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59. 純正クリスタル魔鉱石

…………………………………はぁ。どうにかならないかしら………。


…………そう言えば、上の神達は件属とか装備を介して関わってたわね。なら私も……………ちょうど良さそうなのいないかしら?




純正魔鉱石とは何か。


純正魔鉱石を説明する前にまず魔鉱石について説明しようと思う。魔鉱石というのはそのなの通り鉱石が多量の魔力を含んだ状態の事を言う。鉄鉱石であれば鉄魔鉱石、銀であれば銀魔鉱石、ミスリルであればミスリル魔鉱石と言ったように変化をする。鉄であればより頑丈になり、銀であれば魔物への特効が高くなり、ミスリルであれば魔力の伝導率が大幅に上昇する…………と言った感じで、簡単に言ってしまうと各鉱石の上位互換である。

…………ただし、問題があるとすれば採掘量の少なさ、それに伴う希少価値、つまりめちゃくちゃ高いのだ。ただでさえ採掘量が少なく希少性が高いミスリル等の魔鉱石ともなればは少し採れただけでその日のオークションは大にぎわいになるとも。

そんな魔鉱石だが今回樹生達が取りに行くのは純正魔鉱石……あれ?純正鉱石何て物あったっけ?

純正源石?…………………無課金プレイヤーには辛いものなんて知りませんよ。

………………少しずれましたがこれは略語、正式名称は純正クリスタル魔鉱石

長いので純正鉱石や純正クリスタル何て呼ばれることが多いもの。そして最大の特徴は属性魔力を無属性魔力に変換し吸収してくれる点である。

さて、ただの鉱石採取にも関わらずフウナさんはとてもとても、ものすっっごく楽しみにしていますが………一体どんな所にあるのでしょうかね。





はぁ………………確かにフェニックスの誕生は見てみたいけどまさかダンジョンに行くことになるなんて。

樹生はソファの上でぐでっとなりながら、嫌だ嫌だと唸っていった。

「ほら、うだうだしないの。聖剣だって持ってるのよ?タツキを殺せる生き物何て数えるくらいしかいないわよ。」

もぐもぐと朝食を食べながらシルエルがそう言う。

「……………俺にとってはその"数えるくらいしか"って言うのがほぼ全てに見えるのよ。」

無数のゴブリンが武器を持って襲いかかってきたら?

巨大なゴーレムが自分を踏み潰そうとしてきたら?

ドラゴンの大口が目の前に迫ってきたら?

物理的には死なないかもしれないがショック死する事間違いない。

温室育ちのガラスメンタル舐めんじゃあねぇぞ(泣


「文句言ってもしょうがないでしょ。どっちみち採りに行かないと大変なことになるってタツキもわかってるんでしょ?」

「………………………まぁ、そりゃ。」

そもそもあの卵を見つけたのは俺なのだ。本来なら自分で解決する問題に他人を巻き込んでいるのだ。


「…………………行くか。」

「そうよ!うだうだ言ってたって何も変わらないのよ。フウナも待ってるわよ。」

シルエルが満面の笑みで前を飛んでいく。


「………………シルエル」

彼女の唇の端にはさっきまで食べていたクリームサンドのクリームがついていた。

何だかウェンディ様に似てきてる気がするんだが、気のせいだろうか.……?





「やっときたわね。もうお昼よ?」

「ワフー(遅い~)」

学園の玄関に行くとクウとフウナさんが待っており出かける準備は終わっているようだ。

「ごめんね。何か嫌な予感がしてさ………絶対に何かあるよね?」

予感と言うか、確定した未来と言うか……‥


「………………大丈夫よ。普段より少し、ほんの少し大変なだけよ。」

「やっぱり…………。俺行かなきゃ駄目かなぁ?シリラさんと卵を見守るってのも………」

樹生がまたごね始めると、見送りに来たシリラさんに否定された。

「駄目よ。これでもこの学園の学長なんですよ?授業だってあるんですから。」

ニコッと笑うシリラさん。

「大丈夫ですよ。タツキ君なら必ず帰ってこれますよ。私待ってますから!!」

その横でエマちゃんが同じく見送りに来てくれていた。

満面の笑み、曇り無い信頼、…………そんな物をこうも向けられては流石にうだうだ言ってられない。

「エマちゃん………わかったよ。命大事に行ってくるよ。」

「何だかんだチョロいわよね。タツキって」

そう言えシルエルにうるさいと言い、バックを背負い直す。

ついに諦め向かう事を決意した樹生はフウナさんの背に乗ると純正魔鉱石の採取に向かった。







~side???


「くそ!!」

背中につるはしを背負った男が、洞窟内を走っていた。両手にはキラキラと輝く鉱石を抱えており、体中に血がついていた。

「はぁ…はぁ…………生き残ったのは、俺だけか………」

顔にもついていた血をぬぐう。彼も怪我はしているが、全身の血は返り血によるものである。

「くそ!!あんな化け物が居るなんて聞いてないぞ………。臨時のパーティーとは言え俺以外全滅か。まぁ、これさえあればパーティー何てすぐに組み直せるか。」

鉱石を見つめながらニヤリと笑う男。

洞窟の出口まで後数百メートルの"直線"、魔物の待ち伏せなんて警戒しなくても問題無い。


ヒタ………………ヒタ………………


「さっさと帰るか。こんな所に長くいるもんじゃねぇ。」


ヒタ……ヒタ……ヒタ……


男は走り出した。その頭の中は今日の晩飯と、どんな遊女と遊ぶかで埋まろうとしていた。


「むぐっ!!」


突然の襲撃。完全に油断していた男は全く反応できず捕らえられる。

両腕から滑り落ちる鉱石には絶望に染まった自分の顔が映っており……………頭を噛み砕かれるその瞬間まで、彼は鉱石をとろうと腕を伸ばすのだった。


ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ


無数に聞こえる足音。

その主は鉱石の輝きに惹かれた、愚か者を食らう怪物。

そして…………純正クリスタル魔鉱石そのものでもあった。
































タツキにとって始めての正面から入るダンジョン。

彼らを待ち受けるものは一体……


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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