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28. ワイバーンの強襲

そこよ!今!剣を振るのよ!


彼完全にびびっちゃってるじゃない。大丈夫かしら……




空を見上げると、太陽が遮られ曇りの時のように辺りは薄暗くなっていた。

それ程までに増殖したワイバーン。

もはや一つの巨大な生き物のようになっていた。


「ふふふ、大量ね」

「やりがいがあるってものね!」

「アオン!(やってやる!)」


こっちの三匹はまるでテーマパークに来た子供のようにはしゃいでいた。


「くそっ!こんなのおかしいだろ!?」

文句を言うがもう遅い。


「さぁ、行くわよ!」

三匹がいっせいに突っ込んでいった。


ああ……始まってしまった。


雷がそこらじゅうで鳴り響き、ワイバーンの頭に直撃する。

またあるところでは、巨大な竜巻が発生し中でワイバーンをズタズタに切り裂いていた。


徐々にワイバーンは数を減らしていくが…………


「うわぁぁぁぁぁ!」

運良く攻撃に当たらなかった一匹が樹生に襲いかかった。


「ガァァァァ!!」


ワイバーンが巨大な口をこれでもかと開き襲いかかってくる。


「ちくしょう!これでも食らいやがれ!!」


空から襲いかかってきたワイバーンに向けて全力でオメガプロキシモを振った。


「てっ!うわぁ!」


間一髪、突っ込んできたワイバーンが上下に別れ助かった。


「なんつう切れ味だ………よ……」


切れていたのは目の前のワイバーンだけではなかった。

空にいた無数のワイバーンとはるか遠くにあった雲までもが一刀両断されていた。


その光景を見た瞬間、樹生は絶対にこの剣を手放さないと心に決めたのだった。それは身を守る意味もあるが……


「あの国がこの剣を手にしたら……」


想像しただけでゾッとしたが今はまだ問題無いだろう。

何故なら……


「いい運動になったわぁ……」

「ああスッとした!タツキ!ご飯食べましょう!」

「アオン!(お腹へった!)」



「ええ、少し休憩したらご飯にしましょうか」


最強の相棒達がいれば何の問題もないのだから。


「でも、怖いものは怖いんだけどね……」

やっぱり、慣れない樹生であった。





「さて………一旦帰る?」

緊張の糸が切れ、地面にへたりこんでいる樹生が提案した。


「その前にご飯よ。ワイバーンのお肉は絶品なんだから♪」

フウナさんの言葉にシルエルが目をキラキラさせながらコクコクと頷いていた。


「まぁ………いいんだけどさぁ、流石にワイバーンは捌けないよ。」


樹生がそういうと、流石のフウナさんも「むぅ……」と言っていた。


「タツキ……それって、あなたの腕の問題?それとも道具の問題?」

シルエルに問われ樹生は自分の包丁を出した。

「両方かな。そもそも俺はこの世界に来てまだそんなに立ってないんだ。元の世界にこんな怪物はいなかったからな。」

ワイバーンを指しながら言う


「ふむぅ……じゃあ道具の方は?」

「見ての通り、普通の包丁だよ。こんなんあいつらからしたら、オモチャもいいとこだよ」


実際コカトリスは捌けなかったし………」


「なら、当面の目標は決まったわね。」

フウナさんが立ち上がり、遠くを見ていた。


「タツキの調理道具と、この世界の知識を揃えることね。」


ドドドドドド………


「ちょうど、お迎えも来たようだしね。」


遠くから冒険者や兵士達が駆けつけてきた。


「帰りましょうか。」

「そうね。タツキ行きましょう!」

「アオン!(おなかへった!)」


まったく…‥‥人の気も知らないで…‥


「死にかけたってのに、何でだろうな…‥」

こんなにも清々しいなんて………


「さぁ!今日の晩御飯はワイバーンの肉よ!!」

「シルエル……だから捌けない………」

「アオン!(ワイバーン!」


はぁ……


ドナンさんに相談してみるか………





冒険者ギルド


「ギルドマスター!!!!」

偵察に行っていた、冒険者が戻ってきた。

「状況は!?」

ドナンは最悪を考えてい行動していた。元ベテラン冒険者の彼にとっても今の状況は最悪であった。

「そ、それが…一人のテイマーがワイバーンすべてを殲滅しました!!」


「テイマーが!?」

「おいおい、そんな奴ここにいたか?」

「少なくとも俺ぁ知らねぇな……」


偵察の言葉に冒険者達は疑いの声を向けた。

だが何人かは納得のいった表情をしていた。


「あいつらか!!やりやがったな!!」

「本当に!流石としか言いようがないわね!」

「ほっほっほ!精霊の気配も感じるのぅ」

「がッはッはッ!まぁいいじゃねぇか。こりゃ今日は宴かぁ?」

「……………ん、彼のご飯は美味しい」


漆黒の槍の面々


「まぁそのくらいはやってのけるわよね。」

「はっ!そのぐらいじゃねぇと潰しがいがねぇってもんだ!」

「流石……!!」


雷光の面々


フウナさん達を知るものは彼女達の勝利を信じて疑わなかった。


「よし!!お前ら宴の準備だ!英雄が帰ってくるぞ!」



「「「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」」」




樹生が帰ると冒険者や兵士達、街の人たちにもみくちゃにされた。

フウナさんは毅然としていたが、クウとシルエルは怯えながら樹生にくっついていた。


その日のイルドランは朝まで灯りが消えることはなかった。





フウナさん達の強さがよく分かる1日でした。さてさて樹生はこれからどう立ち回っていくのでしょうか?嘘はもう通用しなそうですが……

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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