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ヴィーラの新しい石の台

 アークデーモンは別居婚だが、番に毎日イチャつかなければ精神的に危なくなる種族である。

 その為、ヴィーラは息子タキトゥスが大人になると咲を預けて番の館に日参するようになっていた。

 基本的に子育て中のアークデーモンの館は訪問禁止だ。繁殖力の低いアークデーモンは子どもが大人になるまでそれは神経過敏になる。相手が自分の番であろうと子育て中の館では攻撃的になってしまうのだ。


 だから、咲を育てているヴィーラは自分から番の所に行く。咲のことは番である息子タキトゥスに任せておけば勝手にかまっているので大丈夫だ。咲がまだ子どもなので、変なこともしないだろうし。

 イチャつく時間は10分ほどでもいい為、息子タキトゥスが自分の館に行く日はその前のわずかな時間だけ、ヴィーラは番と会っ(デートし)ている。これは自分の造った館に住んでいない息子タキトゥスが魔力の痕跡を館周辺に残す必要があるからだ。そのおかげか、不在がちにもかかわらず、息子タキトゥスの館の周辺には集落が出来、使用人も出来ている。


 子育て中の原因だった咲も巣立ち、番が大人になるまでつきまとっていた息子タキトゥスもいなくなるヴィーラがまずしなければいけないことがある。

 寝床にしていた石の台を新しくすることだ。

 タキトゥスの父親は息子タキトゥスと言えど、別のアークデーモンの男がヴィーラの寝床を使っていたことを面白く思っていない。それどころか、嫉妬している。

 ヴィーラも大人になった息子タキトゥスが使っていた寝床をこれ以上、使いたくない。


 咲が巣立つのを告げられた日、ヴィーラは番と一緒にあちこちの岩山に出かけ、次の石の台にする石を探した。

 前の石の台を気に入っていたが、番に執着する息子タキトゥスのせいで使えなくなった。しかし、番と出会えるアークデーモンは幸運なのだ。アークデーモンの中には番と出会うこともないまま生涯を終える者もいる。子どもの時に番と出会えた息子タキトゥスは本当に幸運で、離れたがらなかったのも理解できる。

 だが、今まで使っていた石の台が使えるかどうかと聞かれたら使えない。


 良さそうな石を魔力で切断して切り出す。切断面は深緑で所々に白い雲母が入っていて美しい。

 ヴィーラは横の四方をきりおとし、ちょうどいい高さで下も切り落とす。ヒョイと両手で持ち上げたら、番が「持つ」と申し出てきた。それを断って、ヴィーラは自分の館まで運ぶ。

 咲のような他の種族ならともかく、女性であってもヴィーラもアークデーモンだ。

 以前の石の台も自分で作って運んだし、屋根や床も運んだのだ。


 番としては何かと世話を焼きたいのだろうし、アークデーモンの男なら片手で持って移動中もイチャつけたからそうしたかったのだろう。

 それでも、ヴィーラはアークデーモンなので自分でする。

 イチャつけなかった分は後でしっかりイチャつけばいいのだ。

 なんだかんだ言っても、ヴィーラもまた番至上主義のアークデーモンである。

相変わらずセリフのないヴィーラ。

台詞どころか名前すら出て来ないヴィーラの番(タキトゥスの父親)。

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