第十四節 『奴隷』
イリスの扱う商品には、ほぼ制限がない。
人身を除けば、あらゆる物品の調達を請け負うことにしている。
遠方の契約農家から仕入れた食材を商店に卸すというオーソドックスな仲買から、闇市に流れた盗品を買い戻してほしいというようなニッチな依頼に至るまで、利益になるのであれば何でも商った。
「それに、治安の悪い非市民区で、確実に商品を届けることができるのもうちの強みさ。ここじゃ途中で追い剥ぎに遭ったり、業者の人間がとんずらすることだってざらだからね。時間と体力を持て余した悪ガキどもに配送と護衛を任せたのは、我ながら良い考えだったと思ってるよ」
「悪ガキってんならそれこそ商品や代金を持ち逃げしたりってことはないのか?」
「下の弟……あんたには間抜けなチンピラに見えたかもしれないけど、あれでなかなか面倒見が良くてね。仲間からはそれなりに慕われてんのさ。こんなド底辺で生まれ育てば、荒み切っちまうような奴も珍しくはないけど、少なくとも今のところ、うちで働いてくれてる子が不義理を働いたことは一度もないね」
ミツキは垂れ目のチンピラを少しだけ見直した。
「それより、オレらは今どこへ向かってるんだ? 市場から大分外れたが……」
ミツキは既に生活必需品と家財道具、衣類の注文を済ませていた。
イリスに案内され連れて行かれたこの街最大の市場は、バラックが立ち並び細い通路の上まで薄い板で覆われた、まるで薄暗い迷路のような場所だった。
しかも、非市民区に入った当初からは想像もつかない程人に溢れており、人いきれに目眩を覚えたほどだ。
物乞いや客引きをやり過ごしつつ商店街を奥へと進み、イリスお墨付きの商店で目的の品を仕入れた。
ただし、衣服については自分用のものを二セット買うに留めた。
サクヤはともかくとして、女性としては規格外に長身のトリヴィアと、体型からして人間離れしているオメガに合う服はない。
一度戻って採寸したうえ、後日あらためて特注することにした。
それにしてもと、ミツキは思う。
イリスに出会えたのは極めて幸運だった。
ミツキだけでは、仮に市場に辿り着けたとしても、どの店で仕入れたらよいのかなど判断できなかったはずだ。
しかも、この街の住人は極端に排他的で用心深い。
彼女の紹介無しでは、ものを売ってもらうことさえ難しかったかもしれなかった。
相場の三倍以上の仲介料に加え、荷物の配送料も上乗せしたと彼女は言うが、得体の知れない自分のような人間と取引するリスクを思えば、必ずしも高くはないだろうとミツキは考えている。
「ここいらは職人の工房が軒を連ねる産業地区さ。武器に関しては、私よりもあんたの方が詳しいと思ってね。作り手に直接要望を伝えな」
先程までの喧騒が嘘のように、街並みには人影がない。
ただし、鉄を打つ音や何かの水音が建物の中から響き、そこら中に煙が立ち込めているため、確かな人の営みが感じられた。
「ここだよ」
そう言ってイリスが足を止めたのは、周囲の建物と比べてもひと際小さな平屋建ての扉の前だった。
ノックもなしにドアを開け屋内へと入ったイリスに続くと、強烈な熱気に加え、鉄と油の臭いがミツキに纏わりついた。
「おっちゃん! お客を連れて来たよ!」
機材や工具、何かの素材を入れた箱に作り掛けの鉄器などが雑多に積まれ、窓からの明かりが遮られた屋内はひどく薄暗い。
イリスが声を掛けた方向に目を凝らすと、暗がりの中で単調に体を揺らす男の背中が視認できた。
何かを擦るような音が聞こえてくることから、おそらく刃物を研いでいるのだろう。
「ちょっと! 聞こえないのかい!」
イリスが再度声を掛けると、男は首だけで振り向き、ふたりに鋭い視線を向けた。
