1話 目覚め
初投稿になります。
誤字脱字や分かりにくい点などご指摘があれば宜しくお願い致します。
ご都合展開はチートスキルのみにして残りはキツめのハードコースにしたいと考えております。
一話
家族ってなんだっけ。
最愛の人達、守るべきモノ、帰るべき場所、一番近い他人、血のつながり。
人によって定義は様々だが、俺には分からない。
いや、分からなくなってしまった。
決して、家族との中が険悪だとか、そもそも家族を知らないというわけでもない。
俺はとても暖かい家庭で育った。小さいころは両親と食卓を囲み、休日には遊園地や動物園に連れて行ってもらっていた。
弟の面倒も見た、生まれたばかりの頃は両親を取られるのではないかと嫉妬していじめたりした記憶もあるが、小学校に入ってからは仲良くしていたと思う。
自分とは違い人見知りで気の弱いやつだったが、その分自分が守ってやらないとと躍起になっていたのを覚えている。
それがあんなことになるなんて、
あれ以来、人とつながりを持つことが怖くなってしまったのかもしれない。
もう大切なものを失うの嫌だ。
どうせ人間死ぬときは一人だ。
だったら、ずっと一人でいいじゃないか。
それならもう辛い思いをしないで済む。
だれも悲しませなくて済む。
だから・・・
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心地よい浅井が差し込む朝・・・
スマホのアラームが煩く鳴り渡る。この心地よい眠りを邪魔する不届き者のを手探りで探すが、どうやらいつもの場所にはなさそうだ。
「(あれ、いつもはこの辺に・・・)」
辺りを探っていると、柔らかいモフモフしたものをつかんだ。
「(なんだこれ?、こんなストラップは付けた覚えがないぞ)」
思わずぎゅっと握りしめると
「きゅー」
可愛い鳴き声のようなものが聞こえ、強い衝撃が頭を揺らす。
「痛ってえぇぇ!!」
あまりの痛さに目を開けそちらを振り向くと、大型犬ほどあろうかというウサギ?が睨みつけてきた。
「うわぁっ、なんだっ!」
慌てて手を放すとウサギは逃げていき近くの茂みに消えてしまった。
「一体何がどうなって・・・え・・・」
周りを見渡すと森だった。正確には樹海と言った方が正しいのかもしれない。
高くそびえる樹木が立ち並び、空は遥か遠くに感じる。地面には苔が広がり、その緑の光景は幻想的で少し不気味にも見えた。
「なんだここは、どうして俺はこんなところにいるんだ。」
おかしい、昨日は自宅で眠った筈だ。昨夜のことは鮮明に覚えている。仕事から帰って、知り合いとDis〇odeで通話しながら今度発売される新作FPSのオープンベータをプレイして・・・。
その後、明日も仕事だってこともあり、チューハイを飲んで眠った・・・
「まさか・・拉致?」
誰かに拉致られて、樹海に捨てられた?。そんな考えが頭をよぎったが、不自然な点も多い。
まず、スマホを持っている点だ。樹海に捨てるのならば電波がつながらないかもしれないがスマホを持たせる必要がない。そもそも生きたまま放置もおかしい。俺が犯人なら殺すか、最低でも体の自由は奪うはずだ。理由がわからない。そして気がかりなのはさっきのウサギだ。あんな大きいウサギは見たことがない。動物の知識はないが、それでも明らかに異様だった。
とりあえず、所持品の確認をする。着ている服はパジャマではない、なぜかスーツだ。ポケットの中にはスマホ入っている。ほかにはいつもポケットに入れている社員証しかなかった。
「スマホの電波は入らないか・・・」
期待はしていなかったが、やはり電波の届かないところにいるようだ。
スマホをポケットに入れようとしたとき、左手の甲に違和感を感じた。
「なんだこれ?」
左手の甲には、緑の宝石のようなものが埋め込まれている。不思議におもい触れた瞬間、目の前にモニターが現れた。
「うわぁ、え」
SFでよく見るようなホログラムの画面には、こう書かれていた。
ー ようこそクリエイターツールへ ー
「クリエイターツール?」
画面にふれてみると軽快な音楽が流れ、女性の声が語りかけてくる。
「初めまして、神崎雄介様。只今より現状のご説明をさせて頂きます。また、本ツールは音声認識も対応しております故、説明後ご不明な点があればお申し付けください。」
急に話し出した右手に驚きは隠せないが、今はすこしでも情報が欲しいので我慢するとしよう。
「現在、神崎様が置かれている状況についてですが、今おられます場所は、神崎様がいた世界とは平行世界となります。この森はエスカール国境沿い東の大森林と呼ばれる場所になります。」
「本世界は、元の世界とは対極をなす世界であり、科学ではなく魔術が現代文明の基礎として発展しております。文明のレベルとしては、比較的中世ヨーロッパに近い発展を遂げております。」
異世界?エスカール帝国?、魔法? だめだ全く理解が追い付かない。変な夢でも見ているとしか感じない。
「神崎様は、創造神ーーーー様の勅命によりこの世界に転移いたしました。」
創造新?なんて言ったんだ、肝心の名前がまるでテレビの規制音のようにかき消されている。よほど卑猥な名前なのだろうか。
「神崎様には、本ツールの使用許可が出ております故、ご活用ください。」
「本ツールは、クリエイターツールでありクリエイターポイントCPを消費することで元の世界に存在する市販品の購入が可能となっております。また、建造物や地形の生成も可能となっております。現在のCP残高は神崎様の転移前の総資産を換算し、13450450CPとなっております。説明は以上となります。」
