たまらん」
とろ~とした半熟の黄身とカリカリのベーコンが絡み合い、パンが溢れ出した黄身と油を逃がさないとばかりに吸って最高の朝食となっていた。
「どれ………これは……!!」
フウナさんは一口でパン一枚分を食べていた。その口の回りには黄身や油がついていたが本人は気にしていないようでがつがつと食べていた。
「口にあって良かったです。クウもゆっくり食べなよ。詰まらせたら大変だからね。」
クウもパン粥を食べていた。
昨日とは違い、食べ方に焦りはなく落ち着いた容姿だった。
(う~ん……色々試した結果のパン粥。何で他じゃダメだったんだろう)
俺は考えを巡らせたが明確な答えを得ることはできなかった。
読んでいただきありがとうございました。
体調が回復してよかったです。
このまま完全回復して欲しいです。
……それと、なにやら新しい人が前書きに登場したようですね。