老齢にも若年にも見える顔立ちだが、皮膚のシミや弛み具合、白髪頭から五十代ぐらいだろうとミツキは推測した。
髪は短髪で痩せ型。
麻のような生地でできた薄緑色のツナギを着て、丸眼鏡をかけている。
座ったまま振り向いた姿勢でミツキらを睨み付ける男は、いかにも頑固な職人と言った風貌だ。
イリスは小さく肩を竦めると、ミツキに視線を向ける。
「話を聞いてくれるってさ」
そう言われ、どう話を切り出したものか一瞬迷うが、あまり会話を好みそうな相手でもないので、単刀直入に用件だけを伝えることにした。
「鍛造の剣を一振りと、できるだけ大きな長物か大きめの剣が欲しい。それと四人分の防具の製作も依頼したい」
武器については、サクヤとオメガに必要かわからなかったので、とりあえず自分とトリヴィアの分だけ買うことにした。
防具は服と同様、採寸した後にオーダーするのが無難だろうと考えた。
「剣ならそこの壁際にある。好きなのを選んで金を置いていけ」
職人はぼそりと呟くと、作業を再開した。
言われた通り、壁際に吊るされている武器を手に取る。
鈍く光る剣身をひと通り観察すると、元の場所へ戻し、職人に声を掛けた。
「おい、おっさん。オレをバカにしてんのか? じゃなけりゃ、あんたの耳がバカなのか?」
職人の動きがぴたりと止まる。
「……なんだと小僧」
「オレは〝鍛造の剣〟が欲しいって言ったよな? ここの武器はどれも鋳造品じゃねえか。もしかして鍛造の武器を作れないから、鋳造品を鍛造と偽って売りつけようとしたのか? だとしたら余所を当たることにするよ。ヘボ職人の作った武器に命を預けられるほど無謀じゃないんでな」
職人は、今度は体ごとミツキの方へ振り返った。
「大した目利きだなボウズ。なぜ、それを鋳造品だと判断した?」
ミツキは再び剣を取ると、剣身の根本付近を指差した。
「ここに〝ス〟ができている。鋳造品にしてもちょっと仕事が雑だな」
〝ス〟とは鋳造した金属にできる小さな気泡の穴のことだ。
鋳造品は大量生産が可能だが、程度の差こそあれ必ず〝ス〟ができるため、圧を加えて作られる鍛造品に比べると強度で劣る。
「やりにくい客を連れてきやがって」
職人は小さくボヤいてから立ち上がった。
「言っとくが、そりゃ手ぇ抜いて作ったもんだ。この街のゴロツキどもが使う武器なんざ、わざわざ質を高くする意味がねえからな。むしろ、そこそこのもんにしとけば、定期的に新調しに来るから儲けられるのよ」
「そうかい。でもオレはこの街のゴロツキじゃあない。だからあんたの武器は必要ない。悪いがイリス、別んとこを紹介してくれ」
「待て待て! モノの良し悪しがわかるってんならこっちだって手を抜いたりはしねえよ! それに、そこまで品質にこだわるからには使う当てがあるってことだよな。だったらオレに作らせな。北区でオレ以上の腕の職人はいねえ。後悔はさせねえよ」
そう言うと職人は、作業場の奥から一振りの直刀を持ち出し、ミツキに差し出した。
鞘を払うと、先に見せられた鋳造品とは明らかに違う出来栄えなのがわかった。
「まともなのもあるじゃないか」
「そいつが上客用の見本だ。任せてもらえるかい?」
ミツキは職人の顔を数秒程見つめると、口元だけで笑顔を作り手を差し出した。
革手袋を外してミツキの手を握り返した職人の手は石のように硬かった。
「本当に通れちまったよ。便利なもんだね」
非市民区の関所を通過したところで、イリスはミツキの手の中にある通行許可証を覗き込みながら感嘆の声をあげた。
陽が落ちかけ、周囲は茜色に染まっている。
「市民区への立ち入りには使えないから、オレ以外が持っていてもあまり意味はないけどな」
