16. 異世界転移はこうでなくては(泣
卵かぁ~
使い方は広いしどういう料理になるのかしら?
楽しみ~
「お前さんの話はグランから聞いたよ。ここのギルドマスターだ。よろしく頼む」
筋骨粒々、身長は2メートル近くのスキンヘッドのおっさんが握手を求めてきた。
「ど、どうも……九条樹生です」
「聞かない名だな。タツキでいいか?」
コクコク
「よし、ならタツキ。さっそく頼みがあるんだが……」
街の広場にて
「た、隊長……」
「くそっ!総員臆するな!」
警備兵達が槍を構えていた。
相対するのは………
「何ですか、人間ごときが私に勝てるとでも?」
毛を逆立て、威嚇するフウナさんの姿がそこにはあった。
「タツキはどこにいるのですか!タツキは……」
手を振ってあげる。
あっ……気づいた
「タツキ!ようやく見つけましたよ。さぁ帰りましょう。」
「どうしたんですか?そんなに急いで……」
様子がおかしい
「まさか……クウが!」
「早くしないと、肉がなくなっちゃうわ!」
·············
「はぁ?」
フウナさんの話を聞き終わる頃には俺もギルドマスターも呆れ顔になっていた。
「要約すると俺を探して街を徘徊してたら、通報されて今に至ると」
そりゃフウナさんみたいなのが徘徊してたら通報ぐらいされるわ!
「門番の報告からこいつはお前さんの従魔ってことがわかってなぁ。それもキングウルフと来たもんだ」
「……そうですね。従魔って言うより相棒みたいな感じですが。それよりも、ご迷惑をおかけししました。」
「おいおい、別に頭さげろなんて言ってねぇぞ」
タツキに対しギルドマスターはそう言うが、事実騒ぎを起こしてしまったのは事実である。
「………クゥ」
クウが心配そうに鞄から顔を出してきた。
「………はぁ、わかったよ。お前さんの謝罪を受け入れよう。だがその代わりひとつ話を聞いて貰いたい。まぁ拒否権はねぇけどな」
「ありがとうございます。助かります」
これでいいのだろう。出すぎた杭は打たれるものである。姿勢は低すぎるくらいがちょうどいい。
「タツキ……」
「フウナさん後で話をしましょう(笑」
「ええ、ごめんなさい」
別に怒ってはないが、フウナさんも思うところがあったのだろう。強大な力を持っているが傲慢ではないようだ。
「そう言うことだ。隊長さん、ご苦労」
ギルドマスターの一言で兵士達は騒ぎを収集し離れていった。
「さてと、タツキ!今日はもう帰れ。宿ならここに行くといい。安くはないが従魔も泊まれるぞ」
何から何までありがたいことである。
「ギルドマスターさん、ありがとうございます!明日もう一度伺います。」
ギルドマスターは手を振りながらさっていった。
「いい人だったなぁ……あ!名前聞くの忘れた」
明日聞けばいいか。
「………フウナさん」
「……はい」
「肉屋案内してください。いい肉売ってたんでしょ?」
しばらく呆然としていたが、嬉しそうに尻尾を振りながら歩き始めた。
(フウナさんは悪いことはしてないからな。まぁ学びの一つとして頭にいれとこう)
その後フウナさんが気に入った肉屋に行きいくつかの肉を購入し、すすめられた宿へむかうのだった。
残りの額は金貨一枚と銀貨六枚であった。
「いらっしゃいませ!」
眠りの羊亭という宿に来ていた。
「相棒と一緒に泊まれると聞いて来ました」
「そちらの……グレートウルフとその子供……ひっ…」
フウナさんとクウがキッと受付の女の子を睨んでいた。
「ははっ……まぁそうですね。そう言う感じです。」
二人が伝説の生き物って知られたら面倒でしょうが!
だから、落ち着いて……ああ、もう睨むな。
「大丈夫ですよ。とりあえず、1ヶ月位は滞在しようと思うんですけど」
にこやかに言うと女の子は慌てながらも計算を始めた。
「えっと…1日で銅貨五枚だから、それが30日だから銅貨150枚……だから銀貨で15枚…金貨1枚と銀貨5枚になります!」
ということで残りのお金が細かいのが少しとなった。
「これが部屋の鍵になります。ごゆっくりどうぞ!」
部屋はかなり広く、フウナさんとクウが入っても余裕のあるものだった。
「……明日からお金稼がないとなぁ……」
部屋の広さに感動したのもつかの間、すぐに現実を考えた。
「とりあえず明日はギルドマスターに会いに行くぞ。その後何かしらの依頼を受けよう」
「わかったわ。とりあえず……ご飯にしましょう?もうお腹が減って……」
力が出ないとか言うんじゃないだろうなぁ……
「……わかりました。とりあえず少し待っててください。」
樹生はそう言うとホワイトマーケットを操作し必要な材料を用意した。
ついにお金が底をつきかけ始めた樹生。彼はこれから先のことを心配しているようだが、果たして……
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!