40. グラニア魔術学院到着
あの異世界人よ!どう考えてもおかしいわよ!?あれは!
確かに吹っ飛んだ先がダンジョンでしかも生還するなんてねぇ………運が良かっただけとは言いきれないわね。
ドドドドドドドドドッッ!!
ザシュッ!
「到着よ♪」
グラニア魔術学院のある森への入口に到着。
流石はフウナさん!ほぼ一瞬で…………おぇ!
「はぁ、はぁ……まだ早くなるんですね。………」
「当たり前よ。全力疾走なんて貴方を乗せたまま出来るわけ無いじゃない。」
フウナさんは笑いながらそう言う。
樹生からしたら全く笑えないのだが………
「はぁ………」
樹生はキレイに舗装された道を見て思う。
ここまで森、平原、山岳、森………と突っ切って来たわけだが
舗装された道は久しぶりに見る。
「人の気配が沢山あるわね!授業中かしら?」
シルエルは学校を指しながら楽しそうに言う。
人嫌いの妖精や精霊の話はよく聞くがどうやらシルエルは人間が好きであるようだ。
「さあ行きましょう。クウ、そろそろ起きなさい。」
「……………‥ワフゥ」
もぞもぞと樹生の前でクウが目を覚ます。
「クウちゃん、おはよう!」
「…………ワフ!!」
シルエルがクウを撫でている。
何だか子供が大型犬を撫でてるような………
「タツキ、今何か言った?」
おっと……殺気ぃ……
「イヤ、ナニモ?」
どうやら声にでていたようだ。
気を付けないと………
「あ!そうそう皆。」
樹生が三人に呼びかける。
「今回は皆お留守番ね。」
「「なな、なんで-!?」」
「クゥーン………(そんなぁー……)」
断言できる。
絶対めんどくさいことになる!わかってんだからな!
フウナさん達は駄々をこねたが、ある条件を出すと「今回だけ」といい引き下がってくれた。
そんなこんなでテクテクと道を歩っているとある物が目にはいった。
「………うん?何だあれ?」
樹生は見つけたものに駆け寄る。
草むらから飛び出ていたのは靴………いや……
「人間の………足!?」
確認すると頭から血を流した人がぐったりとしていた。心なしか肌の血色も悪い気がする。
やっ、ヤバ!!
「ちょっ!マジかよ!」
きゅ、救急車!
いや、今は教会の人か!?それとも白魔導師!?
モゾモゾ……
ま、待つんだ落ち着け俺!
一旦深呼吸……
「う~ん………よく寝た。あれ?誰?」
スーハー、スーハー……
「おーい、大丈夫?」
スーハー、スーハー………ゲホッ!ゲホッ!
「ねぇ!本当に大丈夫!?」
「いや、状況は最悪………」
振り返ると頭からダラダラと血を流した青年が立ち上がっていた。
「君大丈夫?こんな所で深呼吸するなんて何かあった?」
「「················」」
「ぎゃあああああああああ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ショッキングな光景に叫んだ樹生の声とその声に驚いた男の叫び声が見事にハモった。
「あははっ、ごめんごめん。死体だと思ったかい?」
血を拭きながらそう言う青年。
そりゃ………異世界だしぃ?
「まぁ、無事なら良かったよ。」
「うん、木から落ちて全身痛いけど問題ないよ♪」
いやいや、大問題だろう!大丈夫かぁ?この人……
「うん?貴方は………何だか面白い方ですね。グラニア魔術学院へはどういったご用件で?」
さっきまでとは真逆の真面目な態度に呆気にとられるが……
「あ…ああ、俺はタツキって言います。依頼を完了したからその報告に来たんです。」
樹生は依頼書を見せる。
ロックバードの捕獲。その報酬を受け取ることが今回の目的である。なのだが………
「………う~ん?ちょっとわからないや。学長に聞いてみるか……」
どうやら、上手くは進まなそうである。
「あ、そうそう。僕の名前を言ってなかったね。」
クルリと振り返ると青年は名乗る。
「僕はノマン。グラニア魔術学院の講師です。」
side~留守番組
「酷いわ………留守番なんて。……暇ね」
「本当よ!せっかく面白いもの見れると思ったのに………あの約束破ったら承知しないわよ。」
「クゥーン………(暇ぁ………)」
フウナさん達は入口から少しはなれた所で樹生の帰りを待っていたのだが………
「…………もう我慢できないわ。行くわよクウ、シルエル。」
立ち上がったフウナさんはそう言う。
「行くってどこに?あの学校には行けないわよ?」
シルエルの言葉にフウナさんはニヤリと笑う。
どうやら既にフウナさんは何かを見つけていたようだ。
最初は樹生と一緒に行くつもりだったが………どうやら自分達だけで行くことにしたようだ。
何だが嫌な予感がするのだが…………
(何だろう?………やっぱり皆で来た方が良かったかな?)
今さら後悔し始める樹生であった。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!




