15. お茶の嗜み
ふふっ………
ガチムチに抱きしめられて……意識を………
ふふっ……だめっ!面白すぎる!あははは!
なんだろう……凄く笑われてる気がするなぁ。そんなことを考えたがら九条樹生は目を覚ました。
「気がつきましたか?」
「さっきの……」
うさみみ受付嬢がいた。
「まさか、泡を吹きながら倒れるとは……グランさん相当慌ててましたよ。」
「ご迷惑をかけました。体があまり強くないほうでして。」
「そうでしたか。とりあえずゆっくりしていてください。」
目の前に置かれたお茶を一口。
「美味しい!」
苦味の中に深い旨味があり、後から優しい甘みを感じられる。
断言できる。今まで飲んだお茶で一番美味い。
「あなた、お茶の美味しさがわかるんですか!?」
目が怪しく光始めた。
「そうなんです。この茶葉ドルネア産のものでして、春から夏の間に一つ一つ丁寧に摘まれたものでして、ゆっくり時間をかけて作られたこれは長期保存に向かないんです。しかもドルネアはかなり遠いところで時間停止のアイテムバックパックがないと輸送ができず、届く頃には10倍以上値が上がってしまうんです。それに最近貴族どもがこぞって茶葉を買い占めてるんです。そのせいでなかなかてに入りにくくなって………」
押しちゃいけないスイッチ押したなぁ……
「そんな高い物をどうして俺に?」
話をきいて純粋に思ったことだ。
「え?ああ、それはたまたまお茶を淹れていたので。」
とぷとぷとおかわりを入れてくれた。
「ゆっくりしていてください。今ギルドマスターを呼んで来ますから。」
ニコッと笑いうさみみ美女は出ていった。
「············美味」
後で茶葉を必ず買うと決めた瞬間であった。
side~フウナ
「······················」
タツキがいない。この辺りで別れたはず。
「そこの人間」
「ひいっ!?」
「あっ!ちょっと……」
こんな感じで、フウナさんは街の真ん中で立ち往生していた。
(匂いをたどれば見つかるかしら?)
聞いても怯え逃げられるため、地道に樹生を探すことにした……
「あらあら、このお肉ブルーオークじゃない!めったに見れないのに美味しいのよねアレ。」
「ガタガタ……」
「これはサンダーバードかしら?珍しいものばかりね。」
「………あっ、あの……お客……様?」
普通に徘徊しており、今は肉屋に目をつけていた。
「あなたが店番かしら?」
コクコク!
「そう……お肉残しといてちょうだい。後で買いに来るわ。」
振り返り、去っていくフウナさん。
後ろでは厳つい店主が腰を抜かして震えていた。
………後に伝説の肉屋と呼ばれるのはまた別のお話。
フウナさん……やらかしそうですねぇ。
樹生の今後が少し心配になってきました。面倒を押し付けられなければいいのですが……
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!