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2

けれどそのせいで、旅館の経営が傾き始めたことに、悩んでいたのだろうか?


「ん~、それも、ある」


「まだあるの?」


普通に聞いていれば、旅館は心霊現象が起こらなくなって困ってはいるだろう。


でもだからと言って、わたし達ができることはない。


「む~ぅん~」


サアヤは腕を組み、難しい顔をする。


「…女将、のことなんだけど」


「女将がどうかしたの?」


「あの人は普通の人。何の力もないわ」


「ええ」


「だからこそ、これからが怖いのよ」


「えっ?」


サアヤはため息を吐くと、ハーブティーを一気に飲み干した。


「すでに旅館のウリは消え去ってしまった。けれどまた何か起これば、それをウリにできるってことを、ボヤの一件で思いついたんじゃないかって思って」


「あっ…!」


彼女の言わんとしていることが、理解できた。


わたしは固唾を飲み込み、真っ直ぐにサアヤを見つめる。


「つまり…女将が旅館で何か騒ぎを起こし、それをウリにする可能性があるってこと?」


サアヤは黙って頷く。


「だって今までソレで経営が成り立っていたんだよ? 自然と起こらなくなったのならば、人為でも、と思わなくもないかも?」


疑問形で言うけれど、それは確信に近い言葉だ。


女将はボヤを見て、思い付いてしまっただろう。


また騒ぎを起こせば、注目が集まる。


元々雑誌やテレビで紹介されるほどだったのならば、何かが起こればまたすぐに客は集まるかもしれない。


「…でも人為的にするにも、限界があるわ」


「うん。だからさ、もしも殺傷事件とか起こったら、イヤだなぁって思って」


「っ!?」


そう…だ。


そういう可能性があることだって、否定はできない。


「だからノウコさんの人脈を使って、警察にそれとなく見張っているように助言できないかな?」


「そう…ね。あまり顔は広くないけど、言ってみるわ。でもボヤの他に、何か起こったの?」


「何か細々としたことは起こっているみたい。でも事故として片付けられているって。女将は何としても、心霊現象だと言い張っているみたいだけど」


「…そう」


しかしそれは、その土地に住むのならば有り得ない場所。


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