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79. 黒猫

「よし.........成功!」

「お嬢様......座標間違えてますよ。」

「えっ?そんなこと......はっ!?」



「な、な、な、何者にぁぁ!?」

「や、やぁ!僕悪い人間じゃないよ。」

「嘘付くなにゃ!さっきもそんこと言ってたスライムに襲われたにゃ!」

背中の毛を逆立てやんのかポーズで樹生を威嚇するのは可愛らしい黒猫だった。右目が青、左目が金色のオッドアイ。尻尾は二股に別れていた。

「しょ、証明するにゃ!お前が無害だと言うことをにゃ!」

樹生の腰のキシーを睨みながら黒猫は叫ぶ。

「とりあえずキシーはここに...」

キシーを掴み岩に立て掛ける。空気を読んで騒ぎはしなかったがおもいきり睨みつかれているのがわかる。後で埋め合わせをしなければ。

「.........後はこれだな!」

樹生の手には3本のチュー○が握られていた。信頼は胃袋から。

「スンスン.........ペロッ...」

ひとなめしたかと思うと樹生の手をガッと掴み一心不乱に舐め始めた。どうやらお腹も減っていたもよう。ウニャウニャ言いながら舐め続ける黒猫の目には心なしか涙が浮かんでいるように見えた。



「助かったにゃぁぁ。もう何日も飲まず食わずで......餓死寸前だったにぁぁ...」

「それは......中々悲惨だったね。所で......ここは何処か分かる?」

樹生の言葉に黒猫は目を伏せてしまった。

「何処かはわからにゃいけど......出口ならわかるにゃ」

黒猫が指す方向には巨大な扉がある。まぁお察しの通りボスっぽいやつが鎮座していた。

(う~ん......とりあえずフウナさん達は大丈夫だろう。ルビアとリーシェルさんも目的地はカンドラだし。それよりも俺の方が問題だな。)

おそらくここはダンジョンのような場所だろう。事実後ろを振り返ると下に向かう巨大な階段がある。

「君は下から来たの?」

「んにゃ、気づいたらここにいたにゃ。下から上がってきたんにゃけど......アイツがいたから立ち往生してたにゃ。」

ペロペロと手を舐める黒猫。本当に可愛らしい!小動物好き、特に猫好きの樹生からしたら堪らない!

「アイツはラグナログドラゴン......神の時代から生きる化物にゃ......。」

「ふ、ふーん......そうか...」

「..........お前は貴重な食料を分けてくれたから......撫でるくらいは......んにゃ!!」

ガバッと抱き寄せると首に顔を埋める。

「スーハー!スーハー!!」

「な、な、何するにゃ!!」

ズバズバッと顔を引っ掛かれる。

「フーフー!!イカれてるのかにゃ!?何なんにゃ!?お前!!」

黒猫の言葉にスッと立ち上がる樹生。

「俺は九条樹生!まぁ......事情があってここにいるんだけど、よろしくね!」

「何がよろしくよ......はぁ......。黒猫ちゃん?ポンコツマスターがごめんなさいね。」

キシーがカチャカチャと動きながらそう言う。

「しゃべる剣は珍しいにゃ。よろしくにゃ。」

「お、俺は?」

「...............フイッ」

ガーンっと樹生は崩れ落ちた。実家で飼っていた黒猫に似ていたため嬉しくなってついやってしまった!!クロは吸われるの好きだったからな......

「全く......本っ当にバカなんだから...」

「うぅ......ごめんよぉ...」

ガチ泣きする樹生を見ながらドン引きする黒猫であったが......別に嫌なわけではなかった。

「べ、べつに嫌いになったわけじゃないにゃ。ちょっと......ビックリしただけにゃしただけにゃ。」

「ほ、本当か!?良かったぁぁ...」

安堵で胸を撫で下ろす樹生。この男危機感と言うものが無いのか?少なくとも地上より危険な場所だと言うのに...

