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46.  呪いの短剣

……………本当にそれ渡す気?


仕方ないじゃない!これでギリギリなのよ!て言うか聖剣渡した貴方に言われたくないわよ!


………いや、私が言ってることはそう言う事じゃないんだけど







「………………酷い」

樹達は今学校にある治療室にいた。ベットの上には重症をおったアリスさんとマーヤさんがおり、二人とも息が絶え絶えでかなり危険な状態だった。そんな二人を見てシリラさんは顔を歪ませていた。


「いったい何があったの?この二人をここまで追い詰めるなんて………。並大抵の者じゃないわね。」


回復魔術師が治癒を行っているが、全くと言っ効果が現れない。それどころか治癒してる筈の魔術師に傷が出来始めていた。


「クソッ!……学長、私には彼女達を治すことが出来ません……」


ついに回復魔術師が諦めてしまった。だがそれも無理はない。彼の腕は何故か傷だらけになっておりその傷も癒すことが出来なくなっていた。


「いったい何なのよ………。セス、教えて頂戴。何があったの?」

「………………わからない。いきなりの事で何がなんだか。」


セスさんは頭を抱えてうずくまっていた。

どうやらだいぶ参っているようだ。


「セスさん。良かったらこれ飲んでください。落ち着くと思います。」

樹生はセスさんにカフェオレを渡した。

「……………ありがとうございます。相変わらず優しいんですね。」

「いえ、困ってるときはお互い様ですから。」

「ごくっ………、!!甘いくて美味しい!」

カフェオレを一気に飲み干したセスさん。その顔には少し元気が戻っていた。


「…………改めて、セスさん。何でもいいんです。何か覚えていることはありますか?」

「……………ごめんなさい。相手は未知の力を使ったとしか。」

嘘をついているようには見えない。本当に一瞬の出来事だったんだろう。


「ありがとうございます。それと二人のことは任せてください。必ず助けて見せます。」

タツキは保管庫に手を入れる。

確かあった筈………シルエルに教えてもらったあれが。




~しばらく前。

時間的には樹生達がファフニールを倒しBBQをやっていたあたり。


「そういえば、財宝以外にも色々あったわね。」

テーブルの上に座り足をパタパタさせながらシルエルが聞いてきた。

「そうなんだよ。俺には何が何だかさっぱりで……」

良くわからない宝剣に鎖でグルグル巻きにされた宝箱、謎の液体が入った瓶。

正直、呪物か何かか?と思うようなものも多かった。


「………………これ何て相当よ。」

シルエルがあるものを指差す。そこには一本の短剣があった。見た目は少し合格な装飾がされた普通の短剣なのだが、いったい何が問題だと言うのだろうか?


「もしかして、呪われた…‥…短剣とか?」

樹生はごくっと唾を飲んだ。何たって思い切り握りしめているのだから。


「うーん………半分正解かしら?呪われていることは間違いないわね。」

「マジかよ!………俺大丈夫だよな?」

予想が当たってしまい、短剣を落としてしまった。


「そんな焦らなくても大丈夫よ。性格にはまだ"問題ない"と言った所かしら。」

シルエルが短剣を持ち上げ、樹生の前で説明を始めた。


「この短剣は呪いを取り込むのよ。今まで色んな呪いを吸ってきてメチャクチャなことになってるけど、まだ使えるわね。………後4回が限度かしら?」

「……………なるほど。シルエルの言ってることは何となく理解できたよ。」

日本でも痛みを肩代わりしてくれる地蔵の話などがあるが、似たようなものだろう。…………でも、デメリット無しってのはあり得ないだろうな。


「タツキの考えてることは分かるわ。私から言えることは一つだけね。………絶対に4回目は使わないことね。」

「…………フウナさんとシルエルがいても?」


……………最強の二人がいてもダメなんだろうか?


「私達を信頼してくれるのは嬉しいけど、ここまで強力な呪いだと打つ手がないのよ。それに……………」

「………………?」

シルエルはしばらく沈黙して、


「………………この短剣、何だか可愛そうなのよ。だからなるべく使わないであげて欲しいわ。」

「そう言うことか。……まあ確かに可愛そうだよな。」

樹生は短剣を見つめていた。


(私が止めても貴方は使うんでしょうね。………だから、無茶だけはしないでね。)






「…………………あった!」

アイテムバックに入っていたあの短剣を取り出した。使い方はシルエルに教えて貰ったため問題はない。


(結局、これの力を借りることになったけど……すまない。)

樹生は短剣を握りしめ振り替える。


「…………………タツキ君?それは一体?」

セスさんが聞いてきた。だが詳細を説明している時間はない。


「呪いを解呪できる短剣です。おそらくこれななら。」

樹生はアリスさんに短剣を握らせる。


「頼む!治ってくれ!」

「うっ…………!くっ!うぅ………」


アリスさんが苦しみ悶えていたが暫くすると、身体中にあったアザのような物が消えていた。つまり!


「治ってる!」

セスさんが驚きアリスさんの手をとっている。まだ意識は無いが静かに寝息を立てていた。


「……………凄い、こんな事が。」

シリラさんも驚き固まっていた。

(あんな短剣、聞いたことも見たことも無いわ!いったいどこで見つけたというの?)

シリラさんが驚愕してる前で、マーヤさんと回復を行っていた魔術師を治していた。

(タツキ君………君は本当に……)


「ふぅ…………何とかなって本当に良かったよ。……ありがとうな。」

タツキの手にはひびだらけで今にも朽ち果てそうになってしまった短剣があった。


「とりあえず、治療は完了しました!後は二人の回復を………って!うわぁ!」

セスさんが樹生にギュッ!と抱きついた。


「ありがとう!!本当にありがとう…………」


ポロポロと大粒の涙を流しながらセスさんがお礼の言葉を何度も何度も口にしていた。

そりゃそうだろ。訳も分からず大切な人達を失う所だったのだから。


「………はい。困ってるときはお互い様ですから。」


大声で泣くセスさん。その声に先程までの悲壮感は無くなっていた。


「アオン!!(お腹へった!!)」

今まで、大人しくしていたクウが樹生の顔にダイブしてきた。


「ウブッ!……ちょっと、前が……見えない。」

エルフの女性が抱きつき、顔にエンシェントウルフの子供がしがみついている様子は中々にカオスだが淀んでいた空気を明るくするのに、そう時間はかからなかった。


「ふふ、さっき食べたばかりだけど何だか私もお腹が減っちゃったわ。タツキ君、何か作ってくれないかしら?」

シリラさんに言われちゃ作らない男はいないだろう。


「分かりました。………少し待っててください。」

その後セスさんが泣き止むまで、暫く時間がかかった。

その間もずっとクウが顔にしがみついていた。











呪い完治!!

樹生が持っている物まだまだとんでもない代物が隠れてそうですね。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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