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受付嬢に討伐部位と薬草をまとめた袋と報酬の金を入れる袋を渡す。
「はい。数はちょうどですね。報酬が三百五十リカですね。」
「ああ。」
討伐部位等が入っていた袋と金が入った袋を受け取る。これでここに用はない。はやく宿に戻るとしよう。
視点変更──
相変わらず不愛想な人。まぁこっちとしては変に絡んでこないし助かるんだけど。彼は一ヶ月前にこの街に来た傭兵崩れらしい。正直傭兵崩れはいろいろ問題があって追放された奴だったりとか敗走して団を立て直すためにリストラされた奴だったりと碌な奴がいない。冒険者は冒険者で素行が悪い奴もいるが傭兵はそれ以上にたちが悪いのよね。まぁたまに礼儀がなってる奴もいるから一概には言えないけど。彼はそれなりに礼儀がなってる方だったので助かるわ。
それに冒険者登録する際に絶対神ヌムイ様から認められた実力、つまり技能をここにいる冒険者よりも多く持っていたことがわかっている。はやくランクを上げて下っ端がやるような依頼じゃなくて身丈にあった依頼をこなしてほしいものよ。そうすればこの街に危険がある確率は低くなるでしょうし、南にある未開の森を調査しその益をこの街の物に・・・おっと、手が止まってたわ。まったく。こいつらはこんな時間じゃなくてもう少し早く帰ってきなさいよ!こっちだってはやく作業を済ませて帰りたいのにいい!
──視点変更
泊まっている宿の扉を開ける。客が来たことを知らせるためかベルのようなものがチリンチリンと鳴った。
「おう、あんたか。夕飯はどうする?今食わないともう出せなくなっちまうぜ。」
「ああ、今頂こう。」
「あいよ、ちと座って待ってろ。」
主人は厨房に向かった。トマトの匂いがする。まぁスープとパンのセットだろう。近くにあった椅子に腰かけ少し待つ。
「たまたま残ってたから、これも追加しとくぜ。食えるだろ?」
そう言われて出されたのはトマトベースの穀物スープとロールパンが三個。そして鶏系の害獣の香草焼きだ。随分と豪華な夕飯だ。
「いいのか?」
「ああ。その鶏、もう少しで痛むところだったんでな。まぁ一月ずっと泊まってくれてるサービスだと思ってくれ。」
「そうか。なら頂こう。」
思わぬ幸運だ。しっかりと味を噛み締める。あっという間に平らげてしまった。
「ご馳走様。美味かった。」
「おう。」
部屋に戻る。腹がこなれてから体を拭くとしよう。今は少しきつい。だが何もしないというのも暇なもので、結局体を拭いた。今日使ったナイフも磨いておく。さて、明日のために寝るとしよう。あの情景が夢に出るとわかっていても・・・。