表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/104

64. 覇者

「やっと………………でれたにゃー!!!!」


「………………………ここどこにゃ?」


見渡す限りの岩山と活火山。下には荒廃した平地が広がっていた。



「ちなみにリーシェルさんならこの程度秒殺ですよ?」

ビッと剣についた血を払う。

後ろでは切り刻まれたオークが地に伏せていた。

リーシェルさんと言う人もかなりの腕の持ち主なようだ。というかルビアさんの先輩?なのだろうか。


「…………ふぅ。先に進みましょう。引き返すことは………難しそうです。」

後ろを振り返りながらルビアさんはそう言う。樹生にはよくわからなかったが彼女が言うのだから理由があるのだろう。


「あ!ちょっと待って。」

樹生はポケットから銀色の包み紙を取り出す。

「はいこれ。少しは気分転換になれば良いけど……」

「ありがとうございます。………………何ですか?この茶色いものは。…………甘い匂いがしますが………」


銀色の包み紙を開け中からチョコレートを取り出すとルビアさんはスンスンと匂いを嗅いでいる。


「甘いお菓子だよ。…………うん、おいしい!」

口の中に甘味と苦味が絶妙にマッチした味わいが広がる。久しぶりの甘味に頬が緩む。


「……………………パクっ。」

えい!っと口に放り込むルビアさん。


「!!!!!!!!!!!!」

目をカッ!と見開き悶絶していた。


「こ、これは…………駄目です!この味は堕ちてしまいます。異端の味!でも…………」

チョコレートを睨み付けながらぶつぶつと呟くルビアさん。




「タツキさん………貴方は何も見ていませんね?」

とてもいい笑顔でにじりよってくるルビアさん。その目は笑っていなかった。

「え、ええ…………神に誓って?見てませんよ。」

樹生がそう言うとニコッと笑い…………


「では!おかわりを所望します!」

そこには先ほどまでの闇堕ち一歩手前のルビアさんは居なくなっており、無邪気な子供のように手を差し出していた。





~sideフウナ~


「………………私思ったんだけどね。タツキって実は極度の悪運もちだったりするのかしら?」

シルエルがそういいながら、樹生の痕跡を探す。どうやらだいぶ離れてしまったようで人間の気配は感じられなかった。

「どうかしらね……………。でも何らかのスキルか職業の影響はあると思うわね。」

フウナさんもスンスンと回りの匂いを嗅いでいる。


「ワフゥ………(違うなぁ………」

クウも必死に痕跡を探しているが…………成果は無いようだ。

だがフウナさんとシルエルは樹生とは別の知っている痕跡を別に見つけていた。


「この魔力跡………あの時の二人組ね。」

「ええ、匂いも全く一緒ね。でもタツキなら………」


………………………心配ね。


「とりあえずこの痕跡を追いましょう。どんどん先に進んでいるようだし。」

洞窟の奥へと続く二人の痕跡を追うフウナさん達。

一方樹生とルビアはそんなことは露知らず、お茶を飲んで落ち着いている最中だった。


「…………………あれ痕跡が別れて」




「ギァァアアァァァァァィィアァァァァア!!!!」



ザシュッ    ボト…………



「………………あーうるさいわね。」

耳を押さえながらシルエルが巨大なコウモリの死体を見る。こいつの名前はスニクバン、獲物が至近距離まで近づくまでじっと待ち射程範囲に入った瞬間に爆音を放ち相手を失神させる。本来なら群れる魔獣であり一匹でいるのは珍しい。


「シルエル、警戒を。この先から物凄い死臭がするわ。」

フウナさんはそう言う。もちろんシルエルも感じていたが…‥…それよりも天秤剣の気配が消えたことが気がかりだった。


「ウゥゥゥゥゥ……………」

クウが何かを威嚇し始める。普段余裕なクウが本気で警戒していた。




「カロロロロロロォォ…………」

奥から巨大な化け物が出てくる。

全身を鎧のような鱗で多い、手足の筋肉は異常に発達していた。特筆すべきは2本の首と単眼である。

名をクロデビアラ。悪魔の二対とも呼ばれるこいつは洞窟内における覇者である。

だが、目の前のクロデビアラはかなり深い傷を追っているようだった。


「……………………手負いね。でも何でこんなやつがここにいるのかしら?」

シルエルの疑問もその通りである。なぜならシルエル達が入るところはまだ上層であり、このレベルの魔獣が出てくるはずがない。


「明らかな異常………としか言いようが無いわね。」


「グルルルルッ…………!!」

クロデビアラはクウに迫った。確かにこの中では一番弱くまだ子供だと言うことは一目見れば分かる。ただひたすらに何かから逃げていた?クロデビアラは正面突破を結構した。

結果………



「カ、カハッ……………………」


口から黒い煙を吐き出しながら絶命することになった。


「ワフッ!(舐めるなよ!)」


いくら洞窟内の覇者であるとは言え満身創痍でクウに挑んだのは運が悪かったとしか言えない。……………絶好調であったとしてもこの面子に出くわした時点で終わりなわけだが。


「うん?……………フウナ!ちょっと来て!」

クロデビアラが出てきた所を指差す。そこにはおびただしい数の死体が転がっていた。


「この洞窟に入った冒険者達ね。装備からして……………勝てないわね。ここにタツキがいなくてよかったわ。」

フウナさんは冒険者達の死体を見ながらあることに気がついた。

「…………………………シルエル、クウ先を急ぐわよ。このダンジョン何かがおかしいわ。」

そう言うと走り出すフウナさん達。一体何を見たと言うのだろうか?









洞窟探索もそろそろ終盤に向かう。一体この先には何が待つのだろうか?そしてリーシェルの行方は?


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