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57. 大事な話

………………………………。


お嬢様、映像は部屋は明るく離れて見てください。でないと眼が悪くなってしまいますよ。


…………………分かってる。


全く……メフィスにも後で言い聞かせておかなければなりませんね。所で何を見ているのですか?サロメにも見せてくださいな。





太陽も完全に沈み月が「こんばんわー」してきた頃。

クウとシルエルはかわいい寝息を立て、エマは白竜と仲良く就寝。

雷光やシリラさんもすでに夢の世界へ旅立っていた。

青く光る月光が辺りを優しく照らし、森の中も静まり返っていた。

そんな中俺は…………



チャプ……………プカプカ………




「……………………なかなか釣れないねぇ。」

「そりゃそうよ。かなり珍しい魚みたいだし。」


学園の近くにある巨大な湖でフウナさんと一緒に釣りをしていた。

「しかし、フウナさんが神妙な顔つきで話すから何事かと思ったら………………あ~またとられた。」

反応が少なくなったため餌を確認すると無くなっていた。


「まあ、大事な話が無い訳じゃないんだけどね。………あら?タツキ、浮きが動いてるわよ。」

「うん!?来たか!!」

釣りを始めてから数時間ようやく目当ての魚が来たか?


「おりゃ!」


「「····················」」


釣糸の先には…………誰が捨てたかわからないぼろぼろのバックがぶら下がっていた。


「ふふふ……………」


フウナさんが口元を押さえて必死に笑いを堪えている。そりゃそうだろう。なんせこの結果は三回連続で起きていた。


「……………あんまり笑わないでくださいよ。これでも真面目にやってるんですよ。」

「………ごめんなさい。でも………ふふ、待ってちょうだい笑。

…………ふふふ」

ついにカタカタと震えだしたフウナさん。完全にツボに入ってしまったようだ。


「…………………まったくそろそろ飽きてきたよ。」

タツキが後ろを見るとそこには釣り上げたゴミの山が出来上がっていた。当たりはあるが釣れど釣れどゴミばかりなのだ。


「ここゴミ捨て場か何かになってんのか?」

はぁ~とため息をつく。


「タツキ、ため息ばかりついてるとゴミしか釣れなくなるわよ。」

落ち着いたフウナさんがゴミの山を見ながら、


「学生用の鞄に靴、ぼろぼろのノートに…………これは模擬剣かしら?やっぱり学生達が要らなくなったものをここに捨ててるのね。」

「自分の部屋のゴミ箱じゃダメなのかね?それに…………このバックなんかも全然使えると思うし………うわ!このノート何も書いてないじゃないか!」

魚が掛からないため釣り上げたゴミを見ていると新品やまだ使えそうな物が多くあった。

「……………まぁ、気にしないでおこう。とりあえず今は獲物がかかるのを待つしか………」


クン、クン、


「うん?」


クン、クン、クン


「………タツキ、絶対あわせるのよ。」

フウナさんも真剣に見守っている。




「…………………今!!」


グイ!っと竿を引くと針に獲物が掛かった。


「タツキ!踏ん張りなさい。」

「わかってるよ!うぉぉぉぉ!!」


フウナさんがタツキに身体強化魔法をかける。

今回狙っているのはレインボーフィッシュと呼ばれる魚でこの湖の主だと言う。警戒心が強く滅多に人前には出てこない珍しい魚なのだがフウナさんがどうしても食べてみたいということで今回来ているのだが…………ついにかかったか?


「もう少しで…………!!」

「…………………………………」


水面を凝視するタツキとフウナさん。すると七色の魚影がうっすらと見えてきた。


「来た来た来た来た!!」

「もう少しよ!」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ざばぁッ!


「よっしゃぁぁぁあぁぁぁぁ!!」

「やったわぁぁぁぁぁあ!!」


三メートルはあろうか巨大な体躯、身体は虹色に輝いておりキラキラとしていた。


ビチビチビチ!!

陸に釣り上げられ、ビチビチと動くが………しばらくすると大人しくなった。


「さぁ、夜食の時間よ。」

フウナさんはそう言うとレインボーフィッシュを一瞬で三枚におろした。

「………………………………」


余りの早業に樹生が絶句している横でフウナさんがどや顔をしていた。


「コツが掴めてきたのよ。それでも魚見たいな単純な構造だからキレイに出きるってのもあるのよ。だから早くあなたの包丁を手に入れないとね。」

「そうですね。早いとこ向かいましょうか。」


樹生はそう言いながら薪をくべる。火をつけ落ち着くのを待ちながらレインボーフィッシュをアルミホイルで包む。中にバターと玉ねぎ、前にフウナさんがとってきたモウドクデスキノコモドキをスライスして入れる。


「あら?なんだか優しい香りがするわね…………何かしら?野菜?」

流石はフウナさん。コンソメキューブの存在を見抜いていた。


「野菜の出汁を固めた物を中に入れてあるんです。足りない旨味やコクをプラスしてるんです。」


簡単に作れ、美味しい物という条件で考えていたがレインボーフィッシュの身質がサーモンにそっくりだったのだ。見た瞬間ホイル焼きにしようと決めた。

中に火が入るにつれバターの良い香りが漂う。


「ふふ、良い香りね♪それにしてもタツキは本当に色々なものを持ってるわね。この銀色の紙なんて始めてみたわよ。」

ぺしぺしとアルミホイルを叩きながらフウナさんがそう言う。

「等価交換ですけどね。やっぱりチートですよ、この

能力。」

タツキがそう言うとフウナさんが首をかしげる。

「チ、チート?ってどういう意味かしら?」

「え~と、ズルとか卑怯とか………そう言った意味に近いですかね。後最強とか理不尽って意味にも使われますかね。」

樹生が言うとフウナさんは暫く考え

「じゃあ私はチートってことかしら?」


「……………………まぁ、最強ですからね。」

「あら、嬉しいわ。」


素直に喜ぶフウナさんを前になんとも言えない気持ちになった樹生であった。

ちなみにホイル焼きは絶品中の絶品だった。

何だかんだ眠くなっていた樹生とフウナさんはその場で寝ることにした。


…………所で大事な話って何だったんだろうか?














「所でこのゴミどうしようか?」

「ふふふ、ゴミは消毒よ!」

ズガァァァァ!!!


……………今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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