34. 山の上で
そう言えば貴方はどうするの? モグモグ……
私?そうねぇ。ウェンディは剣を授けたのよね。それなら別の物にしようかしら?………あら?これ美味しいわね♪
「あれ?傷がない……」
あれだけの攻撃を受けておきながら、傷がない。てっきり真っ黒焦げななっているものと思っていたが………
「ふふふ、ちょっとしたコツよ。さぁ回収しちゃいましょう。」
………肉の在庫がどんどん増えていく。ただでさえワイバーンの肉の解体をギルドに頼んでいるのに。
「こいつらは、レッドファー。赤い毛皮が特徴の魔物ね。」
頭に二本の角が生えており、大きさは2、3メートル。見た目はバッファローに近かかった。
「しかし、こんな大きいのが100匹以上いるのか……」
樹生はレッドファーを見ながら呟いた。
まぁ腐るわけではないからなぁ。
「しかし、フウナが威嚇しても止まらないなんて……いったい何があったのかしら?」.
シルエルがまた不吉なことを言い出した。
「カンドラまで、もう少しかかるわね。今のペースだと4日くらいかしら?」
「それじゃ、ゆっくり行かない?急ぎの依頼は無いでしょう?」
樹生は依頼書を確認する。
「そうだな………急ぎはないけど、このロックバードの生け捕りってやつが気になるんだよな。」
ピラッとシルエルに依頼書を見せる。
「ロックバード?ああ、あの鳥のことね。楽勝じゃない。」
「そうね。もう少し進むと山岳地帯が見えてくるわ。そしたらすぐ見つかるわ。」
なるほど……名前の通りの鳥なんだな
「それじゃ、出発するわよ。………あ、そうそうタツキ。」
「?。フウナさん、どうかしました?」
何か他にあったっけ?
「今日の夜ご飯はあの牛が食べたいわ。」
「アオン!(食べる!後プリンも!)」
「いいわね!タツキ!豪快に行きましょう!」
まぁ、俺も食べたいし別にいいけど………てかさらっとクウ、プリンをねだってたな。
「わかりました。それじゃ捌くの手伝ってくださいね?」
「ええ、完璧にこなして見せるわ。」
尻尾をブンブン振りながら喜ぶフウナさん。
ここ最近、食べごたえがあるもの食べてないからな。嬉しいのだろう。
「なら、豪快にステーキでも作りますかね!」
樹生はポチポチと必要な道具を買い揃えていった。
「夜が楽しみね!フウナ、早く行くわよ、」
山岳地帯に向けて樹生達は歩みを進めた。
そして、空が赤くなり始めた頃
「あれがそうね」
高い山々がそびえ立つ。
今までの青々とした森と違いゴツゴツとした岩が目立っていた。
「登るのは明日にしよう。今日はこの辺で休まないか?」
樹生はそう提案するがフウナさんは否定した。
「いや、登りましょう。ふふ、絶景よ。」
ああ、なるほど。確かにロケーションは大事だしな。それなら……
「わかりました。それならフウナさんにお願いがあるんですけど、食べられるキノコを採ってきてもらってもいいですか?」
せっかくの異世界ステーキだ。付け合わせも必要だろう。
「分かったわ。何種類か持ってくるわ。」
「アオン!(私も行く!)」
クウも行くようだ。
「分かったわ。それじゃ私とタツキはお留守番ね!」
シルエルは待っているようだ。
「それじゃあ、ささっと山登っちゃうわよ!掴まってなさい!」
ビッ とフウナさんが跳躍。物凄い勢いで山をかけ登っていった。
シルエルとクウは楽しんでいたが樹生は「アバババ」と言っていた。どうやら聖剣オメガプロキシモは手に持っていないと、効果がないようだ。
タッタッタッタ……ルドッ!
「到着よ。」
「……………うぅ。」
樹生はよろめきながら地面に立つ。
「タツキ……あなたもうちょっと鍛えなさい。」
「……………はい。」
シルエルに呆れられた樹生であった。
だって仕方ないだろう!?こちとら生粋の日本人なんだぞ。異世界人と比べられても困るわ。
「まぁ、少しずつ鍛えて行きますよ。それよりキノコお願いしますね」
「了解よ。クウ、行くわよ。」
「アオン!(レッツゴー!)」
フウナさんとクウがキノコを探しに向かった。
「私達はゆっくりしてましょうか。………それにしても綺麗ねえ~。空が真っ赤よ。」
シルエルの言う通り夕陽で空が赤く染まっていた。
まさに絶景であった。
「………よし!シルエル、夜ご飯の準備しちゃおっか!」
「ええ、手伝うわ。」
フウナさんとクウが帰ってくるまで、二人で夜ご飯の準備を進めるのだった。
「グガアアアアアア!!」
「なんなんだよもぉぉぉ!!」
「かかってきなさい。吹っ飛ばしてやるわ!」
そう簡単に事が進まないのが九条樹生という男であった。
次回は山岳バーベキュー!
「ちょっ!シルエル!?危な………」
「はははっ!吹っ飛びなさい。トカゲモドキ!」
………出来るといいですが。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!