そう言うと、書類を筒状に巻いて袖の内に仕舞う。
ミツキの背後には、食料や生活用品を載せた荷車が待機していた。
結局、仕入れだけで一日を費やしてしまったが、必用なものはだいたい手に入ったのに加え、商人に伝手ができたのは大きな収穫だった。
「さてと、それじゃそろそろ行くか。えっと、上り坂で距離もそこそこあるけど、よろしくな?」
そうミツキが声を掛けたのは、ボロスの手下の悪童たちだった。
購入した商品の内、早めに必要と判断した物資を運ぶため、イリスが招集したのだ。
既に、荷車を動かす準備に取り掛かっていた若者たちは、ミツキに声を掛けられビクリと身を竦ませた。
「う、うっす!」
威勢の良い返事とは裏腹に、皆腰が引けている。
数人に怪我を負わせたため、ミツキは恨みを買うことを危惧していたが、リアクションから判断するに恨まれるよりも畏れられているようだった。
喧嘩慣れした腕自慢が、頭数を揃え武器まで持って丸腰の相手を囲みながら、ことごとく返り討ちにされたのだから、無理もなかった。
「しかし、人力車か……馬ぐらい用意できないのか?」
「いいんだよ。この子らは体力だけが取り柄なんだから。馬なんて置いとく厩舎はここいらに無いし、餌代だって馬鹿にならないだろ? それに、貧民街の狭くて舗装もされていない道じゃあ、馬車より小回りの利く人力の荷車の方が勝手はいいのさ」
イリスの言い分には納得させられないでもなかったが、同時に経費削減のための方便のようにも聞こえた。
まあ、運ぶのは自分じゃないし、別にいいかとミツキは思う。
「今日は付き合ってもらって助かった。あんたに案内してもらわなきゃ、こうもスムーズに仕入れることはできなかったよ」
「別に、礼なんて必要ないよ。規格外の仲介料金と運搬費でこっちも得してるんだから、持ちつ持たれつさ」
「そう言ってもらえると助かる。一両日中にまた訪ねるから、その時にオレが一緒じゃなくても使える通行証を持っていく。今後食料を届けてもらうのに、いちいちオレが同行しなきゃ通れないんじゃ、お互い不便だからな」
「服と防具の採寸も忘れないようにね。こっちも用意できるもんは次までにできるだけ揃えておくよ」
「ああ。それじゃあ、今後ともよろしくなイリス」
そう言って差し出されたミツキの手を見て、イリスは少しの間口を噤み思案顔になった。
どうかしたのかと、ミツキが訪ねる前に、イリスがどこかためらいがちに口を開いた。
「あのさ、最後にひとつだけ聞いてもいいかい? 答えにくいようなら、無理に答えなくてもいいからさ」
イリスの言い回しに、ミツキはわずかに怪訝な表情を浮かべる。
「別にいいけど、なに?」
「三二五――」
イリスが呟いた数字に、ミツキは息を呑んだ。
レミリスがミツキを呼ぶ際、口にした番号だ。
おそらく、召喚者を管理するためのIDナンバーのようなものなのだろうとミツキは推測していたのだが、なぜ彼女がそれを知っているのか。
「――ってなに?」
「……なにって、あんたこそなぜその数字を知っている?」
ミツキの動揺に、今度はイリスの方が訝しむ。
「そりゃ、顔に書いてあるからさ」
「え?」
「ほら、左目の下だよ。それ彫り物かい?」
「あ、ああ! これね。まあ、そうだよ。なかなか洒落てるだろ?」
咄嗟に答えながら、ミツキは心の中で納得していた。
これは数字だったのか。
そりゃ番号で呼ばれても仕方がない。
というか、この国の言葉はペラペラなのに、文字については数字すら読めないとはどういうことなのか。
「なんだか、今初めて知ったような態度だね」
「いや、そんなこと……」
