本当に異世界へ
「んぅ~」
(あれもう出勤時間か~なんかもの凄く寝た感じがするけど・・・)
いつもより体が軽く感じる。それでいて何か違和感を感じる。
「ん?」
目を瞑りながら時間を見ようとベッドの側に置いてある携帯を手でがむしゃらに探す。
だが、携帯が見つからない。
なので、もう少し大きく体を動かしながら探してみる。
そして、気づく。
(おかしい・・)
携帯はどこにもない、それでいていつも寝ているベッドの2倍くらいの広さがあり、寝心地がもの凄くいい。
例えるなら彼が初めて大金を払って、海外旅行した時の高級ホテルのベッドと同等なくらいにいいベッドに感じる。
いつもとは違う事に違和感を感じながら体を起こし、目を開ける。
「え、ここどこ?」
目を開けるといつもの自分の部屋とは違う場所にいた。
ラノベや漫画が大量に詰まった横スライド式の本棚やテレビ、ゲーム機などで埋まってた部屋ではなく、
大の大人が3人は寝っ転がれる大きなベッド一つだけの簡易な部屋になっていた。
周りは暗いワインレッド色の絨毯とアンティークな雰囲気を出す、茶色の壁紙の部屋。
だだっ広い部屋にベッドしか置いていないせいか、部屋の空間が物凄く広く感じる。
亮介が住んでいた部屋は8畳一間だったが、その2倍近い広さくらいだろうか。
そして、この部屋で最も目立つものがいた。
黒髪ロングで凛とした顔の表情が凄く印象的なメイド服を着ていた女性が一人立っていた。
歳は20近い感じで、スラッとしたプロポーションを持つ彼女のメイド服姿は美しく、その辺の男では目を奪われそうになるほどだ。
目を奪われてしまうのは亮介も例外ではなく、その美しさからついマジマジと見てしまう。
(うわぁ~超綺麗な子だなー)
自分が今奇怪な状況に陥ってる事を忘れていしまうくらいに見入ってしまう。
(あっ!)
そんな風に見ていると彼女と目が合ってしまった。
その瞬間、亮介は我に返り咄嗟に声を出す。
「あの!俺へんな者とかじゃなくて気づいたらここに・・・「おはようございます。ご主人様」
彼が必至にこの状況を説明しようとすると彼女の言葉に遮られた。
「ん!?ご主人様!?」
彼女の声に亮介は驚愕の声を上げてしまう。
(おいおい、どうなってんだ。いきなり初対面の美女からご主人様って!?新手のドッキリか!?)
亮介はこの状況について戸惑いながら必死に思考を加速させて考える。
だが、そんな彼を置いて彼女は淡々と喋り始める。
「はい、あなた様は私のご主人様。クリフウッド公爵家の次男であり、イリアム王国ウィレット領の一部、アレイド地域を治められている、エルクロム・ロイ・クリフウッド様であられます」
(誰!?誰!?エルクロムってそれが俺の名前なの!?そんな人俺聞いたことないんですけどぉ!)
いきなり自分の事を聞いたことがない名前で呼ばれて困惑してしまう亮介だったが彼の頭の中に一つこの状況を説明できる答えが浮かんだ。
(もしかして俺異世界転生した???)
そんな言葉が彼の頭の中で浮かんだ。ならばこの状況を説明できる。自分は異世界の公爵家の次男として生まれた人間へと転生した結果この状況に陥ったと。
そして、彼は自分の中で気持ちを整理していく。
(転移じゃなくて、転生したのは予想外だけどいきなり公爵家の次男って俺勝ち組じゃね!?)
ならばここは場を飲み込み、自然に振る舞わなければと思っがこの世界を何も知らない以上、正直に彼女に問いかける。
「悪い君の名前は?ちょっと今までの記憶が曖昧で・・・」
「はい、無理はありません、エルクロム様は3日前に高熱を出されてずっと目を覚ましませんでしたから。
私の名前はメイネリア。エルクロム様に仕えるお付きメイドの一人です」
「そうか、メイネリア。悪いがこれから色々詳しい事を聞きたいんだけどいいかい?」
「はい、私でよいならできる限りお答えいたします」
俺はメイネリアに色々の事を聞いていく。
まず、さっき言っていたように俺はクリフウッド公爵家という貴族の次男であるらしい。
歳は今年で20歳。転生して7歳若返った上、メイネリアにお願いして鏡を見せてもらったあら不思議!
冴えない廃れた三十路近い男が、黒髪は変わらないが青い瞳を持つ日本人と白人のハーフのような超爽やかイケメンに変わっていた。
元の世界だったら誰もがイケメンと言ってくれるような顔になっていた。
体格も長身で細マッチョという高スペックを誇る。
家族構成は現クリフウッド家の当主の父親、隣国の王家の三女の母親、現在父親の補佐役を務めている兄、俺と同じようにウィレット領の一部の地域を治めている三男、現在王都で王立学園に通う長女と次女、父親の下で未だ育てられている四男、男四人と女二人の六人兄弟で両親を含めた八人家族。
ちなみに祖父母は両方とも隠居の身ながら健在らしい。
この国、イリアム王国は周辺諸国に比べて明らかに国力が高いらしい。
そして、イリアム王国内でもクリフウッド家は貴族の中でも六第貴族と言われて恐れられている貴族の一つらしい。
俺は思う。
(俺この世界で超勝ち組じゃね!?容姿パーフェクトで国有数の権力者の次男!異世界転生最高!!)
次にこの世界、異世界物の鉄板である魔法や魔物は存在するらしい。ちなみに勇者と魔王も存在する、魔王が支配する地域はイリアム王国からは遠く影響はあまりないとのことだ。
なので、この世界で冒険者と生きるという道もあるらしい。
メイネリアの話を聞き進める度に興奮が止まらない。
そんな中、メイネリアがある爆弾発言をした。
「ちなみにエルクロム様には奥様とご令嬢がおられます」
「えっ?・・・・・えええええええええええええ!!!?????????」