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62. 蟹


「にゃぁあぁぁ!!いい加減にしろにゃ!うっとうしいにゃ!!」

「クガァアァァァァアァァァァ」

「もうどうなっても知らないにゃ!! 眠れにゃ!!」




結局目標を達成し帰路につこうとした所で樹生はある疑問が浮かんだ。

「そう言えばフウナさん、何か妙に楽しそうにしてたけど………それっぽいことあったっけ?」

樹生生が集めた純正鉱石を転送バックパックに積めながらそう言うと、フウナさんは少し残念そうにした後こう言った。


「実はこのダンジョンにはジュエルクラブって言う蟹がいるはずなんだけど………見つからなかったわね。」

どうやらお目当ては蟹だったようだ。

「あー!そう言われれば見当たらないわね。あの美味しい蟹。」

どうやらシルエルも知っているようである。グルメな二人がそう言うのだから余程美味しいのだろう。そのジュエルクラブと言う蟹は。

「う~ん………少し探して見ようか?その蟹。」

樹生の提案にフウナさんとシルエル、クウまでもが目を見開いて驚いていた。

「な、なんだよ。変な事言った?」

「いえ、貴方なら却下すると思ったらから………」

「そうそう!絶対に………すぐ帰るよ!こんなところ危ないよ!…………とか言うと思ってたから」

シルエルは樹生の声を真似しながら言う。若干似てた部分にイラッとした。

「ワフゥ……?(大丈夫……?)」

クウも心配そうに鳴いていた。

「……………いや、俺も蟹食べてみたいんだよ。………結構好きだし。」

若干顔を赤らめながら樹生はそう言った。確かにいつもならさっさとおさらばしていたところだろう。事実今もかなり怖いが…………


(食欲がそれを上回ったなんて…………言えるわけないよ。)



「…………………ふふ、それじゃあ探しにいきましょうか。」

「そうね。素材も向こうに転送したし………今日はカニパーティーよ!」

「ワフッ(カニ!)」

全員ノリノリだった。クウに至ってはカニを食べたことが無いはずだが…………。


「まぁいいか。とりあえずカニなら…………」

ホワイトマーケットをポチポチ………。

結構な材料を購入。それと鍋にカニ専用のスプーン等々。


「タツキー!!早くいくわよ!」

シルエルが手を振っていた。少し距離が離れてしまっていたため走り出す。


「今いくよー!」 カチッ


「うん?今なんか…………」 パカッ


不穏な音がしたかと思うと、足元がいきなり開いた。いわゆる落とし穴と言う奴であろう。つまりトラップに引っ掛かったと言うわけで……………


「またかよー!!!うゎぁぁぁあぁあ!!」




フウナさん達がきずくころには既に樹生の姿は無く………


「「「!!!!」」」

カニどころでは無くなってしまったフウナさん達であった。





ワシャワシャ………ワシャワシャ………


「う、うぅ…………何の音だ?」

固くて細いものが無数にうごめくような…………そう、まるで蟹の大群の上にいるような!!


「か、カニ!!」

意識がはっきりしてくると自信が輝く宝石………否!輝くカニの上にいることがわかった。

「俺の体重支えてるのか?一体どんだけいるんだ?」

ワシャワシャとせわしなく動くカニ達。

「…………………せっかくだし、少しだけ捕ってくか。」

樹生は聖剣を取り出し構える。

「せい。」

軽く振ると目の前にいたジュエルクラブが吹き飛ぶ。壁や天井に激突しそのまま動かなくなった。


「おっとと………危ねぇ……。よいしょ。」

半分くらいが吹き飛んだことでカニ達がバランスを崩し、足場が不安定になるが何とか飛び降りることができた。後は保管庫に入れていくだけである。


「大量♪大量♪………あっ、こいつはまだ生きてるのか。」

失神している個体は保管庫に入れることが出来ない。そうこうしながら集め終えた時には100匹以上は捕まえていた。

「フウナさん達もこれくらいあれば喜ぶよな。」

鼻歌混じりに蟹の床を降りると目の前に道がある。真っ暗で一寸先も見えない。

「………………ここから先には月光石は無いのかな?」

上を見上げると、巨大な月光石が光輝いていた。どうやらここはジュエルクラブの巣だったようだ。壁に無数に穴が空いておりおそらく蟹達の移動通路なのだろう。


「……………あの時と同じだ。とにかく上を目指そう。」

マフラーを巻き直し、腰に手を当て聖剣を確認する。

問題は………多分無い!!

樹生は深呼吸をすると月光石のランタンを掲げ歩き出した。



「………………………………臭」

一時間程歩いただろうか?魔物とはあうこと無く安全に進めていた………………。


「………………俺以外にも誰かいるのか?」

樹生は屈むと半分に切られたゴブリンの死体を見る。明からに"武器"で殺されている。もしフウナさんやシルエルがやっていたら跡形もなく吹き飛んでいる。それに…………


「妙に手慣れてるんだよなぁ………………オェ……」

後ろ前も魔物の、死骸、死骸、死骸。魔法と剣の両方で殺されていた。

「流石に気分が悪くなってきたな………うぅ………」


その場を離れようとした所奥の方から人の声が聞こえてくる。どうやら誰かを探しているようで人の名前を叫んでいる。



そして樹生は声の人物に接触することを決め…………

現在殺されそうになっていた。



「ちょ、ちょっとなにするんですか!?………危な!俺でなきゃ死んでますよ!?」

無数の破壊痕を指差し樹生は驚愕していた。だが樹生以上に驚愕しているのは目の前の少女だった。


「はぁ、はぁ、何で………何で死なないのよ!」

無数に放たれた上級魔法の数々。これだけ打ち込まれればドラゴンでさえ殺せると言うのに…………!!


「ちょっと落ち着いて…………はい!深呼吸~………

うゎあ!!」

「バカにするな!!この異端者め!」


見るからに少々は限界そうだった。てに持っている天秤剣も血まみれになっており道中の死骸は彼女によるものだろう。その上上級魔法の連発、並みの魔術師ならすでに倒れていてもおかしくない。


「はぁ…………はぁ………………これで………終わり!!」


少女が天秤剣を構えると少女を中心として巨大な光の波が押し寄せる。巨大な洞窟の中にキレイな円を作り出したその技をもってしても樹生に傷を負わせることは出来なかった。


「化け物…………め………………」

ドサッ

ついに魔力を使い果たし倒れた少女。顔は真っ青になり魔力欠乏症になっていた。


「あの………………大丈夫………じゃないなこれ。」

樹生はおもむろに薬液が入ったビンを取り出しそれを飲ました。

すると真っ青だった顔に赤身が戻り、呼吸も正常に戻った。だが反動からだろう、そのまま寝てしまった。


「…………………寝たまま一人ってのも危ないしなぁ。聞きたいことも山ほどあるし………」

樹生は周囲の安全を確認し彼女に毛布をかけると、おもむろに蟹を取り出し鍋を作り始めた。

何だかんだ蟹を食べたかった樹生であった。








ジュエルクラブ………………美味しいんですかねぇ。まぁ自分蟹アレルギーで食べられないんですけどね笑

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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