「とにかく僕からお前達に聞きたいことは一つだけにゃ!」

ビシッとラグナログドラゴンを指して黒猫は言った。

「アイツの首は落とせるかにゃ?」

「無理!」「余裕よ笑」


「「..................」」


「無理だよアレは。ラグナログドラゴンって......物騒すぎるよ。」

「何言ってるのよ!!ラグナログドラゴンって言ったら最上級の武具素材じゃない。アイツの皮剥いでまとえば雑魚マスターでもいくらかマシになるでしょう?」

「うぐっ...確かに雑魚だけど!怖いんだよ!皆が居たって怖いものは怖いんだよ!」

「これだから.........このヘッポコは!」

ギリギリとキシーから音がなる。人間なら鬼の形相で歯ぎしりしているだろう。睨みあう2人を見ながら黒猫はため息をついた。

「落ち着くにゃ2人とも......。僕が言ったのは首を落とせるかどうかで戦いはしないにゃ。」


「「?」」


「まぁ......こう言うことにゃね。」

黒猫はそう言うとラグナログドラゴンを見つめる。

「@%$@&%@%!$&#」

すると言葉に表せない発音をした。その瞬間ラグナログドラゴンは目を瞑り眠りについてしまった。

「さっ、行くにゃよ」

ポカンと見る樹生とキシーを置いてスタスタと歩く。

「早く来るにゃよ!そこ危ないにゃよ」

黒猫がそう言った瞬間、

「グルァァァァァァァァア!!!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

「んにゃぁぁぁぁぁぁ!!」

真っ赤な巨大ワニが大口を開けて迫ってくる。黒猫と樹生は叫び声をあげる。いや、何で君も!?もしかして以外と臆病!?

「マスター!」

キシーが叫んだ瞬間体がキシーを引き抜く。

「しっ!」

横にワニを真っ二つ。綺麗に上顎と下顎が別れるのを見て樹生のグロッキーゲージが上がった。

「ふ、2人とも急いで来るにゃ!」


「「「「「「「「「ガァァァァァ!」」」」」」」」」


一斉に魔物達が押し寄せる。今までどこにいたのだろうか?


視界を埋め尽くす数に樹生は体が動かなくなってしまった。

「流石にこの数は......マスター逃げるわよ!」

「ご、ごめん......腰が抜けて...」

「ほ......本っっっ当に.........!!」

剣の切っ先に魔力が集まる。


「消し飛びなさい!!ラグナログテンペスト!!」


ズガガガガガガっと地面を消し飛ばしなが魔物を一網打尽に!反動で樹生は吹き飛ばされラグナログドラゴンの元まで吹き飛ぶ。


「ふん!」

樹生......もといキシーが飛び上がる。

「ストームファング!!」

風の牙による斬撃によりラグナログドラゴンの首は胴体と別れた。


「す、すごいにゃ!一撃でラグナログドラゴンの首を落としたにゃ!!」

立ち上がりパチパチと手を叩く黒猫。その後ろではバタバタと魔獣達が倒れていた。どうやら眠っているもよう。

「あんた......ただの猫ではないと思ってたけど、まさかナイトメアキャットかしら?」

「僕の事知ってるのかにゃ?嬉しいにゃ。」

ニコニコと笑うナイトメアキャットは尻尾を振って倒れている樹生の元へ来る。

「んにゃ?ずいぶんとぼろぼろにゃね。」

「ははは......キシーに体貸すと毎回ね。」

「私のせいにしないでちょうだい。あんたが弱っちいのが悪いんでしょう。」

そうですね......うん?

「なんか体が光ってる?」

「この感じ......ウェンディ様ね。強制送還ってとこかしら?」

樹生とキシーの言葉にナイトメアキャットは納得したように頷く。

「なるほどにゃ.....またいつかにゃ」

「うん、またいつか。」

そして目映い光が樹生達を包み込み......



「「あれ?」」

キシーだけが送還されていた。




「よし!何とか間に合ったわね!」

「.........あら?何でタツキ君はまだあそこにいるのかしら?」

「あれ?ミスった?」


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