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始めてのお説教

ニャァァァァァ…………逃げきったにゃぁ。


うぅ…………早く上に行かないと………まだ死にたくないにゃぁ!!





「……………………ダンジョン内なのに妙に明るいな。」

樹生が周りを見渡しながらそう言うと、シルエルが小さな石を持ってきた。。

「月光石っていう石なのよ。そこらじゅうにあって貴重って訳じゃないんだけどね。」

どうやら魔力を吸収した石があのように青白く光り、月光のように見えるからその名がついたようだ。

「キレイな石だな。幾つか採ってもても大丈夫?」

フウナさんに聞くと、コクりと頷く。

「よし、そしたら…………あった!」

ホワイトマーケットでピックハンマーと土嚢袋を購入。フウナさんの背から下りると向かう。


「ほぉー………近くで見ると水色に近い色なのか。」

ピックハンマーを振り下ろし削っていく。削れた石もしばらくは光っているようだ。なら…………


カキン………カキン………



「………よし、採れた!」

拳だいの大きさの月光石。これをキャンプ用のランタンの中に入れる。


「皆、待たせてごめんね。」

走りながらフウナさんの背に飛び乗る。

「あら、タツキそれは?」

フウナさんが月光石が入ったランタンを見ながら言う。

タツキはどや顔が決めながら説明した。


「ダンジョンの中ですぐに光源が手に入る訳じゃないだろう?いくら皆が入るからって何があるか分からないし、出来ることはしとかないとね。」

「でもさ、採掘した月光石ってすぐ消えちゃうわよ?魔力の供給はどうするの?」

ランタンを眺めながらシルエルがそう言う。もちろん対策済みである。


「実はランタンの中にあの指輪を入れているんだ。」

「あ!本当だ。ドラゴンゾンビから採ったものよね。」

「ワフッ(あの時の)」


そう、クウが見つけてきてシルエルが解呪したあの指輪。シリラさんに見て貰ったところ微力ながら魔力を放出し続けているという。その特性を生かして供給源として利用することにした。

…………だって、それ以外はただの指輪らしいからな。


「……………本当何であんな化け物から、こんな普通なものが?」

ドラゴンゾンビとの戦闘を思い出す。




「…………………一撃で沈んでたわ。」



特に思い出す事は無かったもよう。



「さぁ、お遊びはここまでよ。」

フウナさんが洞窟の奥を見る。その先には暗闇が広がっており無数の光る"眼"がこちらを見つめていた。


「ハルルルルルルル………………」

「ギィッ!ギィッ!、ギャギャギャ!!」


低い唸り声と不快になる笑い声が聞こえてくる。

のそのそと奥から出てきたのはフォレストウルフに乗ったゴブリンであった。


「あれはゴブリンライダーね。ちょうど狩りの時間だったのかしら?」

シルエルによるとゴブリンは洞窟やダンジョンの中に巣を作ることがあるという。人目につかない場所で増殖を繰り返すうちに知能が高い個体が生まれウルフ等の魔物を調教し、戦力を増やしていくそうだ。


「フウナ、こいつらは私が殺るわ。」

シルエルが手を前に出しながらそう言う。何か機嫌悪い?

「さっきから、変な視線感じると思ってたら…………あいつら私にも欲情するのね。………鳥肌ものよ。」

かなり引きつった顔をしていた。


「「「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!」」」

ゲタゲタと涎を撒き散らしながら笑うゴブリン。おそらくシルエルの表情を恐怖と認識したのだろう。


「はぁ………ウザイ!!」

ヒュッと風がゴブリン達を撫でる。


「ギャギャ??………ギィ、ギャ」

暫くお互いに体を確認していたゴブリン達が、ずるっとバラバラになった。もちろん下のフォレストウルフもである。


「………………ふぅ」

シルエルはそう言うと樹生の膝の上に乗った。


「休憩、休憩~。タツキ、飲み物頂戴!」

「まぁ………倒してくれたからね。」

ブドウジュースを渡すと樹生に寄っ掛かりながらコクコクとジュースを飲む。

何故か頭の上にクウが居座りそのまま寝てしまった。流石に危機感が無いのではと不安になる樹生であった。


「タツキ、何か………ふわぁ………甘いものが食べたいわ♪」

「いや、危機感!?」

声に出てしまった樹生であった。


そんな感じでだいぶスローペースで進んでいたタツキ達であったが油断大敵、その恐怖は背後から迫って………


「はい、終わり。純正鉱石の採取任せたわよ。」

後ろから音もなく迫っていたクリスタルマウスが数百匹………フウナさんに瞬殺された。


「…………………ここはホラー展開では?」

「何の事かしら?」

キョトンとするフウナさん。

彼女がいればどんなホラーも一瞬でシュールなコメディに早変わり。

「……………とりあえず、採掘しちゃうか。」

樹生はクリスタルマウスの背中にびっしりと生えた鉱石を眺める。純正鉱石もあるが他にもダイヤモンドやルビー、サファイヤやアメジストまで。多種多様な宝石が生えていた。

「すごいなぁ…………これだけあれば一生遊んで暮らせるんじゃないか?」

両手から溢れてもまだまだ救える宝石の山。大量のそれに樹生は魅力されつつあった。

「ワフッ!!(違う!!)」

クウがテシテシと樹生の顔を叩く。

テシテシ…………

「……………………………」

ビシビシ…………

「……………………………」



バシバシ!!

「はっ!………俺は一体。」

両手の宝石を見る。確かにすごい光景だか…………さっき程の魅力は感じない。一体何が………


「………………タツキ、女神様から貰ったマフラーあるでしょ?少し見せてもらっていいかしら?」

フウナさんに言われたため保管庫から取り出す。

「さっきまでちゃんと着けてたのに………どうして外したの?」

フウナさんはマフラーを見ながらそう言う。その口調は優しいものだったが…………どこか尖っているものを感じた。


「……………ごめん。クセみたいなものなんだ。」

昔から腕時計やネックレス、マフラーにネックウォーマー等……不快と言うわけではないが何故か無意識にバックにしまってしまうことがあった。自分でも治そうと意識しているのだが…‥‥


「…………なら仕方ないとは言いきれないのよ。貴方は普通の人間なんだから。転んで頭を打っただけで死ぬ可能性があるぐらいなんだから。…………せめて普通のバックにしまっておきなさい。………………心配なのよ。」

怒りながらシュンとなってしまったフウナさん。


「ごめん。気を付けるよ。それからありがとうね。怒ってくれて。」

「ふふ、分かってくれればいいわ。」

気まずい空気が柔らかくなった所でフウナさんが真面目な話を始めた。

「改めてそのマフラーを見てみたのだけど………とんでもないわよ。」

樹生が握っているマフラーを指しながら驚きの事を言った。


「全部を読み取るのは難しかったのだけど………見えた効果は

完全魔術耐性、完全呪術耐性、完全精神異常耐性、完全干渉耐性………‥他にも幾つかあるんだけど、もうおかしいわよ。」

フウナさんが苦笑いをしていた。俺は引きつった笑いしか出来なかった。これを着ていれば物理以外の全てに…………いや、干渉に耐性がある時点で無敵か!?


「……………とにかく今貴方は最強の聖剣とこのマフラーを持っているのよ。絶対に手放さないことね。」


「……………はい」

リヴィエ様………痴女神とか言ってすみませんでした。




「………………何が痴女神よ。」

「…………誰が………もぐもぐ……駄目神……もぐもぐ……よ。」

「……………あんたの格好、痴女よ?」

「……………寝っ転がりながらお菓子食べるダメ神にいわれたくないわ。」

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