反射的に誤魔化そうとしたが、商人相手に数字を読めないのを隠し通すのは難しいだろうと考え、白状することにした。
「……ない、こともない。実はこの数字は読めないんだ。ある程度、算術の心得はあるんだが、この国の文字全般、まったく読み書きができない」
「異国の人間ってことかい?」
「まあ、そんなとこ」
「少し変わった顔立ちだとは思っていたけど、そういうことね」
そう言って、なおもミツキの目の下の数字を見つめ、イリスは考え込む。
顔を凝視され、ミツキは居心地が悪くなる。
「〝自由と平等の国〟ってのがこのティファニアの国是なのは知ってるかい?」
「え? あ……」
唐突に問われ、一瞬、意味を測りかねたが、以前レミリスに国名を訪ねた際、そのようなことを言われたのを思い出す。
ミツキの視線は無意識のうちに非市民区の方へ向けられていた。
市民区に対する知識はほぼ無いに等しいが、北門の奥へ続く小綺麗な石畳を見ただけでも、このスラムとの格差は歴然だ。
それに、同じ都市でありながら、階級の異なる居住域で通貨制度まで分けているという国の方針には、断固とした差別意識を感じずにはいられない。
〝自由と平等の国〟が国是、などと言われても、皮肉としか思えなかった。
「笑っちまうだろ? でも、一応そう言い張るだけの理由はあるのさ。なんだと思う?」
「いや、ちょっと想像もつかないかな」
「奴隷の所持を禁じているのさ」
おもわず、身を固くした。
まともな倫理観を備えた現代人であれば、その言葉を聞いただけでも忌避感を抱きそうなものだが、文明レベルが近代以前に見えるこの世界では、奴隷の存在など当たり前なのかもしれなかった。
「昔は他国と戦争をして、相手の国から連れてきた人間を奴隷にしていたみたいだけど、この国は軽く百年以上は戦をしていない。当然、奴隷は消耗され減っていった。で、先代の王様の治世に、遠方の副王領で現地民族による大規模な反乱が起きたんだけど、その原因が貴族と結託した商人たちによる国内僻地の民族を標的にした人間狩りだったのさ。つまり、減る一方の奴隷に商機を見出した商人が貴族を巻き込んで、特定の民族の集落を襲って奴隷を調達していたわけ。狩られる側の民族は、当然のごとく反攻して、火種は副王領全体に飛び火した。結局、反乱を鎮圧するため、王国軍が出張ることになり、血みどろの内乱を繰り広げた挙句、副王領を支配していた複数の有力貴族と商人らが吊るされて幕を閉じたんだよ」
「それは、何というか……」
コメントに窮するほど重い話だった。
とりあえず、〝副王領〟という聞きなれない単語は、おそらく〝県〟や〝州〟のようなものだろうとミツキは解釈した。
「話には続きがあってね。事件をきっかけに、王様ら中央のお偉方は、副王領の領国経営を調査するため、各副王領に対し秘密裏に巡察使を派遣したのさ。すると、二十四副王領の内、半分近くの十一もの地域で同じような行為が行われていたのが判明したんだよ。地方の権力者の専横を止めると同時に、これ以上の反乱を起こさないため、国王は奴隷制の廃止を宣言。大陸南部諸国連合ではじめて奴隷を持たない国となったティファニアは、〝自由と平等の国〟を謳うようになったってわけ」
それは、裏を返せば他国では奴隷制が当然ということではないのか。
ミツキの顔が嫌悪に歪む。
しかし、己の居た世界でも、先進国が奴隷を法で禁じてから二百年程しか経っていない。
そう考えれば、むしろ当然なのかもしれなかった。
そこまで考えてから、待てよと思い至る。
他人事のように聞いていたが、そもそも今の自分こそ奴隷そのものではないのか。
そしてようやく気付いた。
イリスはミツキが奴隷だと考えているのではないか。
