13. 従魔
ちんじゃお……ろーす?聞いたことない言葉ね。いったいどんな味がするのかしら? うーん、食べて見たいなぁ………
「そろそろかな」
俺は器具を洗いながら、検問の列をみた。
「ふぁあ……タツキ、まだですか?」
親子揃ってあくびをしながら昼寝の準備をしようとしていた。
「そうですね……そろそろ行きましょうか」
のそりのそりと門に向かう。
……何故か一抹の不安を俺は感じていた。
「貴様!どういうつもりだ!」
そりゃそうですよね!
「だってお前"伝説"だもんな!」
門番に槍を向けられ、
近くの冒険者は臨戦態勢に、
市民は怯えた顔で震えていた。
「私が何をしたと言うのですか……」
「フウナさん、しょげてる場合じゃないですよ…」
………少し時間はさかのぼる
「フウナさんはこの街には来たことがあるんですか?」
「そうねぇ。遠くから見たことがあるくらいかしら。中に入ったことはないわよ」
そう言いながら列に近づいていく。
「うん?何か騒がしいな……」
後列がなにやら騒がしい。
魔物でも出たのか?
「フウナさん、何か嫌な予感が……」
「こいつのことかしら?」
……oh、Jesus…
「クソッ……」
フウナさんの足元には剣を握った人間が踏みつけられていた。
「リーダー!」
「このやろう!」
前から弓を持った……女の人と、ガントレットをはめた女の人が走りながら向かってきた。
「死ねえぇぇ!」
ブンッと風を切りながら強烈なストレートがフウナさんの顔にめり込む………
ことはなく、華麗にかわされ、もふっと吹っ飛ばされていた。
「あらあら……タツキ、クウのことを見ててちょうだい。」
フウナさんは二人とにらみ合ッていた。
「……くそっ!」
「早く応援を!」
そんなこんなで今に至る。
「あのぉ……」
「貴様!こんなことをしてただですむと思うなよ!」
頭に血がのぼりきってらっしゃる
「申し訳ないです。私達はある人達に会いに来ただけでして………フウナさん、足元の人解放してあげてください。」
「……いいのかしら?この人間、あなたのことを殺そうとしたのよ」
えっ!いつ!
「ま、まぁ……大丈夫ですよね?」
頭を踏まれ続けたためか、立ち上がるのが辛そうであった。
「あの……大丈夫ですか?」
「!!触るな!」
ばっと距離を取られた。
何か悲しい……
「あの……門番さん、迷惑かけてしまって申し訳ありません。実は人を探すためにこの街によったんです。漆黒の槍っていうパーティーはいますか?」
なるべく早く撤退した方がいいと判断し、要点だけを伝えた。
「あいつらか。ギルドに行けばいると思うが…」
門番はフウナさんを見ながら俺に話しかけてきた。
「あの魔物は何だ?お前の従魔か?」
従魔か……
「はい。キングウルフ……の変異種です。」
「……そうか。こっちこそすまなかったな。何せ"雷光"が踏みつけられてたんでね」
あっ……雷光さんって言うんだ。
「まぁ、お前さんも……悪人ではないようだしな。だがこの街で問題を起こしてみろ。その時はただじゃ置かないからな。」
何かを忘れている気がするが……
「まあ、どうでもいいか!」
後ろから鋭い眼光で睨み付けられているのに気づかなかった。
オークということで、味の強めな中華にしてみました。どうやら不味いということは無かったようで安心ですね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!