29. 報酬と換金
よし、魔力もこれだけあれば……
私も何か準備しようかしら……
「おう!タツキ!よくやってくれた!!」
ギルドマスターにガシッと手を握られた。
「あ、あはは………」
痛い……
「本当だよ!よくワイバーンの群れを殲滅したな!」
グランさんに背中をバシバシ叩かれる
「ほとんどフウナさん達ですけど………」
し、衝撃が……
宴が終わった次の日、樹生はギルドに呼び出されていた。何やら報酬金が出るとのことらしいが……
「そ、それで話って……」
「ああ、今回の件について改めて礼を言わせてくれ。お前のおかげで被害無く事をおさめられた。ありがとう。」
ドナンさんが頭を下げた。
「俺からも言わせてくれ。本当にありがとうな!!」
グランさんも頭を下げてきた。
「いえいえ、頭を上げてください。それにほとんどフウナさん達がやってしまって……俺ほとんどやってないんで」
事実俺は雲を割ったくらいしかやってないしなぁ……
「はッはッは!どのみちお前さんが居なけりゃ俺たちは終わってたんだ。リオル!持ってきてくれ。」
リオル?ああ、うさみみの受付嬢さんか!相変わらずかわいいなぁ……
「お、お待たせしました!今回の報酬です!」
プルプルと震えながら重そうな袋を持ってきた。
「えっと……星見の花の報酬金が金貨30枚、ワイバーン殲滅戦の報酬金が金貨150枚、その他にコカトリス、ウルフ、オーク、ゴブリン、ブルーオーク、星熊、キングアシッドスライム、ビッグディアー、ワイバーン……の肉以外の素材の総額が金貨800枚。総額金貨980枚になります!!」
「················うゃぁ?」
喉から謎の鳴き声がでるほど樹生は驚いていた。
「まぁ、そういうことだ。受けとれ!」
たった一回の依頼と緊張クエストで一気にお金持ちになってしまった樹生であった。
「…………とりあえずしまっておきますね。」
樹生は保管庫に金貨を放り込む………
「んな!」
「お前!」
「わぁ!」
んっ?あっ、ヤベ!
「あ、アハハ。説明必要で……すね。します。」
その後ドナンさんとグランさんに詰められ、保管庫について説明をした。二人は物凄く驚いていた。どうやらアイテムバックは多数存在しており珍しいものではないが、樹生のようなスキルは初めて見るとの事だった。
「容量は無限、時間も停止、出し入れも制限無しか……。 タツキ、その事は墓まで持ってくんだ。知られたら面倒だぞ。」
グランさんにそう言われた。
まぁ分かってたから隠してたんだけど………ミスったなぁ…
「皆さん、この事は口外しないでいただけると……」
樹生の言葉に三人は頷いた。
「まぁ、エンシェントウルフと一緒にいるくらいだからな。そのくらいは当然っちゃ、当然かぁ。」
ドナンさんの言葉にリオルさんは目をまん丸くして固まっていた。
「まぁ、お前さんがなにもんだろうと俺たちの街を救ってくれた英雄には変わりねぇからな。」
グランさんにそう言われると、なんだか嬉しくなってきた。
その後も談笑しつつ今後の話をしようとした時、
「まだ終わらないの!?タツキお腹すいたわ!」
シルエルが部屋に飛び込んできた。
「シルエル!フウナさん達と外に行ってたんじゃなかったっけ?」
三人は、暇だと言って近くの森に行っていたはずだが……
「ゴブリンの集落を見つけてさぁ。フウナがクウちゃんの修行をするとか言い出したのよ。………でもね、ああ……思い出したくない。」
シルエルの顔がどんどん青ざめていった。
「‥‥‥………なるほどね。何となく分かったよ。」
樹生がシルエルと"自然"にしゃべっていると………
「………………おい、ありゃあ」
「ああ、初めて見たが間違えねぇな」
「風の精霊シルフ………かわいい!」
樹生にとっては当たり前の日常になりつつあるが、一般的に見れば異常もいいところである。
「あっ!そういえば。」
シルエルはそういうとドナンさんに話かけた。
「あなたがここのギルドマスターね。私はシルエル、見ての通り精霊よ。」
「おう、精霊さん。俺になんの用だ?」
ただ話しているだけなのに何故か冷や汗が止まらないドナンであった。
「この辺りで凄腕の鍛冶師はいるかしら?タツキの道具を新調したいのよ。」
シルエルの言葉にドナンさんは即答した。
「ここから北に行ったところに、カンドラっていう街がある。鍛冶と鉄工の街だな。そこにいるハリアンっていう男のとこに行くんだな。俺の知る限りあいつ以上の鍛冶師は知らねぇな。」
どうやら次の目的地は決まったようだ。ついでに依頼をいくつか受けて、それをこなして行きながらの旅になる。
フウナさん達と合流してさっそくカンドラに向かうのであった。
次の目的地が決まったようですね。次の場所ではどんな出会いが待っているのか………楽しみですね!!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!




