表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

0 プロローグ

琳太です。

初めての方、初めまして。

アルファでご存知の方、「〝神様に〜〟が亀更新なのに!」とお怒りにならず、こちらもよろしくお願いします。

向こうが行き詰まった時にこっちに手をつけるので、こっちも亀更新かもしれません。


〝物心がつく〟とよく言います。明確な自我の確立というなら僕の場合は、三歳の誕生日ごろだと言えるでしょう。

 だけど〝それ以前の記憶がない〟というわけではありません。思い出せる限りで一番古い記憶は母さんのお腹の中ですね。

 以降もだいたい二歳近くまでの断片的な記憶があります。何もかも覚えているわけではありませんよ。

 で、一番古い記憶の内容ですが、多分テンション高くてうっとおしいくらい騒がしいのが父さんで、おっとり優しげな声が母さんだと思うのですよ。

 温かい温もりの中でまどろんでいると、ブルブルと振動として伝わる声。その時は何を言っているのかよくわからなかったけど、その後何度も同じ言葉を繰り返したので、『ああ、そう言ってたのか』って理解しました。


「父さんだぞ〜! 聞こえるか〜!」

「もう、シュウってば、お腹に口をひっつけないで。くすぐったいわ」


 人が寝てるのにうるさい人ですね。やめてくださいよ。


「おお、蹴ってきたぞ! この蹴り具合、格闘も視野にれた戦闘スタイルが向いているか? よし父さんが蹴り技を伝授してやろう」

「シュウったら、女の子かもしれないでしょう?」

「いやリリィ! この足使い間違いなく男の子だ」


 あ〜もう好きにしてよ。僕は寝るからね。


 時々似たような会話が響いてきました。

 そしてしばらくたったある日、身体がぎゅっと締め付けられ、苦しくてもがこうにも動くこともできなくなって。


 苦しいよ、助けて……母さん、父さん!


 声にならない叫びをあげた途端、突然苦しさから解放され、思わず大声で泣いちゃいました。


「ホギャァ、ホギャァァ……」

「リリィ、リリィよくやった。男の子だ、元気な息子だ」

「……シュウ。見せて、お願い」


 あったかいところから寒いところに放り出され、僕は大泣きしました。だけどすぐに何かに(くる)まれ母さんのあったかい腕に抱きしめられて、揺らされながらトントンとお尻を叩かれると、気持ちよくって安心して眠っちゃった。


 それからもだいたいはぼやけてるんですが、ちょくちょく意識が鮮明になる時がありました。


「あら、リュウガ。目が覚めちゃった?」

「どうしたリュウガ、抱っこか? よし、父さんが抱っこしてやろう」


 いや、父さん扱い乱暴だから、母さんの方がいいです。


「ホギャァ、ホギャァァ……」

「もう、シュウったら」

「ありゃ、オムツか? それともお腹が空いたのか? むう、おっぱいは母さんしか出ないぞ」


 そんな風に親子三人で過ごしていた。


 意識を保てる機会が増えてきたのは一歳を過ぎた頃ですか。

 あったかくて、うるさくて、でも穏やかで、時にせわしなくてそんな日々が普通と違っていたことにもなんら疑問もなく過ぎていきます。今ならおかしいとわかるけど。


 僕たち三人は一所にとどまらず、常に旅を続けていたようです。時々村や町によることはあっても、長居はせず、1週間もすれば次の町に向かって移動。〝家〟と呼んでいたのは馬車だったように思います。


 家族三人といっても、馬車を引くグレイトホースのほか、父さんの従魔のグリフォン(ロキ)や、母さんの従魔のシルバーウルフ(アイリス)もいた。

 アイリスは父さんたちが留守の間、僕のお守りもしてくれてました。僕の乳母といっても過言ではありません。あ、お乳は流石に頂いてませんよ。

 もふもふのお腹にもたれ、ふかふかの尻尾にくるまってお昼寝するのは気持ちい良いのです。



 

 けれど家族の幸せな日々は二歳の誕生日を迎えようとする頃、唐突に終わりを告げました。

 何が起こったのか、僕にはわかりません。でも父さんと母さんの顔は不安と焦燥感に歪んでいたことをはっきりと覚えています。


「お願い、アイリス。リュウガを連れて逃げて」

「アイリス、リュウガを守ってくれ」

「とーたん、かーたん」


 僕が母さんに両手を伸ばすと、母さんは僕を抱きしめ何かをつぶやいたあと額にキスをしました。

 そして父さんの方に向けて抱き直すと、父さんは自分の指を噛んで血で僕の両手に何かを描きました。

 左手の甲に父さん、右手の甲に母さんがキスをすると、手の甲がまうしく光り熱を持った。


「リョウガ、父さんと母さんはいつもお前と一緒だ」

「愛してるわ、リョウガ」


 そういって僕を抱きしめる母さんと、母さんごと父さんがぎゅうっと抱きしめた。

 そのあと母さんが僕を籠の中に寝かせ、僕の頬を撫でてから籠の持ち手をアイリスに咥えさせました。僕が覚えているのはそこまでです。きっと母さんが眠りの魔法か何かをかけたのかも、と思います。


 次に僕が目を覚ました時は、見慣れない木の根元に継ぎ接ぎだらけのクッションに埋もれるように寝かされていました。

 そして僕は三歳になっていたようです。


 あれ? 僕の二歳としての一年分の記憶がないのですけども?

誤字脱字文章のおかしなところなどありましたら、指摘していただけるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=2274266&siz
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