大まかなことは把握できた。ここは魔法がある中世ヨーロッパで俺は卑猥な神様によって転移された、右手の宝石はクリエイターツールでありポイントを消費してロケットパンチを放てるらしい・・・
「私は、ロケットパンチとは一言も申しておりませんが、そして神様は卑猥ではありません。」
「なんで思考がよめるんだよお前」
「神崎様の体に埋め込まれております故、思考は把握できます。混乱されているのは分かりますが、現実を受け止めてください。」
「そんなこと言われても、無理だろ」
「では、このように考えてはいかがでしょう。これは夢だと割り切ってとりあえずしばらく過ごしてみられては?。夢だとすればいずれ覚めます。暇つぶしと思いお願い致します。」
そう言われては仕方がない。無理に反論する元気もないので従うことにしよう。
「んで、どうすればいいんだこれから」
「とりあえず、クリエイターツールを使用してみましょう。画面右のアイテム一覧を開いてください。」
開いた画面には、カテゴリ事に様々な項目がある。食料、家畜、日用品、衣類、家具、武器、etc
「こちらの画面から各アイテムが購入できます。基本的には1CP=1円との認識で大丈夫ですが、状況により変動する場合があります。」
「変動?」
「はい、例えば水のない砂漠において、飲料水を購入する場合は定価の2倍の価格となります。」
「なるほど、それは他のジュースとかでも同じ」
「同様にございます。状況に応じて変化しますので購入の際は、都度ご確認することを推奨いたします。」
「わかったよ」
「それでは、こちらの飲料水をご購入してみてください。今回は最初ということもあり無料で提供させていただきます。」
画面に表示されている。飲料水500mmlと書かれた項目に触れると、まばゆい光と共にペットボトルの水が現れた。
「なんだこれ、すげーな」
蓋をあけ飲んでみる、うん、水だ。
「アイテム購入の基本的な使いかたは以上になります。その他の機能につきましては都度、使用の機会が訪れましたらご説明いたします。」
「なるほど、今後はどのように活動したらいいんだ?、異世界に転移したんだから魔王を倒して世界を救えとか要求しないのか。」
「現在、そのような命令は受けておりません。私への命令はただ一つ、神崎様のご意向に従うようにとのことだけです。」
「・・・そうか、ではこの世界について教えてくれるか?」
「私が存じ上げている情報は、先ほど申したように平行世界であり、魔法という概念が存在し、文明レベルが中世ヨーロッパに近いということだけです。現在地に関しても、エスカール帝国の国境にある東の大森林ということしか教えられておりません。」
「・・・マジかよ」
目的もなければ、状況も分からない。誰か人を求めて街に向かうべきかもしれないが、方向もわからない。東の大森林というくらいだから西に向かえば村くらいはあるかもしれないが、どうする。
一旦現状を整理し、優先項目を設定することにした。その場に座って考える。
今は森の中にる。とりあえず生活できる拠点を作ることが重要だろう。そしてさっきのウサギのように他の動物も大きいかもしれない。身の安全を考えると装備もしっかりと整えた方が良いだろう。まずは、装備だ。拠点にいい場所もすぐに見つかるとは限らないし、作るのにも時間がかかるだろう。その間身を守る手段が必要だ。
そう思いクリエイターツールを開く。
まずは服だ、スーツじゃ動き辛すぎる。幸い気温は高くはないが、さすがに森の中でずっとスーツでいるのは気が引ける。
服の項目を開いてみる。
「市販品なら購入可能って数が半端ないな・・・ん?」
大量に表示された服に困惑していると右上に星のマークがあるのに気づく。押してみると
「なるほどここには、状況に合わせてのおすすめ品が表示されるのか。」
表示された服は、どれも軍用の迷彩服だった。確かに異世界の森の中でサバイバルって状況だとこうなるのも納得できる。
「ってどれを選べばいいんだ、まだ選択しが多すぎる。」
しばらく考えた結果、自衛隊の迷彩服にすることにした。同じ日本人が着ることを想定して作ったものなら信頼できると思ったからだ。
「迷彩服3型ってのが一番高いな。とりあえずいいもの買っておいて損はないだろ」
購入を選択すると先ほどの水のように光と共に折りたたまれた迷彩服が現れる。
「ちゃんと残高減ってやがる。2万CPも無くなったか。」
このままCPを消費し続けるのもまずいな、1千3万あるとはいえなんとか節約しなきゃいつか尽きてしまう。
そもそも、CPを増やすことができるのだろうか。
「なあ、CPを増やしたい場合はどうしたらいいんだ?」
「現地の通貨を消費することにより、CPを増やすことは可能です。またモノを消費することでも増やすことができます。ただし、CPを使用して得たアイテムの場合はレートが半分になります。」
なるほど、そういう仕組みか。
「それは、食料とかでも可能なのか?」
「可能です。ただ、腐敗していたり、価値のないものは使用できません。」
「わかった、ありがとう」
「とりあえず初期投資は大事だ、装備はしっかりとしたものを整えよう。」
そう言って俺は、小一時間かけて装備の購入に励むのであった。
ほぼ説明で終わってしまいました・・・
劇中では15分も時間がたっていない・・・
どうしよう