52. 理由
……………それ以外にもあるでしょ?嘘は許さないわよ?
…………はぁ、こういう時ばかり勘がいいんだから。わかったわよ。アレの本当の効果は対象者を守ることだけでわないわ。
それはわかってるわよ。それで?本当の効果ってのは?
…………不死身になれるのよ。本当の意味でね。
「助かったよシルエル。正直言って怖かったよ………」
ふぅとため息をつきながら地面にへたりこむ樹生。学校から少し離れた場所にテレポートしていた。
「まったく………何なのよ。あいつら……」
シルエルの顔にはわかりやすい程の怒りが現れていた。
シルエルはクウとよく仲良くしている。たがらこそ本気で怒っていた。
「ワフッ!(怒らないで!)」
当のクウはシルエルをなだめていた。どうやら思うことがあるらしい。クウは学園の方を見つめていた。
「ワフッ!(行こう!)」
「…………はぁ。クウちゃんは一体誰ににたのかしらね。」
シルエルがやれやれと首をふる。いったいどういうこだ?
現状が理解できずに困り顔になっている樹生にシルエルが言う。
「クウちゃんがね、悪意を感じなかったって言ってるのよ。正確には"タツキ"に対してかしら?」
シルエルの言葉にコクコクとうなずくクウ。悪意満載だった気がするんだが………あの縦ロールは違う理由があるとか?例えば………
「うーん………高飛車で……貴族で……縦ロールで……女性で……」
…………………あぁ、なるほどアレか。
「タイトルは悪徳令嬢がでれるまでとかか?これもまたテンプレか?」
樹生はよいしょと立ち上がり尻についた汚れをはたき落とす。
「ふふ、何やら面白いことになってるわね。」
ズサッとフウナさんが現れた。どうやらシリラさんとの話し合いは終わったようだ。
「行くんでしょう?乗りなさい。」
樹生はお礼を言うとフウナさんに跨がる。何だか久しぶりに感じた。
「さぁ!バーベキューの準備よ!」
「そっち!?」
ずれたことを言い出した、フウナさんに突っ込みながら学園に戻り…………
「あの子がね……ごめんなさい。不快な思いをさせてしまったわね。」
シリラさんから謝罪を受ける。
「いえ、それに関しては大丈夫何ですけど………あの縦……じゃなくて女性は?」
樹生の質問にシリラさんはひとしきり悩んだあと………
「私は教育者という立場だからあんまり言えないんだけど……あの子はエマ·ウィルスナーと言う貴族の三女なの。」
ウィルスナー家は従魔契約の家系としてトップに位置する有名な家系だそうだ。なんと初代のベルモント·ウィルスナーは白竜と契約を交わし初代勇者とも交流があったそうで八大英雄の一人だそう。
そんな家系に生まれたエマは………まだスライムとすら契約を完了させられていないそうだ。
「……………世間体を考えて彼女の親はその事を隠しているんだけどね。もし在学中に実績を残せなかったら……残念だけどその後は悲惨の一言につきるでしょうね。」
シリラさんの言葉に樹生の背に冷や汗が走った。それはこの世界の余りの非常さ、そしてあの時エマの表情に。
「…………なるほど。そう言う事情があったんですね。でもクウは渡せませんね。」
「そりゃそうよ。私から見てもその子は君に懐いてる……いや、それ以上かもしれないわね。」
シリラさんはクウを軽く撫でながらそう言う。
「と言うことで、従魔マスターである君に彼女を導いて欲しいのよね!」
賑やかにとんでもないことを言い出した。
「…………残念ですが力にはなれないかと。魔術的な何かを用いて契約を結んだわけではないので。」
この世界の従魔契約の中には2つの方法がある。一つ目は魔術契約。様々な魔術を行使し、契約する方法で一般的に多く行われており比較的に簡単である。イメージ的にはポ○モンやA○Kに近い方法である。二つ目は友情契約。こちらは名前の通り魔物と仲良くし信頼しあった上で契約をする方法。圧倒的に時間がかかり、魔物と触れあう過程で殺されてしまうこともしばしば。ちなみに樹生が行ってきたのはすべて友情契約にあたる。
だからこそ、樹生から教えてあげられることがないのだ。
「わかってるわよ。その上で言ってるの。私の見立てでは彼女は魔術契約が出来ない……と言うよりはしたくないのよ。………優しい子なのよ。」
少し悲しそうな顔をするシリラさん。
そんな事を言われたら、引けなくなってしまうだろう。
「…………………わかりました。最善を尽くします。」
樹生に新たな依頼が下ったのだった。
「さぁ!始めましょう!」
時間的には夕方の五時頃。学園には話を流して貰っていたため、かなりの人数が集まった。
「皆さん、お願いしますね!」
「「「「「「はい」」」」」」
学園の料理人達が総出で学生達を迎える。そして明日はこの
グラニア魔術学院の建設記念日であり今回のバーベキューは前夜祭という名目で行われた。
そして…………
「何度も言いますが!早く渡しなさい!」
現在に至る
あの話を聞いた後と前では受ける印象が変わってくる。
「わかりました。………ちょうどよくあそこにスペースがありますね。"二人"で話し合いましょう?」
樹生が指を指すと縦ロールがコクッと頷く。どうやら話が通じない部類ではないようだ。
そこにはひとつのテーブルが置いてあり集団ともだいぶ離れているため話し合いをするのにちょうどいい。
ここが勝負の場だと、気合いを入れて向かうのだった。
金髪縦ロール現れる!!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!




