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55 友達

…………………………


そこまで気になるならお嬢様自ら出向いてみては?


…………………別に興味なんて無いよ。


ほう!これはまた美味しそうな………一度食べてみたいですね。


…………………………ふん(チラ





「もう!どこ行ってたの!?」

魚を食べ終え10分程歩きシルエル達と合流した。やはりと言うべきかシルエルは怒っていた。

「まったく………クウちゃんも言いなさいな。………それくらいいくらでも時間作るわよ。」

「アゥゥ……(ごめんなさい……)」


クウはしょんぼりしていたが……シルエルも今回は許すことにした。


「今回は許してあげる。でもねクウ、タツキは私達と違って脆いのよ。……………ファフニールの時は運が良かっただけなのよ。」

シルエルの表情が曇っていく。シルエルのせいではないとはいえ間接的に樹生を殺してしまう可能性だってあったわけである。むしろ生き延びた事が奇跡のようなものだ。

「だからね………クウ、貴方が最強の魔物であったとしても絶対何てあり得ないのよ。」


「………………………………」


気まずい空気が流れる。クウの行いをシルエルは咎めるべきなのだが余り強く出ることが出来ないようだ。


…………まったく


「シルエル!クウ!」


「ちょっ!?」

「ワフっ!?」


ガバッとクウとシルエルを抱き寄せる。

元はと言えば俺が弱い事にも原因がある。それに………


「別に二人が良いか悪いとかなんて無いよ。それにさ、ファフニールの時は確かにヤバかったけどめちゃくちゃ楽しかったしさ、さっきもクウのお陰でキレイな景色も見れたし、旨い魚も食べられたしさ。」


「で、でも結局結果論でしょ?死んじゃったら……」


「まぁ、そうなんだけどね笑。だからそうならないように俺も頑張るからさ!」

シルエルとクウそれにフウナさんも俺なんかに付いてきてくれて………それだけで最高に楽しい旅が出来てるんだ。文句何てあるわけ無いだろう。


「………シルエル、クウありがとうね。これからもよろしく!!」

「…………アゥ(…………うん)」

「………………ええ」

三人はしばらくの間そのままの体制でいた。


一方エマはと言うと………


「私の願い……」

言われた通り卵を前に色々と考えていた。

ただ一言願いと言っても分からない。もちろん従魔契約を出来るようになりたいと言う願いは変わらない。

だが、具体的な原因が分からない。今まで何度も考え、実験を繰り返してきたが何故従魔契約のみ出来ないのかが分からないのだ。

(………………‥やっぱりダメなのかな?)

時間が立つにつれどんどんと気持ちが沈んでいった。このままではいけないとそう思えば思うほど……


「ダメよ!!そんなんじゃ……」

バチンと頬を叩く。


「タツキさんがせっかく手を差しのべてくれたのよ。家族にすら見捨てられた私を。」

家では奴隷のような扱いを受けていた日々。

学園では嘘に嘘を重ねて、自分も相手も偽り続ける日々。

そんなのはもうごめんだ。


「……………あれは、タツキさん?何してるんだろう?」

ふと視界に入ったため見ていた。

正直言って初めて見た時のタツキさんと従魔の関係は異質だった。

だいたいのテイマーと呼ばれる人達は従魔を自身と対等に扱うことはない。むしろ道具のような扱いをする人が圧倒的な多い。例えれば剣や盾の扱いと言えば分かりやすいだろうか。もしくは自身の力量を誇示するための物だろう。だがこれが悪い事とは一概に言えないのが現実である。そもそも友情契約は難易度が高過ぎて行う者が少ないのだ。死ぬ気で魔獣を捕まえて文字通り命がけで契約を結ぶためテイムした魔獣でテイマーの実力が決められていくのだ。

たがら私もそう言う物だと思って今まで過ごしていたが、タツキさんと出会って考え方が変わったのだ。

今も笑いながら従魔達と遊んでいる。彼は従魔と言う認識では無いのかもしれない。


それに私が本当に欲しい物は従魔ではないと言うのはずっと前からあった事実。私の余計なプライドが邪魔をしていただけ。

「…………‥…………………私の、私だけの"友達"」


…….……ピシッ


「……………私が本当に欲しいのは従魔じゃない」


……………ピシッ


「君がどんな姿でも構わない。だから……私の友達になってくれないかしら?」


…………ビシッ!


「………………ピィ?」


そこには真っ白の小さなドラゴンがいた。

何と彼女の最初の友達はドラゴンだったのだ。


「………ドラゴン?」


「うん?ああ!生まれたじゃないか!」

樹生が駆け寄るとエマの手のひらの上で目をパチパチさせている真っ白なドラゴンがいた。


「エマ、これからだよ。ここから………うん?どうしたの?」

もっとおおはしゃぎするものかと思ったが………


「………………………うぅぅ」


エマは涙をポロポロと流しながら、うつ向いていた。

樹生はその様子を見ると、静かに離れた。


「うぅぅ……君は……私でいいの?」

「ピュイ!!………。」


パタタタッ


ペロッ


「………えっ」


「ピュイ!ピュイ!」

いきなり飛び立つと白竜はエマの涙を舐めとり、そのまま額どうしをくっつける。


「あっ、あれって……」

「ええ、契約成立ね。」

何とエマは白竜が誕生したその日に契約を完了させてしまったのだった。



~sideフウナ


「!!」

バッと遠くを見つめるフウナさん。

「………………流石はウィルスナーの血筋ね。」

新たなる竜王の誕生を祝うため、どでかいステーキを加えるとフウナさんは走り出すのだった。












ドラゴンとの契約はまさに王道ですね。

樹生もドラゴンと契約を結べるのでしょうか?

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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