異国の人間で顔に識別番号を印字されている。
上流の人間しか持ちえない金額を所有しながら、身形はみすぼらしい。
よくよく考えれば、むしろそう推測しない方が不自然だと言えた。
「もう一度言うけど、今、この国では奴隷の所持がかたく禁じられてる。それは貴族階級だって例外じゃないのさ。実際、過去には上位貴族が奴隷の所持を理由に爵位をはく奪されたことがあるぐらいだからね」
「何が言いたいんだ?」
「つまり、この都のどこかに、密かに奴隷を所持している権力者がいたとして、うまく立ち回りさえすればそいつを裁いて奴隷を開放することも不可能じゃあない。例えばさっきの通行許可証にはルヴィンザッハ家の印章が押されていた。ルヴィンザッハと言えば大分落ち目ではあるけど武家としては指折りの名家さ。でも、奴隷を所持しているという情報を対立する貴族にでも与えれば、司法機関による調査の手がルヴィンザッハの屋敷に入る可能性はおおいにある。付け加えると、私の扱う商品には〝情報〟も含まれる。その商品を高く買ってくれる人物に、売り込むってこともできるわけさね」
ミツキはイリスの言葉を心の中で吟味した。
この女商人はミツキが国で禁止されている奴隷だと断定したうえで、解放されるための手立てを提示してみせたのだ。
報酬を当てにしてかと考え、すぐに否定する。
ミツキの手持ちの銀貨すべてよりも、継続的な取引の方がよほど稼ぎになるのではないか。
まして彼女は、ミツキを囲っている相手が貴族と想定しているらしい。
下町の商人風情からしてみれば、圧倒的な権力者の罪を暴く片棒を担ぐというのは、報復等の並みならぬリスクを負うことにもなるはずだ。
そう考えると、メリットよりデメリットの方が圧倒的に大きいだろう。
つまり、とミツキは結論付けた。
この提案は単純に、善意からの申し出ではなかろうか。
そもそも、商才のある人間が、血縁者である弟らはともかく、その仲間の悪童らの面倒まで見ているのはなぜか。
貧民街で職もなく犯罪にでも手を染めねば飢えるばかりの子どもたちを放っておけないからではないのか。
「お人好しめ」
「なんだって?」
「気遣いはありがたいが、これはオレの問題だ。余計な手出しはするな」
イリスは眉根を寄せミツキの顔をしばらく見つめると、大袈裟にため息をついた。
「わかったよ。商人は商人らしくモノだけ売ることにするさ。何か入用の際は、遠慮なく言いな」
そう言って、イリスはミツキに背を向けると、非市民区へと歩き出した。
荷車を引く悪童を連れ城壁の方へ歩き出したミツキは、同じ境遇のトリヴィアとサクヤを除けば、はじめて自分に差し出された手を拒絶した後ろめたさに肩を落としていた。
自分の置かれた状況をほぼ正確に言い当てたうえ、自ら助力まで申し出たイリスには感謝しかない。
しかし、彼女はひとつ大きな勘違いをしていた。
自分を虜にしているのは、いち貴族などではない。
数百を超える異界の者たちを監禁するため監獄を空けたうえ、闘技場のような巨大な施設で魔獣と戦わせるなど、個人の資産と権限では到底実現できまい。
そこから導き出される答えは、自分たちの所有者はこの国の軍、あるいは国家そのものだろうということだった。
そんな状況で戦奴の自分が生き延び、さらには自由を手にするにはどうすればよいのか。
働きを認められ身を立てるか、呪いをどうにかして逃亡するか、いずれにせよ力を付けなければ話にもならないはずだ。
だから、早く夜になれ、とミツキは思う。
他に当てがない以上、サクヤに与えられた〝神通〟とやらを一刻も早くものにしなければならないのだ。
逸る気持ちを抑えるため、ミツキは胸に掌を当て、深く息を吐くのだった。




