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ウワサの旅館は今…

「はあ…。それで、その旅館は今どうなっているの?」


「今は逆に何にも起こらなくなった旅館として、ちょっとした話題になっているみたい。だけど…」


そこでサアヤは口元を引き締め、声を潜めた。


「―数日前、そこでボヤが起こったらしいの」


「ボヤ? 何が原因で?」


「ん~。何でも古い雑誌や新聞を焼却炉で燃やしていたところ、近くに置いてあった薪に火が燃え移って、その火が小屋に燃え移ったらしいの」


慌てて火は消されたものの、小屋は半分ほど焼けてしまったらしい。


「それを見て、女将が『祟りだ!』なんて言い出した」


「あらまあ…」


よくない道へ、女将は入りだしたらしい。


「祟り、なんてあそこでは起きない。元々あそこにいたのは生き霊と残留思念だけだったんだもん」


「生き霊と残留思念? …それが心霊現象の原因?」


「そっ」


サアヤはイスに寄りかかり、再び足をブラブラさせる。


「あの旅館、建てた頃はまだ経営は良い方だったんだろうね。でもだんだんと人は来なくなって、危なくなってきた」


それを悩む旅館経営者達の思念と生き霊が動き出し、ウワサの心霊現象を起こしていたのだと、サアヤは言う。


経営者達は亡くなってからも、その旅館に心残りを残していた。


それが残留思念と化し、生き霊と共に動いていたのだろう。


「じゃあ悪いモノはいなかったの?」


「―元々あの旅館の土地には、そういうモノはいられない力があったみたい」


「…なるほどね」


だからサアヤは居心地の悪さを感じていたのか。


「でも残留思念や生き霊は別。特にその土地に住む者のだったしね」


「じゃあ旅館の経営を何とかする為に、それらの現象は起こっていたのね。でも無くなった今、起こるはずもない」


「そっ。だから完全に事故。けれど女将は騒ぎ立てる。だからテレビ局も、あの放送を流そうか悩んでいるんだって」


すでに季節は秋。


季節外れになってしまったのは、旅館に心霊現象が起こらなくなったウワサが立ったのと、女将が騒ぎ出したことが原因。


「じゃあ『相談』って、そのこと?」


サアヤが食べさせてしまったことは、不幸な事故だったとも言える。


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