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58. 名付け

…………………………!!……………凄い!!





いつも無気力だったお嬢様があんなに熱心に!!あぁ…………!!


サロメさん、落ち着いて下さい。…………………しかしあんなにもお嬢様が興味を示すとは、あの異世界人中々ですね。




「…………………………………?」

「タツキさん?どうかしましたか?」


………………気のせいか?


「いや、何でもないよ。それより……………何か大きくなってない?」

「キュッ?」


ムシャムシャと豪快にステーキにかぶりつく白竜。昨日の時点では手のひらサイズだったのに今ではエマの肩に乗れるほどに大きくなっていた。


「そうなんです!パルテナちゃん朝起きたらこんなにも大きくなっていたんですよ。流石はドラゴンですね!」

「キュキュっ!!」


エマの手にすりすりと顔を擦り付ける白竜パルテナ。その仕草は甘える子猫そのものであった。


「パルテナか。良い名前だね。」

白竜と言う大層な肩書きに負けず劣らずの名前である。


「ありがとうございます。昨日の夜ずっと考えて…………それで朝起きたらこれだっ!ていうのが浮かんで………」

「キュッキュッ!」

パルテナちゃんもご満悦な様子。相当気に入ったようである。


「良い名前を貰えて良かったわね。大切にしなさい。名前も主人もね。」

そう言うのはフウナさん。食堂の床にカーペットを引きその上で寛いでいた。

「それ気に入ってくれましたか?」

「最高よ。少し硬いんだけどそれが馴染むのよね。」

昨日の夜レインボーフィッシュのホイル焼きを食べながらホワイトマーケットを眺めているとある項目が目に入った。


[日用品セール開催中!!全品30%オフでーす!!]


もう買うしかなかった。

お金はそれなりにあったため、かなりの数色々と購入していたところ、フウナさんが使っているカーペットを見つけた。普段のお礼も込めて買ってあげることに。クウとシルエルにも別の物を買ってある。

ちなみにクウとシルエルはまだぐっすりである。昨日の夜俺たちの帰りを待ってだいぶ遅くまで起きていたようだが、寝落ちしてしまったようだ。


「そう言えばタツキ君に話があったんだわ。少しいいかしら?」

すると対面に座るシリラさんが話しかけてくる。

「あの卵の事なんだけどね………」

そう言えばフェニックスがどうとか言ってたな。

「前に後3、4週間で生まれるって言ったのは覚えてるかしら?」

「はい、色々あって流れちゃいましたけど………」




ズズッ…………話を聞きながらコーヒーをすする。

もちろんインスタントコーヒー!!この世界にはコーヒーがなかったからね。


「ええ、それなんだけど………明日には孵化することが昨日わかったのよ。」



ブフッッッー!!



思い切りコーヒーを吹いてしまう。目の前にはクッキーを頬張るシリラさん。

…………そして



「………………………いや、違くない?」

頭からコーヒーを被りポタポタと滴らせる樹生がいた。


「ふふ、水も滴るいい男………かしら?」

「……………………タツキさん………」

反射魔法を発動しているシリラさんと残念な物を見るエマ。


「…………………それで、フェニックスがもうすぐ生まれるとは?。」

髪の毛を吹きながら質問する。ただでさえまともに風呂に入れてないのに、身体からコーヒーの匂いがする男なんてどこの層に向けた需要だよ………


「ええ、貴方がエマさんを見ていただいていた間にあの卵を調べていたら唐突に熱量が増加し始めたのよ。今は私の研究所にあるから問題は無いのだけど………」

シリラさんの表情が曇る。何か別の問題があるようだ。


「……………実は卵が置いてある安定化装置が限界を向かえそうなのよ。まだ耐えてくれてはいるんだけどね。」

苦虫を噛み潰したような顔をしながらシリラさんはそう言う。さらにエマまでもが驚き固まっていた。


……………ついていけてないの俺だけ?


「まさかタツキ君知らないんですか!?シリラ先生は魔道具開発でも世界で五本の指に入るほどの腕前なんですよ!!それを………知らないなんて……」

ワナワナと震えながらエマはそう言う。


「あ、あはは………あいにくそう言う物がある環境で育った訳じゃないからさ。」

嘘はついてない………まぁ似たようなものならわんさかあったけど。


「………………それでもおかしいですよ。今上にある魔導光源だってシリラさんの発明のお陰でコストが百分の一まで押さえられたんですよ?」

「へぇ~………シリラさんって以外と有名人?」

タツキがそう言うとニマニマしていた。


「ふふ、その通りよ。お姉さん以外と凄いのよ?少しは見直したかしら?」

「あんまりそう言うこと言うとショボく見えますよ?」


(*´・ω・)ショボーン


(要するにエジソンとか野口英世とか、もっと言っちゃえば○ッキー知らないとかそう言うレベルなのか。)

そりゃエマの反応も当然だろう。千円札使いながら野口英世知らないとか言われたら俺だって同じ反応だろう。


「タツキさんってどこの出身なんですか?今時魔光がない所なんてあるものなの?」

「…………出生はわからないんだ。気づいたら森の中一人でね。そこからは手探りで生き抜いてきたから………フウナさんと出会ってなかったら何処かで野垂れ死んでたかもね。」


ワシャワシャとフウナさんを撫でる。

嫌がる素振りなど見せず、むしろもっと撫でろと言わんばかりに頭を押し付けてくる。


「私だって同じよ。タツキと会ってなかったら…………どうなってたかなんて見当もつかないもの。………ね、タツキ」

「おわっ、………っと」

袖を咥えたかと思うと引き倒され、ペロペロと顔を舐められていた。


「あら、本当にタツキ君達は中がいいのね♪」

「むー…………私達だって負けてないからね!」

「キュッ?……キュッ、キュッ!!」

エマとパルテナが仲良くしているのをシリラさんが微笑みながら見ていた。


「そう言えば雷光の皆さんは?」

「彼女達は早朝に出ていったわ。手紙を預かってるから後で渡すわね。」

どうやらもう行ってしまったらしい。挨拶くらいしたかったが…………また何処かで会えるだろうか?

暫く考えているとシリラさんが話を切り出した。


「さて、タツキ君。改めて言うんだけどフェニックスがもうすぐ孵化しそうなの。今は殻と安定化装置があるからなんとかなっているんだけど、今のままだと孵化した瞬間とんでもない大火災が起きてしまうのよ。」


?……………大火災?


「そこでタツキ君にお願いがあるのだけど……‥…これを獲ってきて欲しいのよ。」


一抹の不安を覚え渡された紙を見てみると………‥


「純正魔鉱石?」


そこには聞いたこともない材料がかかれており………

それを見た瞬間フウナさんの目が輝いた。



(恐ろしく早い輝き………俺でなきゃ見逃しちゃうね泣)








「むにゃ………タツキ~、もう……食べれないよ………むにゃ」

「ウゥー………(邪魔ぁ……)」


「…………シルエル、起きて。クウが苦しそうだよ。」

「むにゃ?……………ふわぁぁぁ、おはようタツキ。」

「おはようシルエル。…………とりあえず、退いてあげよう?」



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