36. 地底探索!
うん?………うん!?見てウェンディ!異世界人君、凄いことになってるわよ!
いつものことでしょ……………はぁ!?何やってんのあいつ!死にたいの!?
「はっはっはっ………くそっ!いい加減にしろ!!」
現在タツキはダンジョンの中を駆けずり回っていた。
理由?そんなの決まってる。
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ
無数に聞こえる足音。黒光りしたボディ。その姿はまるで暗殺者の様。
「絶っ対に止まらねぇからな!ゴ○ブリ共が!」
全身鳥肌が立ちまくっている。
樹生とて人間。自身と同じサイズのGが無数に襲いかかってきたらそりゃそうなる。
「くそっ!せっかくの異世界ライフだぞ。追いかけられるなら美女がよかったのに!俺は運が悪すぎる!」
恐怖や焦りなどがごちゃごちゃになって変なテンションになっていた。
「ちっ!行き止まりか!」
振り返ると、奴らが我先にと樹生に襲い掛かってこようと迫っていた。
「………まだだ、まだ俺は死んじゃいない!」
聖剣オメガプロキシモを引き抜く。
「せっかくのプレゼントだ!受けとれ!」
キャラがバグってきたがこの際気にしない。
「喰らえええ!!!」
ブンっ
バカっ! ドカンっ!
Gだけでなく、その奥の壁さらに床までも叩き割った。
その結果………
「俺は馬鹿かぁぁ!……」
更に下へと落ちていった。
ズズズズッ………
「急いだ方が良いもしれないわね。」
ズガン!
「…………………………ええ」
ズバン!
「アオン!(飽きた!)」
ザクッ!
三者三様フウナさん達はダンジョン内を蹂躙しながら進んでいた。
「しかし、ダンジョンにしては"アレ"が無いわね。」
「…………………………そうね。」
シルエルが元気がない。まぁ理由は明白であるが。
フウナさんは回りを見渡すが死骸ばかりである。
どうやら彼女からするとこの状況は異常だそうだ。
「アオン!(見て見て!)」
クウが何かを加えてやって来た。
「何かしらこれ?鍵の束?」
シルエルがまじまじと見つめる。
「……………………」
フウナさんは無言で何かを考えていた。
何か心辺りがあるようだが……
「まあいいわ。早く樹生を助けに行きましょう。」
「…………そうね。とりあえずこれは持っとくわ。」
「アオン!(よろしく!)」
フウナさん達は更に奥へと進み、樹生が切り崩した空間までたどり着いた。
「……聖剣オメガプロキシモの影響ね。流石は聖剣といったところかしら」
今にも崩れそうな天井を見ながらフウナさんはそう言う。
一方シルエルは樹生が落ちた穴を見つめていた。
「……面倒くさい奴が居るわね。これ」
奥から感じる気配にシルエルは気づいており、顔をしかめていた。
「急ぐわよ。このままだと本当にタツキ食べられちゃうわよ。」
フウナさんの言葉にシルエルとクウは頷くと穴の中に飛び込んでいった。
いったい何がいるのだろうか………
「死ぬ!死ぬ!死ぬぅぅ!!」
「グガァァァァァ!!」
樹生は必死に逃げ回っていた。
火を吹かれ、強大な咆哮に吹き飛ばされてもしぶとく逃げ回っていた。
「フウナさーん!助けてくれー!」
「ええ、来たわよ。」
天井が割れ、フウナさんが現れた!
「アオン!(来たよ!)」
クウが電撃を放ちながら出てきた。どうやら奴を牽制しているようだ。そして………
「タツキー!生きてて良かったわ!」
シルエルが樹生の顔に飛び付いてきた。
「本当にごめんなさい。私のせいで……」
樹生は致命傷こそおってはいなかったが全身ボロボロだった。
シルエルはそんな樹生を見て泣きそうになっていた。
「本当に……ごめん……………えっ?」
樹生はシルエルを撫でてあげていた。
「大丈夫!俺はシルエルが思っている以上にしぶといからね!」
出会ってそんなに日が立たないと言うのに……本当にシルエルは、
「優しいよな……」
「つっ!!!」
シルエルは顔を紅くしながらふるふる震えている。
「ふっふん!そりゃそうよ。私は風の精霊よ!」
ばっ!と樹生の手から離れた。
「………….あ、ありがとう。貴方が無事で良かったわ。」
シルエルはニカッと笑い奴に向き直った。
「よくもやってくれたわね、クソトカゲ。」
「グルルルルルルルルルル………」
樹生を追い回していたのは巨大なドラゴン。その名も……
「ファフニールね。やっと謎が解けたわ。」
フウナさんは軽く言ったが聞いていた樹生は震えていた。
「フ、ファフニール!?宝物が大好きっていうあの?」
樹生の言葉にフウナさんは頷く。
「その通りよ。だがらこのダンジョンには宝物が無かったのよね。…………あらあら、今回は私の出番は無しかしら?」
「クゥーン……(暇ぁ……)」
フウナさんとクウがあくびをし始めた。
「いやいや、ファフニールですよ!ファフニール!!シルエルだけじゃ……」
「私だけじゃ何かしら?」
「グ、グガァ……」
地面に這いつくばり、動きを封じられたファフニールがいた。
「じゃあね。トカゲ。」
シルエルが手を振り上げる………
ザン!
「終わったわよ!さあ、奥に行ってみましょう!」
「そうね。きっと凄いわよ。」
「アオン!(お宝~)」
樹生はしばらく放心していたが……
「そうだよな……"最強"だもんな。」
フウナさん達の異常性にも慣れて………来るわけはないが今は生き残れたことを喜ぼう。
いつだって命あっての物種であるのだから。
「待ってください!今行きますから!」
「うん?シルエルなに持ってるの?」
「これ?鍵の束よ。」
「もしかして……みんなちょっとついてきて!」
どうやら樹生はすでに何かを見つけていたようです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!




