14. 安堵と驚きと再会と
彼は無意識なのかしら?
まぁでもなんだかんだしっかりしてるし大丈夫だと思うけど……
ツーン
「あの……俺なんかやっちゃいました?」
どうも!どうやらやらかしてしまった九条樹生です!
てか、フウナさんが話してくれないんだけど!
「………従魔」
?
「………そういうのは嫌なのよ。何か壁があるみたいで……」
「……ぷぷ」
なるほど……そういう……
「なっ!笑う必要ないじゃない!」
「ごめん、ごめん。伝説の生き物も寂しいか!」
「…………………」
少しいじりすぎたかな……
「クウ!」
クウにも注意を受けてしまった。
脇腹をテシテシと叩かれていた。
「まぁ、俺も従魔とは思ってませんから。どちらかと言うと親友……かな……」
「……………」
フウナさんとクウとこうして歩いていることに心が踊っている自分がいた。
………しかし、イルドラン。こうしてみるとすごく発展した街だとわかる。
様々な露店があるところを見るとここは商店街なのだろう。飲食店に道具屋、武器屋に……占いの館みたいなのもある。
「いい街ですね。………と、あれがギルドですね」
漆黒の槍の方々がいるはずのギルドが見えてきた。
「クァァ……zzz」
「寝ちゃいましたね」
飽きてしまったのだろう。
「寝る子は育つわ。でも運動もしないとだし……タツキ、少し運動してくるわ。」
ひょっいっとクウを咥え、フウナさんはもと来た道を戻ろうとし……
「夜は卵がいいわ。」
そう言い残し風の如く去っていった。
「自由なことで」
そう言いつつも、とりあえずめんつゆを購入した樹生であった。
「冒険者ギルド、イルドラン支部へようこそ!」
ピコピコと動くウサギ耳。
幼くも可憐な顔立ち
「わぁお……ビューティフォ……」
目の前にうさみみ美女がいることに脳がバグって謎の汁が出ているのを感じながら、口が勝手に動いた。
「あのぉ……大丈夫ですか?……ちょっと……」
「はっ!……すいません。少し感動してしまいまして…」
あぶねぇ、飛びかけたぜぇ…こいつぁ危険だぁ……
もう何かの病気だろう。
「………そうでしたか。それで今回はどのようなご用件で?」
「そうでしたね。今回はある人たちを探してまして。漆黒の槍というパーティーなんですけど……」
「それだったら、俺達だぜ兄ちゃん……」
久しぶりに聞いた声に振り返ると
「おい、あんた……」
口を開けて呆然とするグランさんがいた。
「久しぶりです。グランさん!元気に……」
「無事だったかああ!」
「ぐげぇ!」
猛烈なハグを受け変な声が出てしまった。
苦しいが、嫌な感じはしなかった。
その証拠に……何だか意識が……少しずつ……
無事再開!と言うわけには行きませんでしたね。どうやら異世界のハグは中々に強烈だったようです。さてさてイルドランでは何が起きるのでしょうか?
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!